ぼっち英雄はギルドに呼び出されました。
リアはソラトにあれだけ一緒に出掛けようとか誘われたにも関わらず、結局の所頷くことなどしなかった。
すぐにでもルーンと殺し合いたい(遊びたい)という思いから、霊榠山に向かいたかったリアであるが、ギルドマスターである義父にギルドに呼び出しをくらってしまったため、ギルドへと顔を出すことになってしまった。
いつものようにリアは、《何人もその存在を知りえない》を行使して、誰にも気づかれないようままにギルドの中を進んでいく。まさか、ギルドの受付嬢も、《姿無き英雄》がスキルを行使してまで姿を隠してギルドマスターに会いにきているなどと想像もしていないだろう。
リアはギルドマスターの扉の前まで行くと、まずは耳を近づけて中に人がいないかを確認した。音などをたてるとリアのユニークスキルは一旦とかれるのである。これで油断して扉をあけて誰かいるのも嫌だったのだ。
音をきき、スキルを行使し、本当にギルドマスター以外いない事を確認するとゆっくりと扉を開ける。
「よ、リア」
扉を開けた先で、ギルドマスターは手をあげてそんな風にいった。
リアは扉をゆっくりとしめて鍵をかけると、ギルドマスターへと突撃した。
「名前で呼ばないで! どこに誰が居るかわからないのだから」
「本当に、お前は面白いよなー。ギルド最高ランクなんて目立って当然だろうに」
「嫌」
むーと顔をしかめてリアは反論をする。そんなリアの事がギルドマスターは心の底から面白くて仕方がないのだろう、楽しそうに笑っている。
《姿無き英雄》と呼ばれる強者をこんな風にからかえる存在はそうはいない。
「それでお義父さん、何の用?」
「ん? 特に用はないぞ」
「……お義父さん」
「ははは、そんな怒るな。嘘だ嘘。お前に指名依頼が来ていてな。面白そうだから受けたから」
「お義父さん! 何やってるの! 本人の許可もとらずに勝手に受けるとか!」
リア、大激怒である。しかしリアに睨まれようが、ギルドマスターは相変わらず笑っている。睨まれても特に怖くないといった様子だ。
「いいじゃないか、別に。大体、本来ギルド会議にもちゃんと出席しなきゃいけないところを、特例使っているんだぞ?」
「……参加はしているもん」
「俺とゲンとルノ以外には認識されていない状態で参加しているとは言えないだろ」
そういいながらもギルドマスターは心の底から楽しそうに笑っている。
「……それで、指名依頼ってなに」
結局の所身内にはなんだかんだで甘いリアである。ギルドマスターへの恩も感じているのもあって、なんだかんだで依頼を受けるらしい。
それを聞いて、ギルドマスターはにやりと笑った。その笑みに、リアは嫌な予感を感じる。
「護衛依頼だ。ま、姿は現さなくても問題ない。それは了承済みだ」
「………誰の?」
「お前のクラスメイトで、《エルフの女王》の親類であるレクリア・ミントスアのだ」
「え、なんで」
素直に驚いたらしい。リアの口から驚愕の言葉が漏れる。
正直護衛任務って誰のだと警戒していたリアであるが、まさか、クラスメイトの護衛だとは思わなかったのである。
(え、なんで? 確かにミントスアはエルフの女王様の身内らしいし、護衛は必要だろうけど、どうして私に来るの? 意味わかんない)
リアは嫌そうに思考を巡らせていた。
正直何故、自分にレクリア・ミントスアの護衛依頼が来るのかわからなかった。
「ティアルク・ルミアネスがなぁ、《姿無き英雄》とあったということを言ったらしい。で、興味を持ったと」
「……へぇ」
リアはギルドマスターの言葉に返事を返しながらも、冷たい表情を浮かべている。
(ふぅん、私と戦ったことを、言ったのか。でもハーレム主人公ってミントスアのこと、普通のエルフの少女と思っているわけでしょう。そんな相手に会ったとかいうとか、馬鹿なの? そもそも本当に隠す気なくない? そのうちさっさとゲンさんたちの弟子だってばれそう。てか、めんどくさい。闇討ちしよう)
リア、ティアルク・ルミアネスへの怒りを募らせていた。
「護衛って、どこまで?」
「エルフの国までだ。ついでにマナにもあっておけ」
「……なんで」
「マナもレクリア・ミントスアがリアを護衛に選んだ事は知っているからな。すぐそこまで来ておいて会いにいかないとあいつ、煩いぞ」
「………めんどくさい。でも、わかった」
エルフの国まで護衛をしなければいけないらしい。加えてエルフの女王様にまで会いにいかなければならないと。考えているだけでリアは心の底からめんどくさかった。
でも仕方がない。自分より強者が言っている言葉なのだから、無視するわけにもいかない。それにエルフの女王様に会いに行かなければ煩いという言葉にもリアは同意していた。
「――…用事それだけ?」
「ああ」
「護衛いつから?」
「明々後日だ。準備しておけ」
「わかった。じゃ、もういく」
リアはそれだけ口にするとまたユニークスキルを行使してその場から姿を消すのであった。




