表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/460

課外実習4

 ティアルク・ルミアネスと女の戦いに決着がついた。

 レベル差があるのもあって、敗北したのはティアルク・ルミアネスである。女は膝をついた彼を見ながらつまらなそうな表情を浮かべた。

 女は、とどめをさそうと近づく。

 だけど、女がとどめを刺すことは出来なかった。それよりも前に、ティアルク・ルミアネスを気絶させたものがいたからだ。

 自分が何もしていないのに意識を失った少年を前に、女は顔をこわばらせる。

 女が気づかないうちに行動を出来るような存在が、近くにいるという事実を理解したからだ。

 しかし、女はそれ以上思考することは出来なかった。女も、ティアルク・ルミアネス同様に気絶させられてしまったからだ。

 誰にって……、面白がってその戦闘を見ていたリア・アルナスにである。

 (……どうしようかな。おいていったらそれはそれであれだし。『闇ギルド』の所属の実力者って、お義父さんに渡せば色々使い勝手があるかな。そうなると……ラウルかネアラに渡すべきかな? でもネアラじゃ荷が重いか。ラウルは……近くにいるか。丁度良い。持っていこう)

 リア、気絶した女を前にそんな考えを思い浮かべて、女を抱える。抱えている間は《何人もその存在を知りえない》は効力をなさないので、顔や制服が見えないようにローブを纏ったりはする。そして誰にも見られたくないという思いから急いでラウルの元へ向かう。

 「ラウル、これ」

 「リアか……お前、何しているんだ。学生やっているなら実習中だろ? しかもその女は……」

 木の上に居たラウルは、空中に《空中歩行》で浮いているリアに問いかけた。ラウルの知る限りリアは学園の生徒であり実習中でそもそもなんで単独行動をしているのかわからない。しかも何だか黒装束の怪しい少女を差し出しているのも意味がわからない。

 「私、足手まとい。おいていかれた。だから、自由にしてる」

 「……実力隠しているとはいえ、おいていくのか」

 「ん。で、これ、戦闘狂。『闇ギルド』所属。生徒襲ってた。回収。お義父さんに渡して」

 「は? それって、どういう……」

 「じゃ」

 リア、ラウルが詳しく聞こうとしているのにさっさとその場から去って行ってしまった。

 残っているのは、えーという顔をしているラウルと気絶した女である。ラウルははぁとため息を吐きながらも、リアに言われたようにギルドマスターに少女を引き渡す事を考えるのであった。



 さて、面倒事をラウルに押し付けたリアはのんびりと観察をしていた。


 誰にも悟られずに自由気ままにのんびりとすることがリアは好きだ。ユニークスキルを行使して、色々なものを見ていく。

 (おいていってくれてよかった。本当。あのままずるずる一緒に行動とか絶対面倒だし。そういえば、ハーレム主人公おいていったけど死んでないよね?)

 と思考しながら一回ティアルク・ルミアネスの様子を見に行った。

 ティアルク・ルミアネスは目を覚ましており、何がなんだかわからない様子だが、大丈夫そうである。それを確認するともう用はないとばかりにリアは別の場所を見に行った。

 そうしたらあの過去あり主人公とリアが勝手に呼んでいるカトラス・イルバネスが居た。

 カトラス・イルバネスはやる気がないとはいっても、リアやソラトほどに徹底していない。本気を出していなくてもそれなりに使えるぐらいである。だから、実習の班のメンバーにおいていかれる事もない。

 (ふーん。どっちかはっきりすればいいのに。強くなるのをあきらめたなら学園なんてこなければいいし、本気で強くなりたいならがむしゃらに頑張ればいい。それだけなのにね。ま、見ている分には面白いけど)

 リアはカトラス・イルバネスを見ながらそんなことを考える。

 リアにとって、強くなる事をあきらめるという思考はない。そういう考えは理解出来ない。この世界は前世と違って、頑張れば頑張るだけ、無理すれば無理するだけ、死にさえしなければ強くなれるとリアは実感しているのだから。

 死にたくないからこそ、強くなりたい―――。リアはそう望んでいる。だから壁にぶつかって強くなる事をあきらめた存在の思考など理解もできない。

 (過去あり主人公君って、それなりに素質はあるんだろうし、今からでも頑張れば強くなると思うんだけどなー。ま、いいか)

 そんな風に考えながらも干渉する気のないリアはそのまま他の生徒たちを見に行った。魔物と戦っている生徒たちの使用するスキルをみたり、リアに全然気づかないギルドメンバーの横を通り過ぎたり、ちょっと強そうな魔物が居ればさらっと退治したり。

 本当に我が道を行くというか、自由に過ごしていた。

 そうやっていたら、「……アルナスどこだ」と必死に探してくれているエマリス・カルトを発見した。

 (探さなくていいんだけど。でも出て行った方がいいかな。と、その前に……)

 リアは面倒そうに溜息を吐いて、近くにいたネアラの元へと急ぐ。

 「ネアラ」

 「うおっ、リ、リア姉……な、なに」

 「班の人、私探す子、一人。ネアラ、私保護した。連れてく」

 「あー……私が保護して連れて行ったってことにすればいいの」

 「ん。呼び方、気を付ける」

 「あー。リア姉って呼んだらダメってことね。わかった」

 そしてリアはネアラに保護してもらいましたという状況にして、エマリス・カルトと合流したのだった。


 ちなみに実習が終わった後、リアの班は班のメンバーを置いていったということで厳重注意がされていた。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ