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筋肉生徒会長は、勘付いてきているらしい。

 (ふーん?)

 リア・アルナスはその日、窓の外から生徒会室を覗き込んでいた。中にいるのは生徒会長であるマルスと、副会長であるアイディーンがいる。

 「ティアルク・ルミアネスについてわかったと聞いたのですけど」

 「ある程度の推測がたったというだけだがな」

 生徒会室の中の会話をリアは、盗み聞きをしていた。二人の話している内容に、窓の外にいるリアは面白そうな顔を一瞬した。

 (もう勘付かれているのか。まだ一年も経ってないのに、ある意味流石? でもばれたらばれたでこの学園色々大変そうだなぁ。でも私には関係ないけど。生徒会とか、学園長とかが大変なだけだし)

 リアはそんなことを考えながら、筋肉生徒会長の推測が正しいのかどうかと耳をすましている。

 「……それで、彼は、なんなのでしょうか」

 「ギルドの高ランクだと思う」

 「……ギルドの高ランク?」

 「ああ、でもSSとか、Xとかそのレベルの高さはないだろう。Aとかぐらいじゃないかと思う」

 「そうですね。Xランクで顔出ししていないのなんて《姿無き英雄》だけですし」

 リアは会話を聞きながらおぉーと思っている。

 (おお、合ってるし。筋肉生徒会長って脳筋っぽいのに、こういう所ちゃんとしているんだなと見直した。まぁあまりにも脳筋な生徒会長とか大変だしなぁ。それにしてもティアルク・ルミアネスがばれるのは別にいいけれど、ルミさんとゲンさんに迷惑かからないようにはしときたいなぁ……)

 ティアルク・ルミアネスがどうなろうと知ったことではないリアであるが、ルミとゲンに迷惑がかかるのは正直回避しよう考えていた。何だかんだで親しい人の事は気にしているリアであった。

 でも自分の話題にいっているのには不服そうだ。

 「《姿無き英雄》は、本当に表に出てこないからな……。そもそもギルド最高ランク保持者が学園に通うはずもないしな」

 「それを言ったらティアルク・ルミアネスがギルドランクがAぐらいでも通う必要はないのでは?」

 「そうだな。どうして学園に通っているんだか……」

 マルスとアイディーンの会話は続く。

 (私が通うはずないと思っててくれているのはいいことだ。私はティアルク・ルミアネスみたいにばれたくないなぁ。もっとバレナイように動かなきゃ)

 リアはそんなことを考える。今の所、リアはティアルク・ルミアネスたち一味に興味をもたれているようだが、欠片も《姿無き英雄》であるなんて疑われてはいない。それはリアがばれないように必死に動いている努力の賜物である。

 そもそもギルドランクAのティアルクでさえ、何故学園に通うのだと思われるようなレベルであるし、ギルド最高ランクの《姿無き英雄》が学園に通っているなんてまず誰も思わないものである。

 「そもそも、どうやってそうであると推測したのですか?」

 「……学園長に問い詰めた所、それらしいことをほのめかされたからだ」

 生徒会長として、怪しい生徒がいるならどういう生徒であるかというのをきちんと把握しておきたいとマルスは考えていた。そして問い詰めた所、それらしいことをほのめかしたという次第である。

 (私学園長にも言っていなくてよかった。学園長とか、生徒会長から問い詰められたらほのめかしただろうし。本当ハーレム主人公は色々と迂闊だなぁ。ルミさんとゲンさんも一年も経たずにいろいろとばれていくとか思ってもないだろうに)

 学園に通う必要のないレベルの生徒が通っていれば目立つ。そもそも通う必要が本来ない。だというのだから通ったからには様々な影響がある。公表して過ごしていれば、それはもう普通の生活は出来ないだろう。浮くのは当然である。それが嫌だからこそ、普通の学園生活を送りたいと思っているからこそティアルク・ルミアネスは隠していたのだろうが……。

 「そうですか。それにしてもあんなに中途半端に隠すぐらいならば、いっそのこと、最初から公表していた方が良かったでしょうに」

 「……ああ、多分本人は隠しているつもりなのだと思うぞ。全然隠せていないけど」

 「……そういう所は、全然駄目なのですね。高位ランク者ならそういう所もきちんとできていると思うのですが」

 「ランクも高いだろうし、レベルも俺よりは高いだろう。だけど、学園生活を見ている限り、あんまり経験を積まずにレベル上がったんじゃないかと思うが」

 マルス、今までティアルク・ルミアネスがどういう存在か見てきたからこそそう思う。

 (筋肉会長、察しがいいなぁ。そうだよ。多分筋肉会長の方がそういうところはちゃんとしていると私も思う。やっぱ、レベルだけ高くても中身が伴わなきゃ駄目だ。ハーレム主人公も、あとラウルも)

 リアはティアルク・ルミアネスの事も、ラウルの事も、そう思う。

 「それで、どうしますか」

 「どうもしないさ。学園に害をなすわけでもないしな」

 「まぁ、そうですね。公になったら少し騒動がありそうですけど」

 「その時はその時だ。俺よりレベルが高くても、ティアルク・ルミアネスは俺の学園の生徒だからな。生徒会長としてそういう騒動の手助けはしてやらないと。ただ、手合せはしたいと思うぞ。俺のレベル上げにもなるし」

 「人目につかないように貸し切ってやればいいと思いますが。それか学園の外で秘密裏にやるか。そうじゃないと、あちらもちゃんと戦ってはくれないでしょう」

 「うむ。そうだな。話してみよう、今度」

 マルスはそういって、楽しそうに笑うのであった。





 

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