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ミレイ・アーガンクルという少女2

 《美貌は世界を救う》って、ユニークスキル名からしても凄い面白いとリアは思っていた。

 ユニークスキル名を見た段階ではどんな効果があるのか全くわからないスキルというのもリアの関心を引くには十分なユニークスキルであった。

 (レベルがたった三十三でユニークスキル発現してるのも面白いよね)

 ユニークスキルは生涯発現しないものも居るのだ。それなのにミレイ・アーガンクルは低レベルで発現しているのである。ミレイの指示に従いながらリアはミレイを適度にちら見していた。

 学園内でユニークスキルを発現しているものは、リア、ソラト、ティアルクを抜きにして考えれば生徒会長やミレイを含めて本当に数えられるだけしかない。

 ついでにリアは本人に気づかれないようにステータスとユニークスキルの効果を《分析》する。



 ミレイ・アーガンクル。Level 33

 種族 人間

 年齢 十五歳

 HP 300

 MP 520

 STR(筋力値) 175

 VIT(防御値) 230

 INT(知力値) 300

 DEX(器用値) 280

 AGI(俊敏値) 130

 LUC(運値) 170

 CHARM(魅力値) 370

 獲得スキル

 《マッサージlevel.29》、《魔力level.30》、《神聖術level28》、《火属性level.19》、《水属性level.29》、《風属性level.19》、《光属性level.27》、《地属性level.15》、《調合level.2》、《祈りlevel.33》、《踊りlevel.31》、《料理level.20》、《コーディネートlevel33》。

 ユニークスキル

 《美貌は世界を救う》

 獲得称号

 《女子生徒のお姉様》、《美の探究者》、《祈りの巫女》



 がっつり物理で攻撃なリアと違って、ミレイは魔法で攻撃をするタイプの明らかに後衛で戦う少女であった。そもそもこの世界は危険なため、ギルド所属者にせよ、国に仕えている者にせよ、一人で行動するものというのは少ない。

 それに魔法の詠唱は長く、誰かが敵を引き付けている間に詠唱を唱え、魔法を放つといった戦い方を魔法が主流で戦う者はするものなのだ。魔法を使うには集中力も必要であるため、戦いながら詠唱なんて出来るものは少ないのだ。

 (やっぱりいつみてもこの子魔法の才能ありすぎでヤバいよね)

 基本的に人が使える魔法属性というものは生まれながらの才能によって決まるものだ。リアは《火属性》、《水属性》、《闇属性》の三つの属性を使う事が出来た。

 《神聖術》に関して言えば、VRMMOの、前世の記憶があったからこそ習得方法を知っており、それで習得したものである。

 それに比べてミレイはおそらく生まれながらに《神聖術》、《火属性》、《水属性》、《風属性》、《光属性》、《地属性》を持ち合わせているのだ。リアが才能が有りすぎてやばいと思うのも無理はもない。

 (あれだけ属性使えたら魔法使うのも楽しいだろうし、羨ましい。私ももっと属性適正ほしかった)

 と、思うものの、魔法属性は後から手に入れられるものではない。本当に、生まれながらの才能が全てなのだ。ちなみに《臆病者》の称号は魅力値を下げる効果がある。ミレイとリアの魅力値はあまり変わらないのはそれが理由だ。

 次にユニークスキルの効果を《分析》でちら見する。




 《美貌は世界を救う》

 効果 対象を定めてその場で祈りをささげたり、踊ることによって味方を回復させたり、ステータスをupさせたりする。なお、スキル発動をする本人が美しければ美しいほど効果が高い。対象の視界に映る位置で発動するのが効果的である。



 

 ユニークスキル名はアレだけれども、その効果は実戦向きである。

 ユニークスキルが発現しても本当に役に立たないものの場合もある。それはピンからキリまであるものであり、しょうもないものまである。だから実戦向きで使い勝手の良いユニークスキルを持っているというだけでも恵まれている事であるといえる。最もユニークスキルというのはその人の生き方によって、その人に一番あったその人らしいスキルが発現するものなのだから、しょうもないユニークスキルを持っているものはそれが発現するような生き方をしていたといえるわけだが。

 ミレイのユニークスキルは『補助系統』。

 この年でもう既にユニークスキルを発現させている逸材であり、あのアーガンクル家の長女でさえなければ引く手あまたの未来が待っていただろう。現実ではミレイはアーガンクル家の次期当主なため、勧誘などの声はないが。

 「アルナスさん……、混ぜる際には周りに飛ばないようにゆっくり回さなきゃダメですよ?」

 料理なんてしたことのないリアは《七彩キノコ》と呼ばれる七つのキノコをつぶし混ぜる作業を頼まれていたのだが、考え事をしていれば勢い余って力強く回しすぎていた。

 結果、ボウルの中に入ったそれらは周りに飛ばされるほどの勢いであった。

 (こういう細かい作業、嫌い)

 リアは転生者とはいえ、もうすっかりこの現在の世界に染まりきっている。細かい作業は嫌いで、手っ取り早く物事を力で解決させる! といった脳筋な思考の持ち主である。

 出かけた先でする料理なんて単純な丸焼きぐらいで、こういう作業は正直苦手であった。

 ミレイの助言にリアは頷き、慎重にゆっくりとそれを混ぜる。が、どうしても途中からはやく回そうとしすぎて適度に飛び散ってしまう。

 その様子を見てミレイはあらあら、とまるで自分より年下の少女を見ているような心境で見てしまう。リアの見た目が明らかに自身と同じ年と見えないからであろう。

 寧ろ小さな女の子が一生懸命中身を飛ばさないようにしているようにしか見えなかったのである。

 「貴様、こんなこともできないなどと本当に使えないな」

 「そんな言い方はやめなさい」

 「でも、ミレイ様、こいつは――」

 貴族の男が突っかかってきて、それに対してミレイが咎めているのもリアの耳には届いていなかった。ただ、リアはゆっくりと回すのに必死だったのである。

 なんとかリアが混ぜ終わった頃には周りにはかなり飛び散っており、《七彩キノコの煮込み》はミレイの努力の結果完成したものの、後から掃除するはめになったのであった。



 ――ミレイ・アーガンクル。

 彼女はリアに対しても優しく、尚且つ学園内でもトップクラスの実力者なのであった。





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