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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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ハーレム主人公の観察記録1

 「ティアルク!」

 「ティアルクさん」

 「あ、あの」

 「ティアルクさん……は」

 リア・アルナスは、中庭で繰り広げている見事なハーレム光景を木の上から面白げに見て居た。

 ハーレムの中心に居るのは、リア曰く『ハーレム主人公』であるティアルク・ルミアネスである。

 こんなハーレム本気で居るのかと疑いたくなるほどに主人公属性を持ち合わせている。正直リアは関わりたくはないが、見て居る分には面白いと思っていた。尤も尊敬できるゲンとルノの弟子としては到底未熟で何とも言えない気持ちになるものであるが。

 現在、リアが確認している『ハーレム主人公』のハーレムはクラスメイト3人と決闘によって親しくなったフィリア・カザスタスの四人。入学してすぐに女子をたらし、惚れさせるなんて驚くべき才能であるとリアは思う。

 (公爵家の令嬢に、エルフに、獣人。あと決闘で助けたわけあり貴族ねぇ。そして全員絶世の美少女って、何だか現実でこんな風にハーレム形成されてると正直驚くよね)

 世の中の男が夢見るハーレムを意図的ではなく、簡単に形成し、なお全員が絶世の美少女なのである。これからもどんどん増えていくとすれば、将来的にどうするべきなのだろうかとさえ思う。

 「ティアルク、ティアルク」

 ティアルク・ルミアネスの名を呼びながらも嬉しそうにその茶色の尻尾をブンブンと振っている少女が居る。ティアルクのハーレムの一員でもあるエマリス・カルトは犬の獣人であり、愛情表現はストレートだ。その尻尾を見るだけでもエマリスの気持ちはよくわかるといったものであろう。

 (もふもふ、ちょっと触りたい)

 動物が嫌いではないリアはそんな思考に陥るが、かかわりたくないけれども毛並は触りたいなどと我儘な話であろう。

 しかし、基本的に『強者』というのはほとんどの願いがかなう事もあって我儘で、自分勝手なものだ。実際、リアが《姿無き英雄》としてモフモフしたいという邪な願望を口にしても、それはかなえられる事だろう。が、リアは《姿無き英雄》であることを周りに悟られる気はない。

 (あとあの子、普通のエルフ族ではないしなぁ。隠しているらしいけど、エルフの国の有力者の娘だし)

 リアはティアルクのハーレムの一員であるレクリア・ミントスアをちら見する。エルフの国――あのエルフの女王様マナの国から留学という形でこの学園に通っているレクリアは隠しているようだが実はエルフの国の有力者の娘だったりする。

 ちなみにリアが何故そんなことを知っているかといえば単純にユニークスキルを行使してうろうろしていた時に見聞きしたというだけの事である。

 このアルフィルド学園ではこの世界でも有数の実力派な学園であり、エルフの国からこうして留学生が来ていてもおかしくはない。まぁ、このゼフス大陸は全体的に人間の方が多い大陸で、なお、学園の存在するフット王国の国民はほとんど人間である。

 それもあってこの学園の生徒はほとんどが人間である。

 そんな学園の中で数少ない人間以外の種族の二人を意図せずにハーレムに引き入れているなんて色々と傍目に見てなんだかなぁという気分になるリアであった。

 (どうしてハーレム主人公って、次々と女を陥落させていくのだろうか。というか、無意識に惚れさせるとかどれだけコミュニケーション能力あるんだよって感じだね)

 正直前世からの筋金入りのコミュ症とも言えるリアからしてみれば、そのコミュニケーション能力は見て居て脱帽する。

 「ティアルクさん、あの……」

 クラスが違うというのに毎時間のようにティアルクの側にやってきているフィリア・カザスタス。正直リアはコミュニケーション能力の異常に高いティアルク・ルミアネス一味の中で唯一自分とお仲間でコミュ症なのではないかと思っている。だってクラスに友人が居るのならばティアルクのもとに毎時間やってくるわけもない。

 (ピンク色の髪とかいかにもチョロインって感じがする)

 などというちょっとひどい事も考えていたりもする。まぁ、口に出していなければ何も問題はないだろう。

 『ハーレム主人公』は当たり前のように美少女を侍らす存在である。正直同性からはねたみの視線を受けても仕方がなく、同性の友達が居ないものだと思えるのだがティアルク・ルミアネスには親友と呼べる男子生徒が居る。

 今は教室に居ないその男の名をアキラ・サガランという。『ハーレム主人公』のハーレムに最も近い位置にいる男子生徒といえるだろう。流石、真のハーレム主人公というべきか、異性だけではなく同性からも認められ、愛されているらしい。

 (完璧すぎる。実力を隠して学園に入学、ハーレム形成、隠すのが下手すぎて勘ぐられる、ハーレムをどんどん増やす―――これは確実に早い段階で正体ばれるフラグな気が……)

 此処まで来ると前世で軽い気持ちで読んでいた最強主人公ものの携帯小説のまんまになる気がしてならないリアであった。

 (まぁいいや。なんかの襲撃とか、『ハーレム主人公』の過去にまつわり世界規模な出来事とか、色々起こっても私は好き勝手にやるだけだし)

 結局、結論としてそんな思考に陥るリアなのであった。




 ―――《姿無き英雄》は、その存在を面白がって観察している。




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