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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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予定通りのテスト結果。

 (うん、オッケー。予定通り)

 テストは全日程終えていた。そして、その結果がこの度それぞれの手へとかえってきたわけだが、リア・アルナスは決してほめられるべきではない平均的な点数しか取れていない成績通知を見ながら、心の中でほくほくしていた。

 顔は無表情であるが、内心、予定通り目立つことのない平均的な点数をとれたと喜んでいたりする。

 最も本当に全てが平均点とかでも別の意味で目立つのでそれなりに教科によって点数にばらつきが出るようにしていた。それでいて全体の順位は平均になるように。

 なんとも器用で面倒な真似であるだろうが、リアにとってはこれも必要なことであるらしい。

 「ティアルクは流石ですわ」

 「流石ですねぇ」

 「凄いぞ!」

 「そうかな? たまたまだよ」

 そんなティアルク・ルミアネスとそのハーレムたちの会話が聞こえてきて、リアはそちらに視線を向けた。

 フィリアはクラスが違うためここにはいない。

 なぜ、ティアルク・ルミアネスのことを彼女たちがほめたたえているかといえば、理由は一つである。

 「いやいや、たまたまで一位は取れないだろ」

 そう突っ込むのは、ティアルクの親友であるアキラである。

 そう、ティアルク・ルミアネスはこの難易度の高い学園の定期試験で一位をたたき出していた。ちなみに、実技も同様である。

 ティアルク・ルミアネスは謙遜するように言葉を発し、嬉しそうな顔をしているが、正直な話を言えばリアには全くもってその気持ちが理解できなかった。

 (ハーレム主人公は本当に隠す気一切ないなー。なんていうの、隠しているつもりだろうけど、ボロが色々出過ぎてて、びっくりだよ)

 《竜雷》と《風音姫》の、ギルド最高ランク所持者であるかの二人の弟子であるティアルク・ルミアネス。

 二人は普通の学園生活を送ってほしいと望み、自分たちの弟子であることを隠すように言ったと聞いている。

 (……隠す気あるみたいだけど、馬鹿すぎる)

 しかし、全然隠せてはいない。本当に隠したいならもっととことんやれよとしかリアは思えなかった。

 (第一、こんな雑魚たちの中で一位になったって何が嬉しいんだか。ハーレム主人公の思考って全然わからない。見ているぶんには面白いけどさ)

 リアは相変わらずさらっと酷い事を考えていた。学園に存在する生徒たちを雑魚と一蹴し、こんなところで一位になっても嬉しくないなどと思考する。

 最も雑魚だろうとも万が一にも自身を殺す可能性はあるだろうとは、理解しているため、リアは常に警戒を怠らない。

 リアは本当にティアルク・ルミアネスが何を思って一位を取ったのかは理解不能であった。

 そもそも実践に基づいた勉強をするのがこの学園であり、実際に実践を経験しているギルド所属者が良い点を取れるのは当たり前といえば当たり前である。

 一位を取るためには少しは勉強しなければならないかもしれないが、大抵の事は勉強をしなくても実践経験者にとっては当たり前に知っていることでもある。

 特に勉強をせずに挑んだとしとしてもそれなりの点数は取れるだろう。

 (ハーレム主人公って、こつこつレベルをあげたわけじゃないし、実践経験もなさそうだし、なんていうか、本当レベルと実力があっていないっていう典型的な人間だよね。だからいくらギルドランクAを所持していても、勉強しなきゃ一位を取れないっていう事かな)

 そうリアは考える。しかしだからといって普通の学生生活を行うためにばれないようにするように言われているのにそんな目立つ事をする理由がよくわからない。

 (ちやほやされたいってことかな? でもそれなら隠すことなんてせずにゲンさんとルノさんの弟子として堂々と入り込めばいいって話だよね。なんであのハーレム主人公って、そうしなかったんだろうか?)

 正直そんなに目立ってちやほやされたいというのならば、最初からギルド最高ランクの弟子だということを暴露すればいいのにとさえリアは考える。

 それをしないということは、どこまでも中途半端であるということ。

 実力をさらしたくはない。”普通”ではないと知られたくない。だけど負けたくないとかそういう思考でもあるのだろうか。

 (ま、いいか)

 別にティアルク・ルミアネスの正体がばれようがリアにとってみればどうでもいいことであった。自分に火の粉さえ来ないのならば。

 そして次にリアは、もう一人の主人公枠を見る。

 ―――過去あり主人公っぽい主人公、カトラス・イルバネスを。

 こちらはこちらでやる気の欠片もないのか、見事なまでに最低点である。多分やればできるだろうが、一生懸命やる気はないらしい。それでいて留年しないように最低限の点数は取っている。

 (…てか、そんなにやる気ないならこっちもこっちで学校やめればいいのに。結局のところ過去あり主人公君も中途半端で、強くなる事をなんだかんだであきらめてないのかなー。ま、いいや。観察しようかな)

 相変わらず無表情のまま、クラスにいる二人の主人公を観察してリアは遊んでいるのであった。



 そして、学園に入ってはじめての夏休みが始まる。





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