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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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闇ギルドVS爆炎の騎士 ⑤

 さて、《爆炎の騎士》ラウルはギルドマスターの家で手当てを受けていた。ナキエルも同様にである。夜中だというのにギルドマスターは「結局行ったのか」と一言言って家の中へ入れた。

 (……リアの昔の友人。ただし、幾ら探しても情報網には引っかからない。あいつは本当に面白い。そしてこのラウルとかいう男、レベルと実力が釣り合っていない。いや、スキルはあるけれど戦い方がなっていない。そもそも闇ギルドにリアが預けた少女がさらわれたのも、こいつが守れなかったからだが、レベル150の男が守れないなんて本来ならありえない。青ざめた顔をしているのを見るに、人を殺すのははじめてなのかもしれない。となると、何故レベルが高いかも不明だな。魔物だけ相手にしていたにしても常識が足りないと言える。これは、リアを問い詰めたら面白い事実でも出てきそうだな)

 ギルドマスター、特に怪我をしている二人をいたわる気もない。何だかんだでリアを気に入っていて娘として大切には思っているギルドマスターなので、リアが気にしている存在としてラウルに関心はあるが、本人自身に関心は特にない。リアが知り合いだと告げたからこそ興味があり、面倒を見ているに過ぎない。

 「ラウル、闇ギルドは壊滅出来たか?」

 「……はい」

 「お前が何故、レベルが150を越えながらそんなに弱いのか、戦い方を知らないのか、人を殺すことに躊躇っているのかは俺は知らん。が、お前がギルドに所属し続けるというのならば、依頼の中でこういう事もあるだろう。殺す必要があるなら殺す。本当にそれだけの話だ。レベルが150あるのならば、これからも良い意味でも悪い意味でもお前は目立つ。その時に毎回躊躇っているような存在は、正直いらん。レベルが低くてそれなら放っておくが、レベルが高いのにそれなら、こちらが迷惑被るからな」

 レベルの高い者は良い意味でも悪い意味でも目立つ。そしてその分騒動も起きる。リアの場合レベル上げに勤しんで色々な事をしているから、巻き込まれている節もあるが、普通にしていても何かしらの騒動に巻き込まれるものだ。レベルの差が大きい相手を弱者が殺せればレベルも一気に上がるわけで、殺そうと近づいてくるものもいるし、レベル高位者に近づきたいものはいくらでもいる。

 そんな騒動を一人で解決が出来ない。一々ギルドマスターに泣きつく。という事になったら、困るのだ。幾らリアに頼まれていようとも答え次第では放り出そうと考えているし、リアもそれを傍観するだろう。

 「……自分で解決するようになります。いや、します。俺は……この世界で生きているんだという実感が正直ちゃんともてていませんでした。実感もなくて、ゲームの頃のような感覚で生きていた。でも、ちゃんと、実感したから。思い知らされたから。ちゃんと、向き合います」

 ラウルが告げた言葉の意味をギルドマスターはちゃんと理解は出来ていない。この世界とか、ゲームとかそれらの意味が分からないからこそ当然であるが、とりあえずラウルが本気でこれから自分の事は自分で解決しようと決めた事はわかったので「そうか」とだけつぶやいてその部屋から去って行った。

 残ったのは、ラウルとナキエルだけである。

 「ナキエル」

 「……はい」

 「俺は……いや、僕は、レベルだけは諸事情で高いけれど、ナキエルの思っているような人間ではない。人を殺す事、誰かと敵対する事は情けないけど、震えるぐらいに怖い。こんな僕は情けないだろう……? 現実逃避して、ああいう出来事が起こって。そしてようやくここが現実だって理解しただなんて。ナキエルにも、怖い思いをさせてしまった」

 「……ラウル、さん」

 ナキエルはラウルを見ている。情けない言葉を口にするラウルを。ラウルが言っている「ここが現実だって」とか言っている意味は、分からないだろう。でもナキエルは言う。

 「ラウルさんが、情けない人でも、ラウルさんは、私を助けに来てくれました。怖いと思いながらも私のためにあの人たちをどうにかしてくれました。だから、私は、ラウルさんにありがとうと言いたいです。ラウルさんの事情は分からないけれど、でもラウルさんが頑張ろうとしているのはわかります。だから……、私はラウルさんの知人に預けられた存在だって聞いてますけど、私を傍においていてくれませんか。私は……ラウルさんを支えたい」

 「ナキエル……」

 情けない顔をしているラウルはそういって、ナキエルの頬に手をあてる。そして……顔を近づけはしたが、キスはしなかった。

 「あ、ありがとう。ナキエル」

 声を発しながらラウルは内心戸惑っている。

 (お、俺今何をしようと、キ、キスなんて、そんな……)

 とヘタレなので動揺していた。口づけされるかと期待していたナキエルは残念そうな顔をしながらも笑うのであった。

 さて、そんな二人のいちゃいちゃしている空間の中に、もう一人の存在が居る事を二人は気づいていない。

 誰かといえば、もちろん、リアである。

 (……チョロい。チョロすぎるよ! ナキエル、特に。課外実習で戦う事への狂気を見せていたのが、こんな軽く落ちるんだ。あんなにラウル情けないのに! というか、そのままキス出来ないあたりヘタレだよ。異性とキスとかしたことないんだろうなぁ。まぁ私も前世も現世もしたことないけれど。でもとりあえずこの世界は現実だってちゃんと理解はようやくしたかな。……ああ、見届けてたら遅くなっちゃったし、帰って寝よう)

 そしてリアは見届けた後、自宅に帰宅し、睡眠をとるのであった。



 それからリアがラウルのヘタレっぷりが見るのが面白いという理由でラウルをちょくちょく観察して遊ぶようになったのは別の話である。



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