放課後に友人と昔の話をする ③
エルフの国というのは、ゲームの世界で実装はされた……というのはリアも覚えている。その国が恐らくエルフの女王様の国なのだろうとはリアも分かっている。
「ふーん。ラウルが関わってなかったのは分かった。もし……エルフの国とかかわりがあった人がやってきたら、女王様、覚えてる?」
「え、どうだろ? ゲームとこの世界って一緒なようで違うように思えるから違うんじゃないかな。世界観とかは一緒だろうけど、色々違うだろうから」
「まぁ、それはそうだよね。そのあたりも興味深いよ。私はこの世界に赤ちゃんから転生だったからアレだけど……、ラウルたちはゲームの姿だから色々そのあたりが変だと齟齬ができるし」
此処はゲームの世界で、スキルの条件なども一緒だし、時系列的にはゲームの世界の未来の世界である。だけれども色々違いはあるのではないかというのがラウルの意見で、リアもそれは同意する。ゲームとこの世界は此処が現実だからこそ違う部分もある。
リアはこの世界で、死なないようにレベルを上げ続けようとそればかり考えていた。リアはそこまでゲームの世界の事を考えてこなかったのだ。
ラウルという友人がこうしてこの世界にやってきたからこそ、リアはゲームの世界について前よりも深く考えるようになった。
「そうだな。死んでいるはずの人間が生きていることになるし……。まぁ、それかゲームのプレイヤーたちの記録は残っているけれど、実際の俺達ではなく、俺達に似た誰かがいたとかそんな感じなのかもしれないし」
「そうだね、まぁ、どちらでもいいか」
「いや、どちらでもいいのか? 普通、色々気になったりしないのか? 俺は他にも同じように来ている人がいるかとか、この世界とゲームの世界がどれだけ異なるかとか凄い気になるんだが」
「いや、別に? 私は私として生きるだけだし」
――そんなリアの言葉に、やっぱりラウルは自分とリアは違うのだとそのことを実感していた。
リア・アルナスは少しだけ気になったから、ゲームのは話をしているだけである。それ以上のそれ以下でもない。
この世界がどれだけゲームの世界とどれだけ異なるかというのは、知れればいいし知れなければどうでもいいとそんな風に思っている。
「それで、ラウル……。ラウルがゲームの世界のことで何か気になることってある?」
「俺が気になること? んー、俺もこの世界に落ちてきて、これからどんな風になっていくんだろうとかそういうのばかり考えていて、そこまで考えていなかったんだよな……。ゲームの世界だともう少しこの世界って、人種差別とか多かった気がするけど、今はもう少し緩くなっているし。そうはいっても前世よりも殺伐としている世界なのは変わりないけれど……」
ラウルはそんなことを言いながら、前世の事を思い出す。ゲームで気になっていたイベントなどについても……。
(ゲームの世界で色んなイベントをこなした。それこそ前世のリア――ナナとも一緒に……。戦闘のイベントだったり、探索のイベントだったり、沢山のものがあった。その中で俺が気になったもの)
そこまでラウルは考えて、一つの事が思い浮かんだ。
「あのさ……昔さ、イベントで天空島ってなかったか。空に浮かんだ幾つかの島々があって、そこで探索したり天空に住まう人々と関わったり」
「ああ、そういえばあったね。それ。確かあれって、一定の条件をクリアしたら行ける場所だよね。この世界でもあるよ。でも私はまだ行ったことがない。ちょっと興味はあるけど……」
リアは四つの巨大な大陸の内、三つにはいったことがあるが、最後の大陸にはまだ向かったことがない。まだ十数年しか生きていないリアなので、行ったことがない場所があるのも当然である。それにリアはこの学園都市がある中央大陸――ゼフス大陸以外には拠点を置いていない。
「――本当にあるのか。ちょっと行ってみたいな」
「行けばいい。ラウルの寿命は長い。行こうと思えば、何処にでも行ける。ただし……気を抜いたら死ぬ。まだこのあたりだとお義父さんが、ラウルを気に掛ける。だからまだやりやすい。でも違う所に行くなら、もっと大変。ラウル、もっと自分の意思を貫くの必要」
「……リアは一緒にいってくれたりしないのか?」
「うん。私とラウルは、友人。私が全部面倒を見るの違う。それは対等な関係ではない。ラウル、私の友人なら、一人でもっと前を向いて」
リアは友人だからこそ――ラウルの面倒をそこまで見ない。前世からの知り合いで、対等である事を望むからこそである。まぁ、それ以外にもただ単にラウルの面倒を見るために一緒についていくのが面倒だという自己中心的な気持ちも当然あるのだけど。
ラウルはリアの言葉に、これ以上言っても仕方がないと頷く。
「天空島は、私も、今度行こうかな。あとは、どっかある?」
「そうだなぁ……、海底都市とかもあったよな、確か」
「うん。それは此処であるかとか知らないけど。ゲームではあった」
「どうせならゲームの世界でしかない都市とかに俺は行きたいかなって思うかな」
「ん、そうだね。それで――」
それからリアとラウルはゲームの世界の話を交わした。
リアにとってゲームの世界の話をするのは、自分が強くなるための糧になることだ。なので、リアはラウルとの話で、満足していた。
「じゃ、ラウル。また」
そして満足したリアは、ラウルにそう告げて去っていった。




