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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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学園最後の二学期のはじまり ②

 他人への同情と哀れみの気持ち。それでいて自分ならばその問題を解決できるという自信。

 それらが溢れていて、自分が目の前の少女を救えると酔っているのかもしれない。ハーレム主人公は、周りに目を向けるだけの余裕で溢れているのだ。

(卒業後も色んなことに自分から首を突っ込んでいくんだろうな。うん、そのうち危険な目に遭って死にそう。今はたまたま上手く行っているだけで、油断している状況で全部上手くいくなんてありえないから)

 リアの目から見て、ティアルク・ルミアネスは自分の人生はこれからも明るいのだと安心しきっているように思えた。その人生が脅かされることがあると想像することなく、生きている。

 だからそのうち、何かしらの痛い目は見るだろうということは想像が出来る。

(というか、魔物の繁殖期が本格化した段階で死にそう。ルノさんとゲンさんの弟子なら、繁殖期の前触れの今の時期に青春を謳歌する暇なんてないはず)

 ルノとゲンは、魔物の繁殖期がどういうものであるか知っていることだろう。

 だからこそ、そのことは弟子であるティアルク・ルミアネスにも伝えているはずなのだ。

 それを聞いた上でこれだけ油断しきった様子で青春を謳歌しているのはリアからしてみれば、本当にありえないことである。

(ギルドに所属していてその名を背負っているのならば、既にハーレム主人公には責任は生じている。まだただの学生としてここにいるからいいけれど、ギルドの一員として動いていてその調子だったらギルドにとって注意する対象になりそう。問題を起こし続ければ除籍対象。《超越者》とか、ギルドにとって欠かせない存在ならともかくそうでないのならば切り捨てられそう。あれだなぁ。ハーレム主人公ってルノさんとゲンさんに面倒をみてもらっているからこそ、自分で生きてきた感じないのかも。レベルも《キマイラロード》を倒せたからだけ。うん、まだ十代だからかルノさんとゲンさんに甘えている感凄い。ハーレム主人公、彼女沢山。もしギルドを首になったら養っていくのも大変そう。あ、でもヒモになる可能性もあるのかな)

 リアはティアルク・ルミアネスたちのことを見ながら、そんなことを考えていた。

 彼のレベルは、ほぼ上がっていない。その状況でトラブルを起こし続けるというのならば、そのうちギルドとしても問題にはなるのかもしれないとリアは思って仕方がない様子である。

(世の中には前まで凄かったけれどハーレムに溺れて落ちぶれる人もいるけれど、そもそもそういう高みにまで行けているわけでもないしなぁ。まぁ、学園卒業したら観察することもなくなるし、どうでもいいか)

 今は、学園内で観察対象にしている。それはただ目につくからにすぎない。学園を卒業すればリアはハーレム主人公たち一味のことは観察もしなくなることだろう。《超越者》であるリアにとって、学園での三年間は通過点でしかない。わざわざ見に行くほどの存在でもないので、そのまま関わることはなくなるだろう。

(ネアラやイルバネスのことも基本的には卒業後は放置になりそう。たまに鍛えはするけれど。そういえばイルバネスは卒業後、どうするんだろ? 一応聞いとくか)

 リアは次にネアラやカトラスのことを思考している。リアに鍛えられるようになってから、カトラスはそれはもう意欲的にレベル上げに励んでいる。リアやソラトは別に働きながら、ギルドの仕事も進めていく予定であるが、カトラスは戦いの道に行くことだろう。

(どこか拠点を構えて冒険者やるのか、それとも旅をしながらやるのか。ネアラは一か所に基本はとどまっていそうだけど、イルバネスがぶらぶらするなら鍛えるためにわざわざ探すのも面倒だしなぁ)

 リアは基本的に自分本位な人間なので、気まぐれにしか人を鍛えようなどとはしない。カトラスが卒業後に様々な場所に赴き定住しないのならばわざわざ会いに行こうとはリアはしないだろう。というか、リアは人に自分から関わろうとはほとんどしない。

 そう考えるとギルドマスターやソラトなどの元へリアが赴くことがあるのは、なんだかんだ彼らがリアにとって関わるに値する位置と思われている証であろう。

(イルバネス、もう帰宅したか? ちょっと探して見つけたら聞いてみるか)

 そんなことを思ったリアは、そのまま学園内をぶらついている。

 そうしていると、ソラトとポユのことを見かけた。

 面倒そうな表情をしているソラトとそんな彼に話しかけているポユ。

(ソラト、面倒そう。あの子、ソラトと関わりたいみたい。ソラトは興味がない相手にはとことん興味ないからなぁ。期待したところでどうしようもないのが分かってなさそう)

 ポユはソラトが自分の方を振り向いてくれることを期待しているというのが、観察しているリアにも分かる。しかしソラトはそんなものに影響を受けるような人間ではないのだ。



 

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