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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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リアは検証をしながら、魔物を倒していく ④

 リアの目の前にいるのは、あらゆる耐性を身に付けた白い狼。

 その体は当然、リアよりも何倍も大きい。そしてそれは、他の生物に関心がないようで、ただただ彼女の息の根を止めようととびかかってくる。

 その攻撃を当たらないように避けながら、どうやって倒そうかと思考する。

(一撃でもあたらない方がいい。あたってしまえばそれだけ危ない)

 こういう未知数の魔物の攻撃を食らってしまえば、何が起こるか分からない。だから当たらないようにすることが第一である。

(さて、色んな耐性はつけたけど、どういう倒し方なら出来るかな。油断を一つでもしたら死んでしまう可能性が十分にあるからその辺は警戒しながら――と、危ないなぁ)

 思考し続ける中で、その狼の咆哮が響く。

 その咆哮も強力だ。

 周りの動きを足止めし、それだけではなく物理的にも吹き飛ばす系のものである。

 リアの小さな体もふわりと浮く。その隙をついてそのまま鋭い牙で攻撃を繰り出してくる。リアはその攻撃を素早く避けて、空中へとまた避難する。

 空へと飛びあがったリアは、そのまま剣を振り下ろす。

(うーん、硬い)

 素早さ特化には意図的にさせてみたが、硬さもある。見た目的にはふわふわの毛並みに見えるのに、それが刃先が通らない。

 それだけ硬いのもリアがそれだけ強者であるからというのもあるだろう。

(……敵対している相手に対応して、耐性をつけるのならば。逆にそこまで強くない人が渦を壊したらどうなるんだろう? 多数を相手にする風に特化するってこと? あとは渦を壊すのが人だけとは限らないか。人以外の存在が壊した場合はどういう特化になるんだろう? そうなるともっとおかしなものが生み出されたりしてしまうのかな)

 避けて、避けて、避ける。

 そして、時折どうやってその命を狩ろうかと思考して、攻撃を繰り出す。

 何度も何度も繰り返すのはそれだけだ。

 ――魔物の向かってくる気力がなくなるぐらいに、かなりの時間がかかっている。でもその狼型の魔物はリアを殺すことを諦めずにいる。リアもその魔物を狩ることを諦めていない。

 逆にこれでリア以外をどうにかする方向に向かうのならば、相手の油断を誘いやすかっただろう。しかし、そんなことは起こらない。

 何度も何度も、同じ場所を狙う。

 少しずつ、削っていく。

 しかも削った所が少しずつ回復していくので、その回復が間に合わないぐらいの攻撃をどんどん繰り出さなければならない。

 魔法は大体通じない。だから、武器でひたすら攻撃を続ける。

 ――そしてようやく、その命が尽きる。

「あー、疲れた!!」

 その魔物の命が尽きた後、リアはその死骸の隣でそんな声をあげる。

 ひたすらに攻撃を避け、同じ場所を攻撃し続ける。

 それは神経を使うものである。

(倒せてよかった。体力回復させる薬いっぱい飲まなかったら負けていたかもな。そのあたりルカ姉から沢山補充しておいてよかった。でも結構、今回のことでためてた分使っちゃったからなぁ。ルカ姉のところにもっと補充しにいかなきゃか。今回は敢えて渦から魔物を湧かせたけど、それ以外の場所でも私が相手にするのが難しい魔物が出てくるかもしれないし)

 リアはそういう思考に至って、どこで補充するかを思考する。

(ルカ姉のところへ戻ると時間がかかりすぎるかな? このままぶっ通しで魔物討伐はし続けたいけど。どうしようかなぁ。というか、ルカ姉も今は忙しい? 私に回す分の薬あるのかな。お義父さんの所へ戻るのは流石に時間がかかるし……一旦、ギルドの職員に声かけるか)

 そう結論付けたリアは、そのまま以前会話を交わしたマッカージの元へと向かうことにした。ギルドマスターやルカの元へ向かうよりもその方が簡単であると判断したようである。

 マッカージはその後、リアに突然話しかけられてそれはもう驚いていた。何度かリアと話しているはずなのだが、それでも彼女があまりにも突然に現れ、気づけば傍にいる状況というのは慣れないらしい。

「魔力回復薬とか、そういう薬、ある? 買う」

 リアが淡々とそう言えば、マッカージは即座にそれを手配する。

「《姿無き英雄》様、どのくらい必要ですか?」

「買えるだけ」

「……そんなにご購入してどうなさるつもりですか? 到底、一人では使いきれない量かと」

「切れたら飲むを繰り返すから、いくらあっても問題なし」

 マッカージはリアがそんなことを言い切るので、驚愕の表情を浮かべる。

「……《姿無き英雄》様、流石にそんな無理をなさっていればいつか倒れてしまうのでは?」

 薬を飲んで無理やり戦い続けるなど、体に良いわけがない。マッカージは心配そうにしていた。

「問題なし」

 リアも流石に常に薬ばかり飲み続けているわけではない。必要に応じてがぶ飲みはしているが、死なないことを第一にしている彼女は倒れるような真似はしない。幾ら周りから無茶しているようにみえようとも彼女はちゃんと、万全の態勢で戦っていけるように休んでいるのだ。

 有無も言わさぬ言葉を告げたリアは、そのまま薬を購入してマッカージの元を去る。マッカージはリアのことを心配してか、繁殖期の本格化が終わった後、ギルドマスターに相談しようなどと決意しているのであった。





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