リアは検証をしながら、魔物を倒していく ⑦
姿は見えないのに、確かにそこにいる。
その名前を名乗り、冒険者たちを粛清する。
――リアは、犯罪を犯している冒険者を見かけるとそれを行った。案外、バレることはないと高をくくって好き勝手しているものは多くいた。
リアが見つけていないものも、《姿無き英雄》に罰せられることをおそれて自首してくるものも出てきたようだ。
(馬鹿ばっか。こういう時にそういう風に犯罪をするんじゃなくて、魔物を倒せばいいのに。言い訳ばかりする暇があったら、戦えばいいのに)
彼女はこういう場面で戦わないのはもったいないと思う。
繁殖期の本格化は、人の命がすぐに飛んでいく。
そういう戦いの場に向かうよりも、命の危険のない場所に居たいと思っているのだろう。
(そもそも普通の人ではどうしようもない魔物が現れてしまったら、結局のところどうしようもないのにな。全員死に絶えるだけだし)
抗わなければ死ぬ。生きようとしなければ死ぬ。この世界はそういう世界である。
冒険者ギルドに所属しているのならば、こういう緊急事態において戦わなければならない。とはいえ、戦闘の場に放り込んで使い物にならない場合は困るが。
そういう相手を見かける度に粛清しながら、リアは魔物の相手をする。
人里を救ったり、犯罪者を粛清したり、渦に対する検証をしたりしながら進む。
(あ)
そして、リアはまた人型の魔物を見かけた。
前に見かけた魔力の渦に対して何かをしようとした魔物と同種であろう。見た目は微妙に差異があるが、似ている。
その魔物たちはやはり彼らにしか分からないような言語を喋っている。
「ギュイギュイギュイ」
「ギュイ!!」
リアには彼らが何を喋っているかやはり分からない。
(うーん。ルーンとかケルベロスたちに聞いてみたら分かったりするかな? またなんか地面に描いているなぁ)
おそらくこの魔物たちはこの前と同じことを起こそうとしているのだろうとはリアには想像出来た。
しかし今の所周りで魔力の渦は意図的に生み出されていないようだ。
(何を喋っているんだろう? 今は、魔力の渦を発生させる気がないのは何らかの理由があったりする? 若干焦っているように見えるけれど……どうだろ?)
図を見る限り、やはりこの前と同じく何か発生させようとはしているようだ。しかしどこか焦っている様子を見せている。その様子にも何らかの理由はあるのだろう。
渦を発生させ、またこの周辺で魔物が現れるのならば彼女はそれをどうにかしようとついていく。
(このままついていけば何かしら面白いものが見つかったりする? それにしてもこの魔物達はなんなんだろう? 意図的に渦を発生させたりしているのを見る限り毎回暗躍していたのかな。目的に関しては渦に関する検証か、魔物を発生させることを楽しんでいるかのどちらかかな。ただ知能があるにしてもどのくらい頭が働くのだろう?)
強者である魔物はそもそも繁殖期の本格化が起こったからといってこんな風に渦にちょっかいをかけたりなどしない。人が亡ぼうがどうでもいい。そんな些細なことは気にしないものだろう。
だから目の前にいるこの魔物たちは、そんなに恐ろしい存在ではない。ただ個体ではどうにでもなる魔物でも、数が重なればそれだけ厄介になることは間違いない。
(ただあれだね。こういう知能がある魔物を滅ぼしてしまうとどんな影響が出るかな。些細な魔物だったら別にどうにでもなるけど、何か周辺で影響があったりする可能性はあるか。うーん。全部滅ぼすか、適度に間引くかだなぁ。見つけたら全員狩っていい気はするけど。このままその魔物たちの本拠地に行けたりするだろうか?)
などとリアは思っている。
彼らが向かう先は、山の方だった。
その山の内部に入っていく。
(見えにくいけど洞窟。空洞になっているわけか。それにしても外から人が入ってこないように仕組み作っているね)
特定の岩を触れば、道が開くといった技術を行使している。どうやって魔物がそういう技術を使っているのか全く分からない。
(どれだけ長生きしているのかな。長生きしている中には強い個体がいる? どうなんだろう? 今の所弱い個体しか見かけてないけれど、もっと強い個体がいるのならばそれは警戒しておかないとダメかな。私のことを気づかないことはないと思うけれど……どうだろ? 気づく個体いたりするかなぁ)
そんなことを思いながらリアはそのあけ放たれた道へと入る。そうすれば、急に音が鳴った。
「ギュイ!?」
「ギュギュギュイ!?」
それと同時に前を歩いていた魔物達が急にリアの方を向く。そして、リアの姿を彼らは認知したらしい。
(おお。音と共に私のユニークスキルが解けた? 姿が見えなくても感知できるような何らかの魔法とかがかかっている感じ? それはそれで凄いなぁ。一旦、この二匹狩ってからずらかろう)
このまま進んでいけば、彼女にとって未知の技術が沢山あるかもしれない。ならば、一回引くのもありだろうと彼女はその魔物を狩ると、その場を後にするのであった。




