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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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王家の山へ、エルフの女王と ②

「お祖母様!! 王家の山に行くと聞きましたよ!! 僕も連れて行ってください!!」

「駄目よ」

 リアの想像通り、ルーキン・フィルリアはすぐに断られていた。

 一度駄目と口にしてから、まだそんなに時間も経過していない。それにレベルも一つも上がっていないのだ。そんな状況で連れて行くことなど出来ないだろう。しかも今回はリアも一緒である。リアはルーキン・フィルリアが一緒に行くことは望んでいない。

「なんでですか!! 僕だってもう一人前ですよ!! しかもお祖母様が王家の山に一人で行くなんて何かあるのでしょう? 僕だってお祖母様の孫ですから、一緒に――」

「駄目よ。貴方にはまだはやいといったでしょう」

 ため息交じりにマナは言う。

 リアだったら、こんなに言われたら手刀でもくらわして気絶させそうだ。もしくは、刃物を首にあてて脅すのだが。マナは心が広いものである。

(んー、なんでそんな風に自分に自信満々になれるんだろうか。女王様の孫だからだろうか。女王様の孫ってだけで周りはあのエルフを優遇しそうだし、私は絶対にそういうのやだな。お義父さんの娘って知られてもややこしいから絶対にバレたくもないし。そういうのを自信満々に言える人って良く分からない)

 リアは本当に心から目立つことを嫌っているので、正直エルフの女王の孫であることであれだけ自信満々なルーキン・フィルリアが理解出来ない。

 リアがじーっとその様子を見ていることにマナは当然気づいているようだが、孫がいるからかまだこちらに声をかけることはない。

「どうしてですか!! 例え僕に何か足りなかったとしてもお祖母様が一緒なら僕だって王家の山に――」

「駄目よ。そもそもその考え方がいただけないわよ。王家の山は、私たちの試練の山なのよ。そこは一人で挑むべき場所だから、私を頼っていては駄目よ。一人で行って帰って来れるだけの力は貴方にはないわ。帰りなさい」

「……でも」

「ルーキン。帰りなさい。私はこれから大事な用事があるのよ」

 マナに鋭い目で見られ、ルーキンはそのまま出て行った。バタンと扉が閉められ、そこでようやくマナがリアに声をかける。

「リア、よく来たわね」

「はい。……女王様、孫さん、聞き訳悪いですね」

「あの子もまだエルフでは子供だもの」

「私なら気絶させそうです。女王様、心広い」

「リアはなんというか……本当に容赦ないわね。そういうところがリアらしいけれど。でも子育ても孫との関係も色々と難しいのよ。あの子はまだ良い成長をしているものだわ。中にはグレてしまう存在もいるもの」

「女王様相手に反抗期?」

「まぁ、そうね。そういう子もいるわね。リアだって《超越者》なのだから、いずれ結婚して子供が生まれたら気持ちがわかるわよ」

「いや、私は結婚とかしなさそうです」

 リアはマナの言葉に即答をする。

(私は自分が強くなることだけを望んでいる。結婚とかは正直どうでもいい。子供とかに興味なんてない。でも《超越者》だと長い時の中を生きていくからそういうのもあるんだろうか? まぁ、そのあたりは想像が出来ないからどうでもいいか)

 いずれどういう風になるのかは分からないが、ひとまず今はどうでもいいのでそういうことは考えていないのである。

「そうなのね。でもまぁ、リアもまだ十七歳ぐらいでしょ。ならまだまだ子供よ。これから《超越者》として長い間生きていくのだから、いずれ恋もしたらいいと思うわよ。子育ても結構楽しいわよ?」

「……そうですか」

「リアは全くそういうのに興味ないのね」

「そうです。それより、王家の山。行って、精霊の弱み握る」

「言い方がなんだかリアらしいわね。でもそういういい方はしない方がいいわよ。精霊は結構リアのこと面白がっているけど、あまりそういう言い方が好きなわけでもないもの。それにしても仲良くなるではなく、そういう方向に行くのね」

「仲良くなれる気しないので」

 出会う前から仲良くなれる気は全くしていないリアである。

 はっきりとマナにいいきれば、マナは何だかおかしそうに笑っている。楽しそうに微笑むマナの姿は、例えば女王としての姿しか見た事ないものは驚くことだろう。マナはリアの前では割といつも笑っているが、女王として威厳に満ちた一面を見せている時は、こんな風に微笑まないのである。もちろん、親しい者たちの間では、こういう風に屈託のない笑みを浮かべているが。

「リアははっきりしているわね。リア、じゃあ王家の山にいきましょうか」

「うん。行きます」

 マナが立ち上がって歩き出せば、リアはユニークスキルを行使して後ろをついていく。

(王家の山かー。どんなところだろう? 精霊に纏わる対抗手段を知れたら一番いいけど。精霊に纏わる場所っぽいし、気になるなぁ)

 そんなことを考えながらリアは、そのまま王家の山へと向かった。



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