リアは検証をしながら、魔物を倒していく ②
魔力の渦に関する検証を進めてはいるものの、そればかりリアはしているわけではない。
ギルドの一員として街に迫りくる魔物を倒すという作業も日々行っている。渦に関する検証を行っているのはその合間だけである。
(自分の行動を変えたら、魔物の能力が変わった?)
いつもリアは《空中歩行》で宙に浮きながら、ユニークスキルを行使して渦を壊した際に出てくる魔物と対峙していた。今回は検証のためにもユニークスキルを使わないでおいた。
そうすればその魔物は、やはり空を飛ぶ。
水への耐性もある。そして硬い。それに加えて炎にも耐性があった。
しかしリアがユニークスキルを使用すると、その存在を感知できなくなっていた。
以前、渦から出てきた魔物はリアがユニークスキルを使用していても感知していた。その時との違いを考えてみると、その時にユニークスキルを使っているか使っていないかである。
(私がユニークスキルを使ったから、それを探知できるようになったと考えるべき? そうなると敵対している存在というか、渦を壊した者の使っていたスキルとかに対応する? そうなると見た目はランダムなのか?)
前回と今回の違いは、その時に使用していたスキルが何かというそれだけである。その時、使っていたスキルに対応していき、それに対する耐性がつく……となると中々厄介であると言えるだろう。
(戦う術が少ない人にとってはそれだけ厄介な相手。毎回硬いのは、私がそれだけ物理的に魔物を倒すだけの力があると、判断されているから? そういう判断は誰がどうやって行っているんだろう? 魔力の渦が勝手に判断していく?)
リアは違う方法で魔物を倒そうとしたら、以前検証した時よりも攻撃力が増している。
(……渦の大きさで、対応できるものの数が増えるとかかなぁ?)
違いはなんだろうかと、リアは思考する。
そうしながらも、その硬い魔物を剣でたたき切った。力はいるものの、狩ることは問題がなかった。
「ふぅ」
リアは一息をついて、その魔物を解体していく。
そして少しお腹がすいたので、《アイテムボックス》の中に放り込んでいた非常食を取り出しぼりぼりと食らう。
食事に関してそこまで関心のないリアは毎日食事を摂ることに対して、飽きることもないようだ。
(もっと大きめの渦壊したらもう少し色んな耐性を持つ魔物が出てくるってこと? 倒しやすくするなら一旦、武器とか持たない状態で対峙してみる? そしたら硬くならないとかあるのかな。倒すのが難しそうな耐性をどんどんつけさせて、それで倒したらレベル上げに丁度いいかも)
彼女が検証をして、考えたのはそういうことである。
魔力の渦を壊した際に、その渦の抵抗とばかりに魔物を出現させる。そしてその出現した魔物は、対峙したものの能力に応じた耐性を持つ。
(一回、毒物投げてみる? そしたら毒に耐性持つのかな。そういう耐性を持つなら、解体した時にまた特徴的なものでも手に入る? どこまで耐性ってつくんだろう。どんなことをしても倒せない系の魔物が生み出されたりするのかな。でも流石にそうなると誰も倒せなくてこの世の終わりみたいになるか。ただどれだけ耐性があったとしても、それ以上の火力を持ってすればどうにでもなる?)
その耐性はどれだけ多くの耐性を持つのか。それでいてどのくらいの耐性なのか。
リアはどれだけ恐ろしい魔物が現れるのだろうかと、そう考えて少しぞっとする。ただそれだけ恐ろしい魔物だったとしても、それを倒すことが出来れば自分はもっと強くなれるとうずうずした気持ちにもなる。
(戦いたいな。そういう強い力を持つ魔物。その魔物にも勝てるのならば、私はもっと強くなれる。ちょっとずつ段階をあげて強い魔物にしていけばいいかな。それで渦を壊した時の魔物を倒せば渦もなくなって一石二鳥だし)
続けて検証をすることにしたリアは、色んな耐性をつけてみることにする。
渦を壊したその時の状況を色々と変えてみる。そうすればリアが想像している通りに、魔物の耐性は変わっていった。
様々な耐性を持つ魔物。渦の大きさによってその耐性のつよさも異なるようだった。火力で押し切れるかというチャレンジをすると、異様に物理攻撃に耐性を持つものが生まれたり、火属性の魔法に対する耐性を持つものが生まれたりしていた。一つの耐性に特化すると、複数の耐性特化にはならないらしい。
(ふぅん。面白い。こんな風に色んな耐性が変わっていくんだ。それにしてもどんな火属性の魔法を放っても死なないって中々面白い。見た目的には火に凄く弱そうに見えるのに。というか、渦から出てきてからそういう風に変わっていくとなると……どういう体の仕組みしているんだろうか? 渦が魔物になって、その渦にある何らかの力が魔物の体を組み替えていくとかそういう感じ? うーん、全然分からない。こういうのはもっと研究職の人とか、調べるのが得意な人たちに調べてもらった方が一番いのかも)
リアだけで検証していても詳しい部分までは分からない。実際に対峙してみてどのような魔物が生まれるかという事実を記録することは出来るが、細かい仕組みまでは分かるはずもないのである。




