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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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ソラトは不満げ

 さて、リアが楽しそうに天空島で過ごしている頃、ソラトは不満そうな顔をしていた。

「あー、リアちゃんがいない!! 冬休みなのに!! リアちゃん、どこ!!」

「ソラ兄さ、多分リア姉、こんなの出てこないよ? だって精霊が見えるヴィヴィヨンがいるんだもの。リア姉はただでさえ人と関わるの苦手じゃない。私の前にも慣れるまで中々出てこなかったし……すぐに出てこないと思うけど」

「あー、もうリアちゃあああん!!」

「ソラ兄、煩いよ」

 ネアラは少し怪訝そうな顔をしながら、ソラトに言う。

 ソラトは、リアに会えないことが悲しくて仕方がないのである。

(……リアちゃん。ああ、リアちゃんに会いたい。なんでリアちゃんは此処にいてくれないのだろうか。学園ではリアちゃんに話しかけないようにって言われているし、休みぐらいしか俺はリアちゃんとずっと過ごせないのに)

 ソラトはこれでも我慢しているのである。ソラトは話しかけようとすれば、幾らでもリアに話しかけることはできる。同じ学園に通っているのでそれも当然である。だけれども――それをしてしまえば……リアに嫌われてしまうことは間違いない。

 ソラトはリアに嫌われたくない。

 そしてリアに殺されたくもない。

 ――だからこそ、ソラトはリアに話しかけないようにしている。

 ユニークスキルを行使しているリアにソラトは気づくことが出来ないため、学園入学前からソラトはリアに会えないことは多かった。ただリアはあくまでソラトのことを幼馴染と思っているので、時々姿は現していたが。

「……ソラトさんは、姿が見えない人と仲良しなの?」

「俺は仲良しだよ!! 俺とリアちゃんは一番仲良しだよ!! というか、俺がリアちゃんの幼馴染でリアちゃんの傍にいるんだから、俺よりもリアちゃんと仲良い人がいるとか許せないし!! だから、ヴィヴィヨンも俺よりリアちゃんと仲良くなるなよ?」

「……ソラ兄、脅さないで。この子はリア姉が連れてきた子なんだからね? ヴィヴィヨン、ソラ兄のことは気にしないで」

 ソラトは自分よりリアと仲が良い存在がいると嫌だなどと口にしている。それを見ながらネアラは呆れた様子である。

 ソラトはヴィヴィヨンに対して良い感情は抱いていない。というより、リアが誰かに興味を持っていることがソラトには嫌なので、リアが敢えて探して購入したヴィヴィヨンに何とも言えない気持ちである。

「……ソラトさんも不思議な人。精霊たちも楽しそう」

「精霊ねぇ……俺も精霊を見る力はないからな。でもリアちゃんが精霊のことをどうにかするための対処法を学ぶっていうなら俺も学びたい。どんな手段でもいいからリアちゃんと一緒になりたいし、リアちゃんと一緒になるために俺はもっとどうにかする」

 ソラトという人間はぶれない。

 ただリア・アルナスという少女の事を第一におもっていて、精霊が目の前にいるにもかかわらずこの言い草である。

(精霊には俺も関わった事はない。この場に精霊がいることも俺には分からない。それでもリアちゃんが精霊のことをどうにかするために動くと決めたなら俺もそうする。難しかったとしてもリアちゃんと一緒がいい。リアちゃんはこの精霊を見ることが出来る女のことを自分の下に置くことにしたのだ。なら、俺もこいつを面倒見る。あー、もうリアちゃんに会いたい。ネアラとかヴィヴィヨンもリアちゃんが連れてきた存在だから、面倒を見るのはいいけど、リアちゃんに会いたい)

 ソラトはリアが連れてきた存在だからこそ、ネアラとヴィヴィヨンのことをリアがいない間に面倒を見ることは特に異存はない。だけれども……、リアが此処にいないことは不満である。

(でもリアちゃんは俺がちゃんとネアラたちの面倒見てたら感謝はしてくれるかもしれないし、リアちゃんが喜ぶかもしれない)

 ソラトは不満が大きい。だけれども、ソラトはそう考えている。

「なぁ、ヴィヴィヨンはリアちゃんのことが分かるんだよな?」

「私がというよりも、精霊がだけど」

「それでも精霊の事をヴィヴィヨンが見れるからだろう。そこは誇っていい。というか、あれか、リアちゃんがいたらすぐわかるなら俺がいる時にリアちゃんがいたら教えてもらえるか? 俺にはユニークスキルを使っているリアちゃんを見つけることは出来ない。あと、精霊がどうやってリアちゃんを見つけているかも知りたい。俺はどんどんレベルをあげるリアちゃんのことをいつか見つけられるようになるかもわからない。追いつくつもりだけど追いつけるか分からない。だからこそ……俺はリアちゃんにレベルが追い付けなくてもリアちゃんを見つけられるようになりたい」

 リアちゃんリアちゃんと、ソラトはリアのことばかり口にする。

 その様子にどこか狂気じみた様子にヴィヴィヨンは少し怯みながらも頷くのであった。





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