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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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課外実習の翌日

 課外実習の終わった翌日、リアはユニークスキルを行使してのんびりとしていた。

 相変わらず観察しているわけだが、何を観察しているかといえばラウルとあの少女である。ギルドマスターのもとへ連れて行った結果、ギルドマスターはラウルに少女の面倒を見るように頼んだのであった。

 それでいて少女は、自分より強者には割と素直な性格だったのでラウルにおとなしく従っている。

 転移者であるラウルは逆らうなら殺すなどと物騒なことは考えていないが、課外実習でやらかしてつかまっての今なので、少女のほうは下手に逆らうと殺されるのではないかとおびえている節もある。

 「……ラ、ラウルさん」

 「そんなに怯えないでくれるか?」

 ラウルはショックを受けたような声を上げる。自分はそんなに恐ろしいのかと。

 そんな思考に陥ってしまうのは、やはり彼がまだこちらの世界で生きている自覚がないからと言えるだろう。

 ラウルのようにレベルが150もある強者なんて周りの人とは違うモノでしかないのだ。そんな存在に命を握られていればおびえるのも当然であるのだ。

 (んー、ラウルはまだ全然自覚していないなぁ。うーん、多分地球に戻るのって無理だと思うんだよね。戻れるならネアラのお母さんだって戻っただろうし。となるとこの世界で生きていく覚悟はしてもらわなきゃなぁ。すぐ死にそう。正直折角前世からの知り合いと再会できたんだから、すぐに死んでほしくないしな。と、なると人を殺す覚悟とかも持ってもらうべきかな。殺さなきゃ死ぬって場合でもラウルって殺せないこともあるだろうし。それじゃあ、この世界では生きていられない)

 リアはラウルと少女――ナキエルの姿を視界にとどめる。ちなみにラウルとナキエルは一緒に暮らしている。年頃の男女で同じ家というのはどうかと思うが、この世界に来てそんなに経っていない廃人ゲーマーに女の子を襲う勇気などあるはずがない。

 リアが思うに、ラウルは地球で童貞で女性経験もなかったと思われる。そもそもデートする相手がいるのなら、空いている時間すべてをゲームにつぎ込みはしないだろう。

 (ハニートラップにも気を付けてもらわなければ……。あー、なんで私が友人のそんなのを気にしなければならないのか。放っておいたらいろいろやらかしそう。だってラウルってこの世界で優良物件だしなぁ。レベル150超えの英雄になりうる存在の妻とかみんななりたいだろうし)

 リアはのんびりと思考している。ちなみにラウルはレベルはリアよりも上だが、この世界で生きてきた経験も少なく、リアに気づく様子はない。

 「わ、私に悟られないように私を気絶させられるような存在におびえるなって無理です」

 「あー……ナキエルを捕まえたのは、俺じゃない」

 「え」

 「友人がこのままだと生徒殺しそうだからって捕まえて俺に押し付けてきた」

 「そ、そうなんですか」

 「ああ」

 ナキエルは今までラウルにつかまったと思い込んでいたようだ。

 (当たり前だよね。ネアラだけでも面倒なのにこんな少女抱え込む気ないし。私がお義父さんの所に連れて行ったら絶対に私に面倒見ろっていったに決まっているもの)

 リア、そんなことを考えながら話を聞いている。

 ちなみにナキエルはリアの想像通り生まれながらの《闇ギルド》育ちであった。そんなナキエルがつかまったのもあって、取り返そうと《闇ギルド》は動き出しているのだが……、

 (ラウル、そういう可能性考えてないかも。地球からこちらに飛んで、厳しさわかっていないからだろうけど……。んー、なら放っておくのも一つの手かな。多分ナキエルはともかくラウルは襲撃されても死なないだろうし。死んだら悲しいけど……それは、ラウルが弱かったというそれだけの話だもんね。これを機にラウルがこの世界を実感してくれたらそれはそれでよしだし)

 友人には死んでほしくもないと思っているリアだが、下手に手を出しすぎてラウルが甘い性格のままこの世界で生きていくというのは死ぬのは時間の問題ということになってしまう。

 リアのように素性を隠すこともなくこの世界で生きるのならば、地球と同じ感覚で生きていれば、すぐに死んでしまうのも当然なのだ。この世界は地球よりも断然に命というのが軽い。

 (ま、死んだらお墓は立ててあげるから、頑張って。ラウル)

 そんなわけでリアはそんなことを考えるのだ。

 リアはそのあと、ギルドマスターのいる場所へと向かった。一人で自室でくつろいでいたギルドマスターはもちろんリアに気づいた。

 「どうした」

 「ん。ラウルと少女見てきた」

 「そうか」

 「《闇ギルド》狙ってる。お義父さん、手出ししないで」

 「なんでだ? あいつ、レベルの割にいろいろ知らないから死ぬかもしれないぞ」

 「その時はその時。それで死ぬぐらいなら、生きてけないから」

 「まぁ、そうだな。了解」

 「じゃ」

 リアはそれだけいってギルドマスターのもとから去るのだった。



 

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