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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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ソラトは今日もリアのことしか考えていない ⑧

 慣れていない、初めての依頼をこなすというのは基本的に誰しも緊張するものである。

 特に人との関わりが強い依頼を初めてこなすというのならば、上手くいかないこともあるだろう。

 そういう風に、失敗してきたものたちのことを《炎槍》はそれなりに見てきた。《炎剣》と呼ばれるソラトは、これまで魔物討伐ばかり行っていた。それはロスも把握している。

 だからこそ、もっと頼られたり、補助をしなければならないと思っていたわけである。

 ……しかしソラト・マネリという人間は基本的に何でもそつなくこなす天才型の人間である。

 もし失敗したら――などという不安を彼は感じない。ソラトは依頼において万が一、誰かのことを犠牲にしてしまったとしても、特に何も思わないだろう。失敗したところで「リアちゃんから失望されるかも」と焦るだけであり、それ以外の何も感じない。

 手に入れた情報から、最善手を選ぶ。そして、そのまま誰の手を借りることなく解決してしまう。

 彼は誰の力も借りずにそれだけのことを出来るだけの才能を持ち合わせているのである。

 そのことは《炎槍》にとっても予想外だった。声からしてみても明らかに若い。どういう種族であるかは定かではないが、どの種族であっても若者と言える年代であるように思えた。

 だからこそ、余計にロスは不思議な気持ちになって仕方がない。

「《炎剣》はこういう任務は初めてなのであろう? それにしては妙に落ち着いている」

「焦る必要は一切ないですから」

 ソラトとロスは拠点で会話を交わしている。

 彼が焦る時というのは、リア・アルナスに関わる時だけである。正直言ってそれ以外の存在が何をどういおうともどうでもいいというのが正直な感想である。彼女からの評価以外は、ソラトはどうでもいいのだ。

「……凄まじいな。お主はいずれ、我らと同じ域になるだろう」

「そうですね。《超越者》にはなるつもりです」

 そう口にするソラトは、本当にあくまで自然体である。

 《超越者》という存在に至らなければ、愛しい少女と同じ時間を生きられない。それを知っているからソラトは無茶をしてでもレベル上げをしようとしている。そして《超越者》に至ることは彼にとっては通過点でしかない。そこに至るだけが目標ではないのだ。

 ただリア・アルナスに追いつくというのを目標にしているので、それがいつ叶うのかはさっぱり目途がついていない。なぜならリアはいつだってソラトの先にいて、レベルを上げていっているから。

「なるほど。お主は良い意味で異常だな。そういう生き方をしていれば孤独にもなり得るが……、そのことをお主はまったく苦には思ってないのであるな。というか、なぜ、異常と言われて笑っている?」

 ロスから異常と言われ、そのことにソラトは声をあげて笑っていた。その様子に、ロスは怪訝そうな顔をする。

「異常っていうのは俺にとっては嬉しい言葉ですから」

 それはリアを表すのと同じ言葉だから。

 ソラトは自分がリアよりは劣っているとは自覚している。《姿無き英雄》と呼ばれ、この世界で存在感を刻み続けている少女からしてみれば自分がまだまだだということが分かっている。それでも同じ言葉をかけられれば嬉しいのだ。

「本当に変わっておるな。お主、周りからミステリアスで素敵などと騒がれておるが、別に周りからの視線などお主は気にしていないだろう。それならば仮面など被らぬ方が騒がれないと思うが」

「そうですね。正直どうでもいいです」

 誰かに何かを思われようとどうでもいいと、はっきりと口にする。

「……俺の評価もどうでもよさそうだな」

「あんまり気にしてないです」

「流石にギルドマスターの評価は気にするか?」

「そうですね」

 ギルドマスターだからではなく、リアの義理の父親だから気にしているだけである。おそらくソラトはギルドマスターがリアの義理の父親でなければどうでもいいと思っていただろう。

 ロスはソラトが何のためにギルドに所属しているのかよく理解が出来ない。こうして話していると、それだけ彼は何もかもに興味がなさそうに見えるのだ。淡々と依頼をこなし、そこに何の感情も伺えない。

 人質を救出したことに対する達成感も、喜びも――そんなものは一切、なさそうなのだ。

 感情が見えず、まるで人形か何かのようにさえ見える。

「お主、何を考えてギルドの依頼をうけておるのだ? ギルドのランクを上げることもそんなに重要視していないのではないか?」

「ギルドのランクあげることと、レベル上げは俺にとって重要です」

「そうか。……お主はよく分からぬな」

 ロスはソラトを見ている限り、ギルドのランクなどという物差しの測れるものに対して関心がなさそうに見えていた。なのに、そのことには固執している様子になんだかちぐはぐなものを見ているような気持ちになる。

 まさか、ただ彼にとって特別な少女と同じがいいからという理由だけでそれを目指しているとは思えないのだろう。

 ロスはこの有能だけど、いささか扱いにくそうな《炎剣》とどう接していくべきかというのを悩むこととなる。……当然だが、ソラトはロスが悩もうとどうでもいいと思っているが。



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