電波塔
知らないままでもいい
昔の姿のことは
誰かが覚えていても
それは些細な噂話
この街に吹く風は
キラキラと輝いている
その中で届く便りは
幸せなことばかりじゃない
祈りを積み上げて
赤い灯火を天へと
遠くで生きる人の
目印になるように
走り回っていたこと
花や草を潰したこと
誰かが覚えていても
どれも灰になるのだろう
溶かして固めても
消えないものがある
ここを越えて飛んでいく
言葉も同じものさ
冷たい風が吹いて
また一つ飛んでいく
その背中に灰を乗せ
噂話は広がっていく
祈りを積み上げて
赤い灯火を天へと
遠くで生きる人の
目印になるように
便りの奥に映る
景色になるように
読んでいただき、ありがとうございました。