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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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ソラトはリアがいない間に行動する

 春休みに入ってソラトは、リアに会えない事に悲しみを感じていた。話すことは出来なくても、学園ではリアの姿を見ることが出来る。姿を見れるだけでもソラトにとっては幸福なのである。

(……本当に卒業したらリアちゃんのことを見れない可能性もあるから、今のうちにリアちゃんともっと接していたい。ああ、でもリアちゃんの正体がバレることがなければずっとリアちゃんのことが見ていられるんだけど。まあ、リアちゃんが幾ら隠していてもいずれバレるかもしれないけれど。あーもう春休みは時々しかリアちゃんに会えないから嫌だなぁ)

 ソラトは基本的にリアのことしか考えていない。ただただリアに追いつく事しか考えていない。

 そのためだけにいきているといっても過言ではないかもしれない。自分がリアに出会わなかったらもっとろくでもない人生を歩んでいただろうなぁとソラトは思っている。

 そういうリアのためならソラトはなんだってしたいと思っている。だからこそ、この日――ソラトはリアに代わって、カトラスたちの面倒を見ることにした。人に興味はほぼない人間だが、リアのためだからこそ人の面倒ぐらい見るのである。

「じゃあ、やるか」

「……マネリが見てくれるんだな」

「リアちゃんは忙しそうだからね。それにイルバネスが目立てば目立つほど俺たちが目立たなくなるわけだし」

「あくまで打算的なのがソラ兄らしい。ヴィヴィヨンのことも見るの?」

「ヴィヴィヨンはどっちかっていうと俺らを鍛える方だな。精霊の力は色々と未知数だからな」

 ソラトはカトラス、ネアラ、ヴィヴィヨンと共に霊榠山に来ている。霊榠山は危険の多い場所なので、人気は少ない。そういう人気が少ないエリアだからこそ訓練にはうってつけである。全員、仮面をかぶっているので、見られたら怪しいことはこの上ないだろう。

 カトラスも《姿無き英雄》に憧れているのは事実だが、《炎剣》であるソラトへのあこがれがないわけではない。

 そのあこがれの差は大きく、学園でのソラトを見ているとそういう憧れの気持ちは小さくなっていくが、それでも憧れている事には変わりがない。

「私、何すればいいか。ソラトさん、教えてください」

「ヴィヴィヨンは精霊に頼んで、俺たちに軽く攻撃とかしてもらって様子見かな。精霊が反応してしまう石とかそういうのを見つけられれば、リアちゃんのために精霊をどうにかできれば一番いいから」

 こんな時でもリアのことしか言わない。

 仮面の下ではきっとリアを思ってにこやかに微笑んでいることだろう。

 そういうわけでリアがいないその日は、ソラトによって訓練が進められていた。

 ちなみにソラトは気まぐれな精霊が反応するような自然物や、精霊がいると反応する自然物があればと考えているようだ。

 ソラト自身も精霊に負けるのが嫌だと思っているので、こうして手に入ればと思っているのだ。

「精霊が好むものは……魔力が多いものや綺麗なものは好き。でもそうやって反応するものがあるかは……聞いたことはない」

「そうか。ならいい。それは後々考えていく」

 ソラトはヴィヴィヨンが知らないのならば、これから見つけていくしかないだろうと頷く。結局の所、精霊と会話を交わせるのはヴィヴィヨンだけであるし、精霊は基本的に気まぐれな存在である。だからこそ、精霊の事はまだまだ理解が出来ていない。

 そうしてヴィヴィヨンは、時折精霊たちに声をかけてソラトたちの訓練に関わっていた。とはいえ、この精霊たちはまだ低位の精霊なので、物理的な攻撃は出来ない。出来るのは簡単な魔法だけ。それでもそこにいるということは、見えない敵がいるということである。

(……精霊は敵に回したらやっぱり厄介なもの。俺はリアちゃんのためなら精霊とだって敵対することは躊躇わない。リアちゃんがどう動くか次第では、俺にとって存在するものすべてが敵になる可能性だってある。なら、リアちゃんについていきたい俺も精進しなければ)

 ソラトはリアの味方であることを躊躇わない。――リアのことが大好きで、リアを追いかけているからこそソラトの思考はリアに結構似ているのだ。

「――マネリは学園にいる時とは全く違うな。それにアルナスがいないと、また違う」

「ソラ兄はリア姉以外は基本同じに見えているんじゃないかと。リア姉が関わらない時は、あまり喋らずクールな雰囲気って聞きましたし」

 現在、カトラスとネアラは休憩をしている。先ほどまで倒れるまで動かされ、身体を横にして休んでいた二人だが、少し休んで体力が回復したらしい。――その二人の視線の先には、一人でヴィヴィヨンと向き合っているソラトがいる。

 ヴィヴィヨンはリアが精霊のことを感じるために連れてきた存在だが、訓練を見ていた本人が戦い方を学びたいと言っていたので簡単な武器の戦い方をソラトは教えていた。

 脳内ではリアのことを考えているが、この場にリアがいないからかソラトはあまり喋っていない。黙っていれば、そしてリアが傍にいない時は無口でミステリアスな雰囲気なのである。《炎剣》がそういう人物だと噂されているからこそ、学園のソラトとイコールで結ばれないのだろう。




 そして夕方になるまで、ソラトは彼らと霊榠山で過ごすのだった。




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