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ルカ姉が恋をしているらしいのに気付きました。

 「ルカさん、これはどうしたらいいですか?」

 「それは……」

 「わかりました!!」

 リアの義姉であるルカ・アルナスは、従業員の男が去って行ったのを見つめ、その後ふぅと息を吐いた。それは、彼に対して何かしらの不満を抱えたからの溜息ではなく、どちらかというと彼が出て行った事に対する残念さを感じたからの溜息のようだった。

 さて、名残惜しそうにその場から去っていく男の背中を見つめているルカの事を、面白いものを見つけてしまったとばかりにじっと見据えているのは、当然の如く、リア・アルナスである。ルカが気づいていないのをいい事にまじまじと見ている。

 ちなみにリアが何故ここにいるかといえば、単純にこの『エストニア』に道具の補充をしにやってきただけである。

 人がいたため出ていくのは嫌だなとのんびりと待っていた。そうしたら面白いものが見れた。そんなわけだ。

 (今出ていったら見ていたのばれるしなぁ。うーん、ルカ姉の恋をひっそり知ってしまったのもいいし、面白いからこれからちょくちょく見に来るようにしようとは正直思うけれど…。今出ていったら怒られるかな)

 リアは長い付き合いである義姉に怒られる事は面倒だなと思っていた。それにルカ姉の恋心に気づいてない状況で観察したほうが面白いと考えていた。

 (しばらくルカ姉の観察してから姿あらわそうかな?)

 そう考えたリア。そのため、しばらくこそこそとルカの事を見つめる事にした。

 しかし、その後もちょくちょくあの従業員の男とルカは接触する。

 (名前はチェイサーか。ふーん。ルカ姉みたいな美人さんと接しているのに、下心ないみたいだね。寧ろ鈍感属性もちなのか、ルカ姉の気持ちには気づいてないっぽい?)

 リア、観察しながら思考している。

 (チェイサーがルカ姉との接触多いから、出れないな。なんか大口の注文でも入っているみたいだね。ばたばたしているなー。私が補充頼むなら後日がいいかな? でもとりあえずルカ姉の様子が面白いからしばらく観察していよう)

 結局忙しそうなのと、ルカが一人にならないのもあってリアは今日の補充は諦める。でもルカの様子が面白いのでしばらく観察を続ける事にはしたらしい。

 リアにとってルカは義姉として家族と認識している存在である。あまり人とかかわり合う事なく、もし敵に回れば家族だろうと殺すだろうリアであるが、なんだかんだで家族には気を許してはいる。

 だから、ルカが幸せになるのはいい事だとも思っている。リアの知る限り技術を極める事に力を注ぎ、恋愛のれの字も考えた事がなかったようなルカが恋愛をしているというのならば応援したいと思っているのだ。

 (とりあえず、あのチェイサーがどんな人間であるかをまず調べよう。変な奴がルカ姉の恋人になるのは遠慮したい。まぁ、ルカ姉は人を見る目はあるから変な人には惚れる事はないと思うけど、念のため。ルカ姉は鍛冶師として有名だし、利用するために近づくやつもいるからなぁ)

 じーっと、視線をチェイサーに向けながらリアは考える。好奇心からという理由もあるが、ルカが変な男と恋人になるのはなんか嫌なので、チェイサーについて詳しく調べる事をリアは決意する。

 (お義父さんには、言わない方がいいか。そこからルカ姉に私がルカ姉の観察をしているってばれる恐れもあるし、こそこそと観察したいし)

 チェイサーをしばらく観察して、仕事を真面目に取り組んでいる様子を見た後はまたルカの元へきた。

 ルカは鍛冶をしていた。真剣な表情で、打つ姿を見る。

 (私は鍛冶は出来ないからな。少しは興味はあるけれど、調合の方が興味あったし。今度ルカ姉に鍛冶習ってみてもいいな。何でも自分で出来る方が楽だし。でも、正直戦う方が好きだから悩む)

 リア、ルカの姿を見ながらそんなことを考える。リアは戦う事の方が好きだ。スキルの大半は戦いのスキルだ。それと正反対にルカは戦うためのスキルではなく、生産系のスキルが主である。

 (でもルカ姉が最終的に《超越者》に至るか、正直わからないのも考えると習っていた方がいいか。ルカ姉以外の知り合いの鍛冶師なんていないし、武器の補充は重要だし)

 ルカは《超越者》には至っていない。これからいたるかどうかも正直リアには分からない。リアは、強さを貪欲に求めた結果、気づけば《超越者》に至っていたが、本来はそう簡単に到達できるものではない。現在レベルが六十と少し程度のルカが、《超越者》に至れるかは分からないのだ。

 (ちょっとずつ習うけどルカ姉の作る武器好きだし、《超越者》に至ってほしい)

 そんなことを思いながら、ルカを見る。

 (それか、ルカ姉が子供産んでそちらに引き継ぐとかもありか。それ考えるとルカ姉には結婚して子供産んでもらった方がいいか。チェイサーの事調べて、よさそうだったらルカ姉とくっつけるためにひっそり手助けしようかな)

 リア姉はじーっと見つめながらそんな思考をするのであった。



 そんなわけでルカは知らないうちにリアに恋心を悟られ、チェイサー次第で恋人になるための手助けをリアにされる事になるのであった。




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