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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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二度目の課外実習 4

「ねぇ、ソラ兄さ、何処まで行くの? 私どこまでついていけばいいの?」

「どこまでもだよ。リアちゃん見たいだろ。お前も」

「まぁ、学園のリア姉は気になるけど……でも私、仕事で来ているからソラ兄にばかり構ってられないっていうか……」

 しばらくソラトと一緒にぶらぶらしていたネアラだが、リアが課外実習を開始した場所が離れているのか、中々リアの姿は見つからない。

 ネアラが不服そうにそういえば、ソラトは不機嫌そうな顔をしてその人に近づく。

 そして思いっきりその頬を引っ張った。むにむにと頬がソラトの手によって形を変えていく。

「なにぃす…るんでぇすの」

 両頬をつねられたその人は、下からきっとソラトを睨みつけ、文句を言う。

「何かむかついたから」

「…むかついたからで人の頬をつねらないで!!」

 ネアラは怒ったようにソラトに言う。

 ネアラもリアのことを見たくないわけではない。学園でのリアを見ることで、自分もその先へ――レベルをもっとあげていけるのではないか。というそういう期待もある。リアの事を知り、リアに近づきたいネアラだから当然だ。

「……ねぇ、ソラ兄、これ三日間あるんでしょ? 三日間も私ソラ兄と一緒に過ごすの難しいのだけど」

「大丈夫だ。どうにでもごまかせるだろ。俺が二日間、逃げ切ったことにしてさ」

「いや、難しくない? それ絶対になんというか、こう……絶対に疑われると思うのですけど」

「いいんだよ。ちょっとぐらい。どうせ、皆俺のことを《姿無き英雄》の弟子を名乗る面倒なやつってしか思っていないし。俺をイコールで《炎剣》って思うやつなんてそうはいないぞ」

「でしょうね!!」

 正直言ってネアラにとってもソラトを《炎剣》だと知らなかったら、《炎剣》だとは思えない。それだけソラトは完全に目立たないようにしていた。リアもそうだが、本当にそういう存在だとは感じられないのだ。

 ちなみにそうしている間に別のギルドメンバーと会いそうになったこともあったが、その時はソラトはさらっと隠れていた。ネアラだけで彼らと対峙することになり、ネアラは少しだけ緊張したものである。

(……なんていうか、私、こうしてギルドで仕事を始めて一年以上だけどそれでもやっぱりこうして話すのは緊張する。私小さいからこう侮られるし)

 ネアラはそう考えながら、目の前のギルド所属の男を見る。

「こんな小さい子が頑張っているのか。此処で一人は危険ではないか? 俺と一緒に行くか?」

「いえ、大丈夫です」

 ―—今は最も信用出来る相手と一緒にいるから。

 とそんな風な気持ちでネアラは答えた。その言葉に納得してそのものは去っていった。ネアラは名前も知らなかったので、そこまでレベルやランクが高いわけではないだろう。それでもネアラが小さいからこそ、そんな風に言われたのだ。

(リア姉はもっと小さいし、リア姉はきっともっと勘違いされるのだろうな。リア姉が《姿無き英雄》って知られたら本当に大変そう……)

 ネアラは去っていく男を見ながらそう思った。

「いったか」

「ソラ兄、本当バレないように隠れるね?」

「そりゃそうだろ。ああいうのにバレるのは面倒だ。それより早くリアちゃん所行くぞ」

「いや、リア姉も動き回ってるしさ。そんな目立つやり方で移動も出来ないし、難しいと思うんだけど」

「それでもやるんだよ」

 本領発揮していいのならばもっとリアは探しやすいがあくまでソラトは正体をバレないように動きたいので、そのためにこうしてゆっくりと動いているのだ。そういうのがあるのでリアを中々見つけられない。

 そんな会話を交わしながらソラトとネアラは動いていく。時々、危険な目に遭っている生徒を見かけたら主にネアラが助けていた。ちなみにソラトもその助けた存在にも気づかれないようにしている。ソラトがそれだけ動けることを知られるわけにもいかない。

(リアちゃんと一緒がいいし。リアちゃんが此処に隠れて通っているなら俺だってそうしておきたいし)

 あくまでソラトはリアのためだけに、リアと一緒がいいからとこういう行動を行っている。リアがばらしたらばらすが、そうではないのならばずっとこのままがいいのだ。

 そういうわけでソラトはこそこそと、スキルを行使したりしていた。

 そうして動いている中で、ネアラは何かに気づいた。そしてソラトに話しかける。

「ソラ兄…」

 そして、名を呼ぶ。

「…何か近づいてきてない?」

「来てるな」

 何かを感じ取ったその人同様、ソラトも何かしら感じ取っているらしい。

 心配そうに自身を見上げるその人にソラトは近づく。そしてぽんとその頭に手を置く。

「心配いらないだろ。俺とお前が居るし、何より此処には居るんだぜ? リアちゃんがな」

 ソラトはそういって、不敵に笑うのであった。


 そしてそれにその人は頷くと、ソラトと共に気配のする方へと歩み始めるのであった。



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