表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

261/460

リア、精霊の対抗手段のために動く ①

 リア・アルナスはその日ぶらぶらと動いていた。

 居る場所は奴隷商である。こっそりと奴隷商に忍び込んでいるリアは、じーっと色んな奴隷を見ていた。

 リアが何でそんな場所にいるかといえば、精霊への対抗手段が欲しいからである。精霊への対抗手段を知るには精霊を知る必要がある。そして精霊を見えるものと見えないものの違いも知る必要がある。リアは、そのためなら手段は択ばない。

(奴隷ね。非合法なのは駄目だけど、まぁ、お金が支払えないとかで奴隷になるのは、仕方ないけど。それに奴隷になるのは弱いからだし、強くなれればどうにでもなれる。あとは運が悪いからとかかな? 私はそう考えると孤児院育ちだけど奴隷にならずにすんでいたからそのあたりは良かったのかな? 世の中には、生まれながらの奴隷もいるし)

 リアはそんなことを考えながらのんびりと観察をしている。

 尤もリアならば例えば奴隷という立場になったとしても自分の力で奴隷から抜け出せたかもしれない。それでも奴隷として生まれず、孤児院生まれだったのはまだ良かったと思っていた。

(それにしても奴隷かぁ。何だか前世の転生や転移ものの物語だと奴隷の仲間がいたり多かったな。ハーレムものだと奴隷の女の子を助けてとかあったけど、うん、私はそういうのは出来ないな。何でああいう主人公って自分のことよりも、周りのことを考えられるんだろ? 余裕があるから? 私は無理だなぁ)

 前世で読んだ物語の世界の事を思い浮かべてリアはそんなことを考えた。

 こういう命が軽い世界だからこそ、この世界は人のことよりも自分のことに必死である。周りのことよりも、大きな出来事のことよりも、自分の、もっと身近な事の方が大切なのだ。

 この奴隷商で暮らす奴隷たちも総じてそうである。

 良い主人に出会えるように――と奴隷たちは必死だ。

 金持ちや良い身なりの人などがくると皆総じて自分をアピールするのである。リアはその様子を見ながら、必死だなぁと思っている。

 その奴隷商の奴隷には、目ぼしい人はいなかった。

 しばらく観察してもそういう精霊に纏わるスキルを持つものはいなかったので、他の奴隷商も確認する。治安が悪い街とかだと奴隷商は結構多いらしい。

(治安が悪いエリアにいく? 貧民街とスラム街がある街だと奴隷商も多いだろうし。そうなると理不尽に奴隷に落ちる人もいるだろうけど、それはそれだよね。奴隷商もそれが仕事だし。

 そういう所の方がもしかしたら私の欲しい奴隷がいるかも。それに奴隷が駄目だとかいうのは奴隷制度が根付いたここだと難しいしね。奴隷としての暮らしの方が生活出来る人もいるだろうし。本当にお金に困ったら自分を奴隷商に売ったりもするからね)

 うんうんなんて思いながらぶらぶらとするリア。リアは誰にも気づかれることなく、その場から去っていった。


 リアはその後も他の奴隷商を見て回った。



 幾つかの奴隷商。その中には非合法すれすれのものもあれば、奴隷たちを商品としてきちんと扱っているような場所もあった。

(というか思う存分奴隷生活満喫している人もいるなぁ。まぁ、上手く過ごせば快適な暮らしだしね。どこかで野垂れ死ぬよりはずっといいだろうし。というかニート生活みたいなの送ってる子もいたし。んー、でも私に気づいた子はいないか。んー、どうしようかなぁ)

 正直言って精霊を見ることが出来るような存在は奴隷になることも少ない。奴隷になったとしてもとても高値になるだろう。

 普通に奴隷ではない精霊とかかわりがある人を探した方が簡単である。――それでもリアは人との関わり合いを作るのが面倒なので、奴隷としての形の人物を手中に収めたかった。

(……んー、むずかしいからのんびり探すか。でものんびりしている間に精霊と本気で敵対することになったら困るから、なるべく急ぎ目で。でもまぁ、ヤシェさんも精霊の中で上位っぽいから何かあったら助けてくれたりするかな? 助けてくれたら凄くいいんだけどなぁ。でもそういう――だといいなという希望なんて考えない方がいい。駄目なときのことも考えないと)

 リアは慎重で、ただ臆病で、だからこそ常にそういう事ばかり考えている。

 リアはひっそりと動きながら、また違う日にスラム街に行った。そこでも奴隷商を見て回った。

(んー、はずれか。あれもない)

 沢山の奴隷商を見ても、リアがアタリと思えるような存在はいない。その過程で女性奴隷を購入している男前などを見かけたりしたが、そのあたりをリアはスルーする。奴隷商には色んなお客さんがくるものである。

(あ)

 そんな中でリアは、驚くべきものに遭遇した。

 それはユニークスキルを使ったリアに気づいている、小さな少女がいた事である。小さな少女は、奴隷商の奴隷の中でも悪い扱いを受けていた。

 その目が不思議そうにリアを見ていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] リアに気付けるとかソラトがめちゃくちゃ喜びそうな人材 ソラトならつねに自分の側においてリアちゃんを探すレーダー代わりにしそう
[一言] 運命の出会い的な?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ