リア、精霊の対抗手段のために動く ③
リア・アルナスは、仮面の下で笑っている。
(――あの、私を見ている子、精霊と関わりあるっぽい? 分析スキルを使ったら見れるね。ちょっと隠蔽されているけど、でもみにくい。精霊が隠蔽している? なんかボソボソいっているし、誰かと話しているみたいだし、やっぱり精霊かな?)
リアは期待している。そこにいる少女が精霊に関わる存在なのではないかと考えている。実際に精霊といった文字も見れた。
(精霊が見える子。うん、でもまだ弱いね。あのくらいの子だったら脅威はないけど、でもまぁ、私を殺す力はあるかもしれないからそれは気をつけないと)
リアはその精霊を見えているであろう少女が自分よりもずっと弱いことを知っている。自分を殺す力が現在ない事も知っている。それでも精霊が見えるというのは大きな力である。リアにはない力。
だからこそリアは油断をしないことにした。
(……どうしようかな。私が直接この子を買うのは嫌なんだよね。下手に目立ちそうだし。お義父さんに頼むか。ネアラに頼むか。お義父さんに頼んだ方がいいか。ネアラだと子供が子供を買うように思われそうだし。それにしてもやっぱり精霊って何らかの手段で私のことを知覚しているんだよね。きっと。ユニークスキルを使っていても私に気づく存在って怖い。その怖い存在に勝つために私はどうしたらいいだろうか。あの子を買って、検証をするとしてそれが上手く行く確率は低い。それでも、私は強くなりたい)
ただただ強くなりたいと、そこにユニークスキルを使って存在しているリアは考えている。
精霊は怖い。
精霊を見ることが出来る存在も怖い。
それでもそういう存在を手元に置こうとするのは全て強くなるためである。
誰よりも強く。自分が死ぬことがないように。ずっとずっと誰もが手の届かない高みに至るために。
恐怖と同時にリアは、高揚した自分の気持ちを自覚している。
(うん。あの子を買ってちゃんと検証が出来れば私はもっと強くなれる。精霊が敵対したとしても生きていられるようになるかもしれない。――そのために、あの子を買う。見た感じ、あの子は高くはない。精霊が見えることを奴隷商には言っていないように見える。ならば、安い買い物だ)
リアはその少女を買うために少女が商品として存在している奴隷商を調べていた。中々まっとうな奴隷商で、奴隷たちの事を商品として丁寧に扱っているようである。それは良いことだとリアは思う。
そして早速リアは、その子を見つけたその日にギルドマスターの所へいった。
「お義父さん、奴隷買ってきて。私が指定したの。お金払う」
などといいながら突然、ギルドマスター室に現れたリア。
ギルドマスターはリアが突然現れることには慣れ切っているので、欠片も驚く事はなかった。
しかしリアが現れたことには驚かなくても、リアが行ったことには驚いていた。
「奴隷? お前がかうのか? 人が家にいるのも嫌がっているような奴が?」
「……必要に応じて」
「ふぅん」
リアはギルドマスターの言葉に、端的に答えていく。
ギルドマスターがそう言うのも当然である。リア・アルナスという存在は、人と関わることを嫌がっている存在である。
それなのにこうしてギルドマスターにそういうことを言いに来るのは不自然である。
椅子から立ち上がって、リアを見下ろしながらギルドマスターは面白そうに笑う。
「それで、何でそんな風にかいたがる? 理由ぐらい聞かせろよ」
「……その子、精霊が見えるみたい。だから買う」
「精霊を? 珍しいな。それでリアが精霊に興味を持っているのは知っているが、だからといって買うになんでなる?」
「精霊見える子、側居たら検証できる。精霊がどうやって私を見つけているのか。そして私が精霊をどうやったら見つけられるのかを知りたいから」
「あはは、相変わらずお前は面白いな。自力で精霊をどうにかする気か? 精霊なんてこの世界では神みたいなもんだろ。手を出したらどうしようもないような」
「……お義父さんは例えば精霊と敵対したら、大人しく殺される?」
「いや、あらがうな。精霊の怒りを鎮める方向で行くだろうが、死なないようにはするさ」
「それと一緒。私は、精霊と敵対した時、黙って殺される気はない。寧ろ、逆に消滅させたい」
ギルドマスターとリア。
義理の親子である二人は物騒な会話を交わしている。精霊とは、世界を漂うように存在しているので、今この場にだって二人が気づいていないだけで存在している可能性だってあるのに、二人は気にせずにそんな会話を交わしていた。
「――だから買ってきて。お義父さん」
「あははは、いいだろう。かってきてやろう」
「ありがとう。お金、これあげる。あの子、そこまで高くなかった。ちなみに私が買おうとしている子は――」
そしてリアはギルドマスターに、それを伝えた。




