はじめての天空島 6
リアは社を見つけてからたまに観察をしていた。
とはいえ、やることも沢山あってずっと観察は出来ないので最低限である。冬休みというのは決して長くない。
なので、リアは天空島の魔物退治を行ったり、歴史について調べたりしながら過ごした。
そして最終日がやってきた。
リアが天空島から帰ることを決めている最後の日である。
(今日中に帰宅はしたいから、それまで何しようかな)
リアはそんなことを考えながら、人の住んでいる天空島の一つ上の島へ向かい、魔物退治を行った。そのエリアでもユニークスキルを使っているリアに何となく魔物が気づいていたりしたので、決して一筋縄ではいかない。
魔法を使い、武器を使い、魔物退治をする。
――その結果、天空島の集落で今日は天の贈り物が多いなどと会話が交わされていた。というか、天空島より上から落ちてきたものすべては天空人たちにとっては全て神様からの贈り物らしい。
それを聞いた時、リアは、
(それじゃあ魔物を落としている私もそういう扱いなのか? 不思議だね)
などと考えてしまっていた。
リアは魔物退治を行い、天空島のことを調べたりとして、少しだけ目的を達成する事が出来た。とはいえ、一番の人の住まう天空島よりもずっと上の――ルーンの言っていた場所まではたどり着けなかった。
(それだけは不満だけど、それに関してはもう少し長期戦で考えた方がいいだろうな。下手に手を出したら私も流石に死にそうだし。とりあえずもう少し此処で上に上がれるようになんとかしてから……道具そろえるとか? そういうのがきっといいよね)
リアも出来る限り準備を整えてからの方がいいだろうと思っている。そういうわけで一旦、はじめての天空島の探索は一旦終わりである。
(さーて、帰りは昇降機は別に使わなくてもいいか)
通常の観光客ならば、昇降機で天空島へと昇り、また降りていく。そういう手段以外で一般人たちは、天空島を行き来出来るはずがないのである。とはいえ、リアは帰りはそれを使う気はない。
リアは天空島の集落から遠い、人気のないエリアへと向かう。
そして下を見下ろす。
地面は見えない。地上も遠い。――それでもリアは下を真っ直ぐに見据える。集落には堕ちないように柵などがあるが、このあたりには柵がない。
リアは下を見て、そのまま――飛び降りた。
山よりもずっとずっと上――その場所から普通に飛び降りれば死しかない。だけれども、リアならば問題がない。それは《超越者》としての力を持つからである。力を持つリアは勢いに任せて下へと落ちていく。ユニークスキルも使ってそのままものすごいスピードで落ちていくリアは、魔法を使って勢いを殺す。
《浮遊》のスキルで体を浮かせて、地上より少しだけ上の位置で立ち止まる。
(地面へ降りることは問題なかったけど、此処何処だろ? 考えなしに下りたら何処に行ったら帰り道か分からない。ちょっと失敗した)
勢いに任せて降りたリアは、この場所かどこか分かっていなかった。このまま自分の家へと帰る予定なので、まずは近場の街に向かうことにした。ぶらぶらしながら人を探して街へたどり着き、その街の名前を確認する。
(えっと、なるほど、ここ昇降機があった場所より少しだけ南か)
リアは地図を確認しながらうんうんと頷き、このまま港の方へ向かうことにする。
リアは一人でスキルを使って海を渡るので、地図を見る能力は結構高い。
(それにしても天空島は結構楽しかった。もう少し準備をしたらまた行かないと。行くならもう少し準備をして、それでいて時間を作った方がいい)
天空島の事を思い浮かべてリアはそんなことを考えていた。
天空島はリアにとって興味ぶかい場所であった。今回は冬休みで時間がなかったため見て回れなかったが、是非とももっと力を付けたらルーンの言っていた神様の元へ行きたいと思う場所である。
(……ルーンにも天空島のことを話してもう少し、話も聞くか。あとは女王様の所に行く時があったら聞いてみよう。女王様も天空島にいったことがあるか分からないけど、長生きしているから話は知っているかもだろうし。あとは精霊のヤシェさんも知っているかもだし)
長生きをしている存在はそれだけ多くの経験を積んでいる存在だ。
リアは、《超越者》であるとはいえ、まだ十七歳である。経験はマナたちに比べれば全然浅い。
(経験も力だから。私ももっと長生きして色んな経験をしないと)
そんな思考をしながらも、ただスキルを行使して港街へとたどり着いた。そして港町で少しだけ休んでから、スキルを行使してそのまま海を渡る。
どこかに出かけても誰かにお土産を買うということなどは一切ない。そういう所がリアらしいと言えるだろう。
そしてリアは海を渡ってそのまま自宅へと向かうのであった。
こうしてリア・アルナスのはじめての天空島への冒険は終わった。
しかしリアの冬休みはまだ終わっていない。




