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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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《爆炎の騎士》は魔物の繁殖期が近づく事にドキマギしている。

 《爆炎の騎士》ラウルは、レベル百五十の《超越者》である。

 この世界にやってきて一年半ほど、そのレベルは一レベルも上がっていない。そもそもの話、《超越者》に至ったものは一レベルあげるのにもそれはもう多くの経験値がいる。十年かけて一レベルをあげたり、生涯、レベルがそれ以上上がらなかったり――そういう例は何処でも見られているので、ラウルのレベルが上がっていないというのはおかしいことではない。

 ただ《姿無き英雄》リア・アルナスが常に危険な場所に飛び込み、常に経験値を溜め続けるという周りからしてみれば信じられないことを常にやり続けているからこそ、レベルを少しずつあげているだけである。

(……魔物の繁殖期)

 ラウルは家で魔物の繁殖期について考えて、緊張していた。というのも、この世界にやってきて魔物退治や対人戦に少しずつ慣れてきているものの、それでも魔物の繁殖期と呼ばれるほど魔物が大量に出現する時期が近づいていると思うと恐ろしかった。

 ラウルだって大人なので、それで怯えて混乱するということはなかったが、それでも恐怖はある。

 自分は死なないにしても、誰かが必ず死ぬ。魔物の繁殖期について調べていても、死者が多く出ていることは分かっている。

 魔物の繁殖期が起こった時は、下手すれば国や街が魔物に飲み込まれてしまうこともあるらしい。

 それを考えただけでラウルはぞっとしてしまう。

(地球で言うと津波や地震で街が飲み込まれることはある。それと同じような感じで人が亡くなる可能性が大きいということだろう。というかこの世界、自然災害もあるし、魔物もいるし、本当に危険だ。だからこそハーレムも多くて子だくさんの家が多いって聞くけど……)

 この世界は子孫を残すことが大事だとされている。血というものは重要で、どこの生まれかというのはこの世界で大事である。

 まぁ、地球からここにやってきたラウルも孤児院で育ったリアもこの世界では血の繋がりのあるものなんていないわけだが。とはいえ、ラウルもリアも《超越者》なのでもし仮に子孫を残したらその子孫はそれだけで価値があるだろうが。

(……ギルドの資料を見ただけでも、魔物が大量に押し詰めてくる様子の絵もあったし。怖すぎる。ああいうのに飲み込まれたら俺だって生きていられるか分からない。目の前で危険な目にあっている人がいれば助けたい。でもそんな余裕が俺にはあるのだろうか。レベルは高いから、俺は戦う力はある。実戦経験も少しずつ積んできている。それでも……俺はリアのように割り切れないし、リアを見ていたら自惚れなんて出来ない)

 リアがいなければ、ラウルがもっと楽観的な性格だったのならば――もっと自惚れてしまったかもしれない。自分は強いのだと、自分はもっとなんでも出来るのだと。だけどこの世界は、危険に満ちている。それでいて、リアの強さを目の当たりにしていれば、ラウルは自惚れなど出来ない。

(……魔物の繁殖期を乗り切れれば、俺はもっとこの世界に慣れることが出来るだろう。でも、正直怖い。どれだけ危険なのだろうか。街にいたとしても状況次第では、危険に陥る。俺はギルドに所属しているし、魔物の繁殖期において沢山戦わなきゃいけない)

 気晴らしのために外に出て、剣を振るう。どうしてもラウルは、不安である。魔物との戦いに慣れても、そんなに大量の魔物と戦うことを恐れている。それに大量の魔物を葬るためとはいえ、力を行使して誰かを巻き込むことになったらどうしよう――とか、まだやってきてもいない魔物の繁殖期に不安を感じていた。

「ラウルさん」

「ナキエルか……」

「なんだか最近落ち着かない様子ですけど、大丈夫ですか?」

「ああ。大丈夫だよ」

 ナキエルには魔物の繁殖期のことは告げていない。ナキエルはラウルが面倒を見ているだけで、今は何処にも所属しているわけではなく、そんなナキエルに話すのもどうかと思い、ラウルが話していないからである。

(ナキエルが危険な目に遭わないようにも。俺がこの世界で出会った人たちが死なないようにするためにも――怖いけれど、緊張するけれども……戦わないと)

 怖いと、恐ろしいと、ずっとラウルは思っている。

 この世界にやってきて、様々な経験をして恐ろしいと言う気持ちを感じてばかりだ。だけれど、それでもラウルはこの世界で今、生きている、

 周りの人々も、ゲームの世界の登場人物ではなく、確かにこの世界で息づいている。

「ナキエル、外にご飯を今日は食べに行こうか」

「珍しいですね! 行きたいです」

「じゃあ、行こうか」

 ラウルはナキエルと一緒に、食事を食べに歩いていく。



 ――天気の良い空、穏やかな風、笑顔のナキエル。

 どこまでも平穏な日々は、何かの拍子に崩れてしまうことが当然ある。だけど魔物の繁殖期が起こっても、今の日常を守っていきたいとラウルは思った。……とはいえ、恐ろしくて仕方がないことは変わりがないけれども。




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― 新着の感想 ―
[一言] ラウルさん、メンタル弱! これ、あっさり死にそう
[良い点] 更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 [一言] ラウルは未だにウダウダしている でも、いきなりこんな環境に放りこまれたら、こうなるかな まぁ、悩めるってある意味幸せなこと…
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