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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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闇ギルドVS爆炎の騎士 ③

 「ど、どうしよう」

 案の定というか、リアの予想通りギルドマスターには突っぱねられていた。助けたいなら自分で助けろと。そして、闇ギルドの情報だけ渡されたラウルは情けない顔をしていた。

 この世界に落ちてきて、戦闘はしてきたがこのような事態に遭遇した事は今までなかったのだ。魔物相手に戦った事はあったけれど、人相手に戦った事はない。それは人相手に殺し合いをしたことがないという事であり、人相手に戦う覚悟など持っていない。

 相手が魔物だったなら、此処までヘタレていない。

 でも相手は人だ。

 闇ギルドなんて得体のしれない相手だ。

 「……そ、そうだ。リアは」

 そんなことを口走っているが、現在ラウルを観察しながら手を出す気がないリアが動く気はない。

 (うーん、ヘタレてるなぁ。魔物相手は出来て、人相手は出来ないって。敵対している相手なんてどんな生物だろうと関係ないし、殺らなきゃ殺られるなら、殺せばいいだけなのに)

 リア、仮にも友人のラウルがヘタレているのに動く気はない。

 (もしこれで闇ギルドへの特攻も出来ないほどヘタレだっていうなら、とりあえずギルドからは出ていってもらおうかな。それなりにランクが高いのにこんなヘタレがいたらお義父さんに迷惑かけちゃうし。そうなったら私もかかわらず一人で生きてもらうとして、その時にラウルが私の事ばらしても困るからその場合はきっちり脅しておくとして……。それでもばらしそうなら私の手で殺すしかないかー)

 リア、助けるどころか見捨てる気満々である。

 「でも俺リアの場所知らないし…」

 目の前にいて助ける気がない存在に助けを求めても意味がないのだが、ラウルはレベルが高くてもリアに一切気づいていない。

 「このままではナキエルが……」

 (ナキエルが大事ならいけばいいじゃん)

 「でも、人間相手なんて」

 (人間相手で怯えてたら生きていけないよ?)

 「ど、どうしよう」

 (怯える前に動けばいいと思うんだけど。うーん、ヘタレだ。ヘタレてる。いいからいけばいいのに。ラウルには力はあるのだから、相手を殲滅してナキエルを助ける事は出来る。殺す覚悟と戦う覚悟。それさえあれば、《超越者》なんだからどうにもできる。ゲームでのラウルはロールプレイングしていたのかな、凄い堂々としてたのに。まぁ、一日中ゲームしているような廃人に度胸求めても仕方ないか。でも、地球からこっちに来ちゃったんだからこのままだと生きていけるわけないのに。あとこの姿見たらナキエル引くんじゃない?)

 リア、ラウルの独り言に心の中で返答をする。ラウルは情けない独り言を聞かれていることも、情けない恰好をリアの前に曝け出していることも全然気づいていないようだ。

 「ナキエル……」

 つぶやいて、体を震わす様は酷く情けない。

 「ゲ、ゲームじゃないから、ナキエルは死ぬかも……そ、それはやだ」

 口調が何処か幼いのは、もしかしたら中の人は結構幼いのかもしれない。

 (地球でのラウルって何歳なんだろ? 正確には聞いていないけれど、大体高校生ぐらいだろうし。だったらこの反応も当然といえば当然? いきなりこの世界に来たから。いや、でもネアラの母親とか、生身のままこの世界に来て頑張ってたわけで、ラウルとかゲームでのアバターで来ている時点で余裕じゃない?)

 リア、色々考えながら、ぶつぶつ言って、震えているラウルを見る。

 (うーん、背中を押すぐらいはすべき? でもこれで姿見せていざって時は私が助けてくれるはずって勘違いされてもアレだしなぁ)

 リア、背中を押すか悩んでいる。

 ただこの世界に来て間もなく、対人戦をする覚悟も特にないものにそれを強いているのはリアであり、背中ぐらい押すべきかとも考える。しかし、背中を押されずとも動けるようになるべきで。

 (うーん、最初だし、「私は手出しをしないから、一人で頑張って。死んでも知らないよ」って言っておくか)

 背中を押すためと、一人でどうにかしなければどうしようもないよという事を教えるためにも出るべきかと考え、リアはラウルの前に姿を現す。

 リアの姿を見ると助かったといわんばかりにすがりつくようにリアに声をかける。

 「リ、リア。丁度良かった。ナキエルが」

 「知ってる」

 「なら、ナキエルを」

 「私は動かない」

 「え」

 ラウルは信じられないような目をリアに向けた。

 「私も、お義父さんも動かない。ラウル、ナキエル助けたいなら、闇ギルドに特攻」

 「いや、でも! ナキエルの命が……」

 「この世界、命軽い。弱ければ死ぬ」

 「……」

 「だから、ラウル。ここで生きるなら、自分で動く。自分で、自分と守りたいもの、守る。《超越者》。目立つ。ラウル、自分で解決」

 「で、でも相手は人……」

 「人でも、敵は殺す。殺す必要あるなら、躊躇い必要ない」

 「殺すって、リアは……」

 「私は、殺してる。必要あるなら、躊躇いなし。ナキエル、死んでもいいならそのまま。駄目なら、行く」

 「……リ、リアは手伝ってくれたりは」

 「しない。したら、意味ない。ラウル、自分で解決。……解決できないもの、ギルドいらない。特攻。ラウル、死にそうでも助けない。死ぬのや、なら、殺せばいい」

 「そ、それは」

 「じゃ。帰る」

 そしてまたリアはその場から姿を消した。帰ると口にしたのは、そうしないと「見ててくれて助けてくれるのでは」と淡い期待をラウルが抱くのではないかと思ったからだ。

 さて、リアに言い逃げされたラウルはというと、

 「……い、いくか」

 ナキエルが殺される事がやはり嫌なようで震える足で、闇ギルドへと向かうのであった。

 (あんな調子だと死にそうだ。とりあえず見ておこう)

 リアはそんなことを考えながらラウルを追いかけるのであった。





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