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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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ギルドは魔物の繁殖期の準備をしている。 ②

 ギルドマスターは、ギルドに所属する事務員と一緒に会話を交わしている。リアはその間、何も声を出さない。

 ギルドマスターもリアがいることを気づいているようだが、流石にここで声をかけることはない。

「ではギルドマスター。魔物の繁殖期においての支部の方々との話し合いの日程は先ほど伝えたとおりになります。よろしくお願いします」

「ああ。分かった」

 どうやらギルドマスターは、繁殖期に於いての話し合いで忙しいようである。リアは大変そうだなと思いながら完全に他人事である。

 それから事務員は去っていった。

 そしてガチャリっと扉が閉まってから、ギルドマスターはリアへと話しかける。

「リア、来ていたのか」

「ん。来てた」

 リアはギルドマスターの前に姿を現わす。

 リアの背が低いので、背の高いギルドマスターと並ぶと、本当にリアは子供にしか見えない。《姿無き英雄》の姿を、正体を人々は追い求めているが、その小さな少女の姿を見ただけではそうは見えないだろう。

「お義父さん……繁殖期の準備、大変?」

「そうだな。まぁまぁ大変だな。混乱して変なことをやらかす奴もいるしな。自分だけは安全な場所に逃げようと考えているような奴もいる。護衛を携えて自分だけはってさ。魔物の繁殖期ならば、どこだって危険だっていうのに。なるべく一般人にはまだ広まらないようにはしているが、少しずつ皆、魔物の繁殖期が近づいてきていることは勘づいているものもいるし。その関係で詐欺も横行している」

「詐欺って? お金奪う感じ?」

「そうだな。護衛をするから、命を助けるからとそんな言葉を口にして金銭や価値のある物品を奪うやつらもいるんだよ」

「……そういう犯罪行為より、自分で魔物倒したりした方が金たまりそう。それにお金がそんなにあっても使いようがない」

「はは。それはお前が一生分ぐらいもう稼いでいるからだろう?」

 ギルドマスターはおかしそうに笑って、リアの髪を無造作に撫でまわす。リアはそれに少し嫌そうな顔をした。

「リアはそれだけお金を稼げるだけの強さがある。それにお前は金がなかったとしてもどこでも生きていけるだろう。だからこそそういうのにはとらわれない。でももってない奴って言うのはそれだけ、そういうのにこだわる。犯罪を犯せば狩られることが分かっていてもそういうのを起こさずにいられないんだ」

 ギルドマスターはそんなことを言いながら笑った。

 リアはそういうギルドマスターが語るような人物の事は理解出来ない。

 好き勝手なことをすれば強者に釘をさされるのがこの世界である。命の軽さが前世よりも軽すぎるため、そういう行為はリアにとっては何でするのかわからないものである。

「……鍛えれば誰だって、私ぐらいなれる」

「いや、なれねぇよ。リアはその思いっきりのよさと素質があったからそうなれただけだ。もちろん、誰もかもリアのようになれないとは言えないけれども――それでもリアがこうあれたのは、リアがそれだけ行動を起こしてきたからだろう」

「……でもこの世界は可能性に満ちているから、きっと、誰だって出来る」

 やろうと思えばなんだって出来るとリアは思っている。

 特にリアが今生きているこの世界は磨こうと思えば幾らでも自分のスキルを磨く事が出来る。ならば幾らでも強くなれる可能性がある。

「――お前はそれを信じているからそれだけ強くなれるんだろうな。またレベルも上がっているだろう? 俺も追い越されないようにしないとな」

「……いつか、追い越すよ。絶対に!」

「はは。頑張れ頑張れ。あと魔物の繁殖期に伴ってか、どんどん魔物が増えていて討伐依頼も沢山出ているからリアも出来る限り討伐しろよ。まぁ、リアは言われなくても魔物退治をどんどんやっているから、強制的に依頼を受けさせる必要もないが」

 ――ギルドの高ランクになればなるほど、そういう規制はある。依頼をうけていなければ依頼を受けるように言われるし、何か緊急の依頼があれば呼び出される。とはいえ、リアは常に魔物を狩ってそれはギルドマスターに報告されている。その魔物討伐数は、ギルドでもトップクラスである。それだけの数を狩っていることはある意味異常なほどだ。

 ――幾ら魔物討伐をメインにしているギルド所属者といえど、リアのように色んな場所に素早く移動に色んな魔物をひたすら狩り、自分の事を追い詰める戦い方をするものは少ない。

「……当然。狩り放題なんだから、経験値取り放題だし、幾らでも狩る。私はレベルアップする!!」

「期待しているぞ。そしてもっと《姿無き英雄》の名を広めろよ」

「広めるのはどうでもいいけど、いっぱい狩る」

 リアはそう宣言をすると、すぐに魔物狩りをしたくなったのか、そのまま「じゃあ」といって去っていった。



 相変わらず自分が喋りたいことだけ喋って去っていくリアである。

 リアがいなくなったあと、ギルドマスターは繁殖期に備えてたまりにたまっている書類仕事を終わらせていくのであった。





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