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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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課外実習のあとの学園

 リア・アルナスはその日、少し面倒だと思いながら席に座っていた。

 というのも、あの課外実習を終えてから、

 「アルナス、おはよう」

 エマリス・カルトにからまれることが多くなってしまったためだ。

 あの課外実習が終わった後から、”落ちこぼれ”であるリア・アルナスを心配しているのか、一人で過ごしているのが気になっているのか、よく話しかけられるのだ。

 これが一人をさびしがっているとか、実は仲良くしたいけど誰とも仲良くなれないみたいな存在であれば喜んだであろうが、リア・アルナスはこういう風に絡まれることを苦痛に感じていた。

 基本的に一人でいることがデフォルトのリアである。人とともに過ごす事はあまり好きではない。なんせ、人に悟られずに行動したいからとユニークスキルまで顕現しているぐらいの存在なのだ。

 学園に通っているのも、資格を取りたいからという理由しかなく、クラスメイトと交流しようという気さえない。

 「……ん」

 リアはただいつもうなずくだけで、エマリス・カルトと進んで会話をしない。エマリスはそんなリアに色々話しかけてきたりもするわけで、休み時間だとさっさと教室を出れば済むものの、授業前にからまれるのは邪魔だななどとリアは思っていた。

 エマリスがリアに話しかけるのは完全なる善意であろう。そのことは、観察していたからリアにはわかる。だけど有難迷惑である。

 課外実習でおいて行ってしまったことに色々感じているらしく、足手まといだなんていっておいていくなんてと怒っていた。

 話しかけられるのは面倒だが、その意見にはリアも同意である。

 (足でまといだからなどといって捨て置くなんて馬鹿な真似をする人に信用はないから。助け合いは重要だしね。よっぽど、一人でもやっていけるっていう強さがない限り。あの先輩たちは本人達には注意するだけだけど、そういうことをしたっていうのは将来的に報告されるようになっている。だからこのまま行くなら就職も大変かもね)

 本人たちにされるのは厳重注意だけである。が、それを行った事実は消えない。卒業までにこのままの性格で、足手まといだからと中途半端な強さしか持たない彼らが進むのならば就職するのも大変である。

 強さは正義であり、強者の行うことは許容される世界だが、それは強者だからこそ許される事である。誰に有無をいわせない強さ。それがあるからこそそういう生き方ができるという話であって、たかがひとつの国の学園でそれなりに強いだけの存在がそういう生き方をできるわけもない。

 (それにしても、やっぱりハーレム主人公とその一味はめんどくさい。下手に人懐っこいというか、人に話しかけるのに躊躇わないから私が全力で話しかけるなオーラ出していても、課外実習で一緒の班だったからって話しかけてくるし)

 リアは本に視線を向けたままだが、エマリス・カルトはリアの気を引こうと一生懸命話している。リアが視線さえも向けないのを見るとしゅんっと耳と尻尾をしゅんっとさせて去っていくのが課外実習が終わってからの日常である。

 (耳と尻尾だけ気になるけど、本人はどうでもいい。耳と尻尾だけおいて行かないかな)

 などと考えながら犬耳と尻尾だけを触りたいななどと考えているリアであった。

 (このままエマリス・カルトに興味なんか欠片もありませんという態度していれば、そのままあきらめるだろうし、我慢我慢。ここで下手に興味があるって態度したらずるずる行きそうだし、そんな学園生活とかやだ)

 リアの目指している学園生活は、必要最低限誰とも会話を交わさずにのんびりと過ごす事である。下手に目立つこともせず、一介の学生として普通に卒業することが目標である。

 それを思えば騒動の元であるティアルク・ルミアネス達一味に近づくのが嫌だという思いも当然であろう。

 (放課後はラウルを見に行こうかな。ラウルのためにもならないから手を出す気はないけど、もしラウルが死亡することがあったらお義父さんに報告する必要はあるし。何より、友人としてどういう選択をするのかは気になる)

 そんなことを考えていれば、授業の始まりの鐘がなる。

 教科書とノートを開いて、教師の話を聞きながら友人のことを思う。

 (死んでほしいとは思わないし、せっかく会えたから一緒に遊びたいとは思う。でも……この世界で生きていく覚悟を決めて、此処で生きると吹っ切れたラウルとあらためて友人になりたい)

 《爆炎の騎士》ラウルは、この世界にVRMMOのアバターと性能のまま転移してきた。正直ゲーム感覚が残っているだろう。でもここは現実である。

 いくら力があろうとも、死ねば終わりの世界である。

 前世でも今世でも、友人というものをあまり作ってこなかったリアの友人がラウルだ。昔の友人に会えてリアは嬉しい。でも転生者であるリアと、転移者であるラウルでは考え方も大分違うのだ。リアはあらためてラウルがこの世界の現実を知って、この世界で生きていこうと覚悟を決めなければ友人として付き合っていけないと思っている。

 (私は必要なら人を殺す。でも、ラウルはそれを咎めるだろうし。ラウルも《超越者》で、これからずっと生きていかなきゃなんだから、現実を受け入れられるかどうかかな)

 リアは授業中に、ずっとそういう事を考えていたのだった。



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