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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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ソラト・マネリはリア以外に対しては興味がない。

 この世界には《超越者》が居る。《超越者》は人が越えられないラインを越えられたもの。故に、個性的で、他と違う考えを持つものが多い。

 そもそも、普通なら人が《超越者》に至るなど、それは叶わないものなのだ。それをかなえられる時点で、異常だ。それだけ他と違うからこそ、《超越者》に至った。

 そして、ソラト・マネリは、まだ超越者域に達していないとはいえ、彼は《超越者》になり得るであろう資質を持ち合わせていた。

 そもそも、彼を知るものは、彼を誰にも興味を持たない冷たい少年だと多くが称する。それは、リア・アルナスへの態度を見ていると決してそうとは思えないだろうが、そのことは事実である。

 昔から、それこそ、ソラトがリアと出会うより以前……要するに八歳より下の子供でしかなかったソラトは冷めていた。

 十代でレベル八十六に上り詰めているソラトだが、リアに出会うまではそれなりにしか動いてきていなかった。ソラトはいうなれば、一般的に言う”天才”であった。人より簡単に何かを成し遂げてしまう。そういう存在であり、生きているのがつまらないと思っているような少年だったのだ。……リアちゃーんなどといってリアにとびかかるソラトを見て、ソラトがそんな少年だったと信じるものは少ないだろうが。

 ソラトはリアにこてんぱにやられて、リアという存在に出会って、世界が面白いと思えたのだ。今まで面白くなかったものが面白くなった。いうなれば、今まで白黒で映っていた世界に色がついたようなそんな心境に陥ったのだ。

 ソラトはリアと出会って楽しいのだ。

 ソラトはリアの傍でリアと楽しいを感じて生きていきたいのだ。

 リアと出会い、レベルを一心に上げるようになった。リアに追いつきたいから。ただ一心に生きている。

 ソラトの行動理念は、基本的にリアがかかわる。リアが通うから学園に通って、リアがギルドに所属しているからギルドに所属していて、リアが《超越者》だから自分も《超越者》になりたいと思っている。

 ギルドマスターもリアの義父だから仲良くしているし、リアの義妹になったからネアラの面倒も見ている。リアが気にしているから《爆炎の騎士》ラウルを気にしている。ソラトが気にするのはリアが関わるものばかりだ。

 故に学園の評価も気にしない。いじめを受けていてもソラトとしては特にどうでもいい事であり、それよりも《姿無き英雄》の関係者だと学園で知らしめる方が、嬉しい。自称と思われていようとも学園でリアとかかわれないからリアとつながりがあるんだと感じたいのだ。

 そんな理由でわざわざアホな真似をしている。

 そういう人間なのだ。ソラト・マネリという男は。

 そんなわけで今日も今日とて、ソラト・マネリは学園で嫌われ者としてのんびりと生きている。

 「こいつ、本当になんなんだよ」

 「雑魚なら学園をやめろよ。《姿無き英雄》様の弟子を自称しやがって」

 そんなセリフを言われても、ソラトにとってどうでもいいのだ。自称でも、《姿無き英雄》――リアの弟子だという噂が広まっているのならそれで十分なのだ。

 周りの生徒からの評価などどうでもいい。ただリアとつながりがあるのだと思えればソラトは嬉しいのだから。

 さて、いつも通り、ソラトは受け入れていた。反撃をして目立つ気もなく、やろうと思えば彼らを瞬殺する事ぐらい余裕だが、やる気もない。

 いつも通り受け入れて、彼らが飽きるまで待とうとしていたら、彼らの行為を止める声がその場に響いた。

 「君たち、何をしているんだ!!」

 それを止めたのは、ティアルク・ルミアネスが率いる一味である。

 ソラトに攻撃をしていた男たちはティアルク・ルミアネスというこの学園でも有名な存在の姿を前に舌打ちをして去っていく。

 そしてソラトは、

 (ティアルク・ルミアネスって、リアちゃんが面白がって見ている存在か。女をはべらせていて、この学園でも強者で、美形で……そんな面白い存在と思えないけど。というか、リアちゃんが観察するのとか好きなの知っているけれど、リアちゃんの観察対象が目の前にいるとかなんかムカつく)

 ティアルク・ルミアネスが気に食わないと思っているので、ちょっとイラついていた。そもそも止めてくれなどと思ってもいなかったため、「大丈夫かい?」と近づいてこられてもうっとおしいだけだった。

 ティアルクは紛れもなく善意で行っている行為なのだが、ソラトはそんなものどうでもいい。

 ティアルクが何を思って行動してようと、そんなものは真実どうでもいい。

 「助けてくれなんていってないんで、じゃ」

 ソラトは心配そうに声をかけてくるティアルクにそう告げてさっさとその場から去ろうとする。が、止められる。

 「ティアルクさんは心配しているのですよぉ」

 「ティアルクは……」

 ティアルク・ルミアネスの周りにいる少女達にである。

 「心配? 別にいらないんですよね。俺の事は放っておいてくれればいいんです。それとも慰めにそちらの女性方を俺にくれたりしますか?」

 別に興味もないが、ティアルク・ルミアネスが邪魔なためそう言い放つ。そうすれば途端に軽蔑した目を向けてくる。

 そもそもソラトはティアルクの傍に居るのが美少女ばかりだろうとも、そんなものよりリアじゃなきゃ嫌なため、ただ言っているだけであるが、ソラトの演技にも、その目の奥底が冷たいのにも彼らは気づかない。

 「き、君は! 態度を改めないと大変なことになるぞ。もっと――」

 などと、助言をしてティアルクは去っていった。

 その後教室へと向かうソラトの頭にはもうティアルクの事などない。

 (リアちゃんに追いつくためにももっと頑張らなきゃな。そういえばリアちゃんは前世の記憶があるっていってた。俺にもあったら、もうちょっと楽だったんだろうか。ああ、でもリアちゃんが前世の記憶があるなんて秘密を俺に打ち明けてくれたことが俺は嬉しくてたまらない)

 と、ずっとリアの事ばかりソラトは考えていたのであった。





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