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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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リア、ネアラに忠告する。

 さて、リア・アルナスはその日、珍しく家の中に姿を現していた。

 ただの気まぐれである。リアは同じ家に住んでいるとはいえ、ネアラの前には本当に時々しか姿を現さない。そういう人間である。

「……ネアラ」

「リア姉、珍しいね。こうして私の前に姿を現すの」

「うん。ちょっと」

 リアはそう言いながら、ソファに腰かけて、ネアラの用意したケーキをバクバクと食べている。ちなみにこれはネアラが自分で食べるように購入していたものである。しかしリアは割とネアラが用意しているものでも勝手に食べることが多い。ネアラもそれを見越して、多めにお菓子などを用意している。

「ネアラ、また今年も、課外実習参加する?」

「うん。する」

 リアが何でそういうことを問いかけてくるのかはネアラには分からないが、とりあえず答えておく。

「そう。じゃあ、一つ忠告」

 リアが突然そんなことを言い始めるので、ネアラは何事かと嫌な予感を感じていた。

(……リア姉が忠告ってなに? 凄い怖いのだけど。だって《姿無き英雄》って呼ばれているリア姉の忠告だよ? 絶対ろくなことじゃないでしょ)

 ネアラはリアの性格をよく分かっている。リアと過ごした時間が短くても、リアという存在のことを一緒に過ごしていて知っている。

 だからこそ、リアがこんなことを言うのに怖さを感じていた。

「学園に通ってる《竜雷》と《風音姫》の弟子、暴走してる」

「はい? 暴走ってなに? ソラ兄からもその存在のことは聞いているけれど、そんなやらかしているの?」

「ん」

 リアからしてみれば、ティアルク・ルミアネスはやらかしていると言えた。《竜雷》と《風音姫》というギルド会議に参加できるほどの偉大な存在の弟子でありながら、自分がやっていることを正しいと思い込んでいる。

(一度、私に負けているのに。それでもまだあれだけ増長しているのって怖いよね。私が見ていないところできっと調子に乗るようなことがあったのだろうけれど……。あのハーレム主人公の友人はともかくとして、ハーレムの子たちは、ハーレム主人公のことをおだててばかりだし。いや、まぁ、主人公体質だから周りからしてみればハーレム主人公のことが全部正しいと思えるのかもしれないけれど)

 そんなことを考えながら、リアはケーキをバクバクと食べている。

「具体的には?」

「……自分よりレベル低い、分かってる相手に決闘」

「は? なんなの? それ」

「やる気ないの、咎めてた。でも、自分の方がレベルが高いの分かってるはず。それなのに決闘」

「えぇ……引くんだけど。それって要するにリア姉が私に向かって大真面目に決闘をしかけてくるようなものでしょ? 向こうはレベルが知らないのに、こっちだけレベルが高いのは知っていて……って大分アレじゃないの?」

「うん。そう」

 正直に言って、リアやネアラの目から見てティアルク・ルミアネスはちょっとアレであった。なんだか暴走しているようだが、周りからしてみれば立派な存在のようだ。

「――それ、どうなんだろう」

「うん、ちょっと面倒。多分私やネアラ、知ったらややこしい」

「あー……」

 ネアラはリアの言葉を聞いて、会ったこともないのにティアルク・ルミアネスのことを低評価していた。何だか聞いていた限り、遭遇したらろくでもないことになる気がする。

「……多分、ネアラの年でそれだけレベル高いと、色々絡まれる。最近、私の真似して、仮面被ってるし」

「……うわあ、絶対に会いたくない」

「でもハーレム築いているから、会ったら、ネアラもころり?」

「いや、ないない。私リア姉とソラ兄が気に入る相手とがいいなぁ、結婚とかするなら。リア姉、私が恋人作って、それが気に食わない相手なら今より出てこなくなるでしょ」

「うん。そりゃそう」

 ネアラは今の所、リアとソラト基準で物事を考えている。こうやってリアがたまにだけど姿を現してくれているところを見ると、自分に心を許してくれているのではないかと少し期待している。

「とりあえずその人には会わないように気を付けるよ。……ところでリア姉、最近忙しそうだね?」

「女王様、頼まれごとしているから」

「……相変わらずリア姉はエルフの女王様とも旧知の仲で凄いね」

「ネアラもいつか、いく? でもネアラの故郷あるから、やめる?」

「……そうだね。しばらくは行かないでおこうかな。行くとしたらもっと時間を置いてから。そして私がもっと強くなるか、もっと姿形を隠蔽出来るようになってから」

 ネアラはリアと一緒ならどこでも行きたいとは思っている。それだけリアについていくことで、様々な経験が出来ると知っているから。

 とはいえ、エルフの国がある大陸はネアラの故郷である。

 ネアラは元々皇女なので、行けば色々とややこしいことになるだろう。行ってもリアが一緒ならなんとかなるかもしれないが、それでもリアに迷惑をかけないためにももう少し強くなったり、対策を練りたいと思っていた。



 そんな会話をした後、リアはまた姿を消した。

 どこに向かったかはネアラには分からない。一先ず、リアの忠告の通り、ティアルク・ルミアネスに会わないようにしようと思っていた。




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[一言] 確かに絡まれそう
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