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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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VS宗教団体 ⑤

(うわっ)

 リア・アルナスは、学園の近くにある宗教団体の施設を様子見のために訪れていた。宗教団体の拠点をほとんどつぶしたという段階で、訪れたその場所には異様な雰囲気が醸し出されていた。

 リアは《何人もその存在を知りえない》を行使して、その場を訪れると巨大な魔法陣がそこには描かれていて、その周りには命を失っているであろう人々が多く存在していた。

 その中心部にいるのは、以前アキラ・サラガンに命令を下していた偉そうな男である。その男の雰囲気もどこか前と違った。

 リアは何とも言えない気持ちである。そして明らかに何かを成した後、という雰囲気なので来るのが遅かったかなと思って仕方がない。

 ただこういう時でも一切声を発することがないあたりは、流石色んな修羅場を潜り抜けてきたリアであると言えるかもしれない。

 リアは彼らが何を成したのかは分からない。ただ大きな魔力が此処で動き、周りで亡くなっている人たちは恐らく生贄のような形にされたのだろうという事は分かる。

(……神ってやつが降ろされてしまったってことかな? それが完全であるか不完全であるかは分からないけれど、それでも確かにそういうのがおろされたと考えるべきか。どうしようかなー、一度お義父さんの所に戻った方がいい? いや、でもこういう神って一部では言われている存在……、私にとっては神もどきみたいな存在って中々現れないし、レベルあげのためにも此処で仕留めるか? 下手に外にでて好き勝手されても困るし)

 リアはそんなことを考えながらのんびりしていたのだが、

「……誰だ、そこにいるのは」

 男が口を開いた。

 この場にいきている者は、その男と、ユニークスキルを行使しているリア以外にいない。となると、男が話しかけているのはリアであると考えられる。リアはその言葉を聞いた瞬間には、もうすでに動いていた。

(少なくとも神もどきは私がユニークスキルを使っていたとしても私に気づくような存在である……そうならば仕留める)

 《何人もその存在を知りえない》を行使したまま、音もなく男に近づき、襲い掛かるリア。通常ならば、それで終わる。知覚出来ない相手に襲われて、対応できるものなんてほぼいない。しかし、その男はリアの攻撃をよけきった。

「我が神であるとわからぬか」

 男は口を開く。

 少なくともリアの攻撃を避けられただけでも、何かしらが取り付いていることはわかるが、リアからしてみれば自称神という存在ほど胡散臭いものはいない。

 この世界には地球よりも信仰というものが根付いている。そもそも《超越者》という存在も一種の信仰対象である。種族としての理を超え、長い時を生きる絶対的な強者。そういう存在は周りから神のように扱われることもある。……ちなみに《姿無き英雄》のことを崇拝している団体もある。とはいえ、それは自分から神など名乗らない。周りから傅かれて、周りから神と称され、世界から神と認識されることが多い。

 リアはコミュ障なので、こういう時でもその自称神に何か言葉をかける気はない。ただリアは、目の前の胡散臭い自称神を倒したいと思っていた。死にたくはない、死ぬのは怖い。――けれど、目の前の自称神を倒すことが出来たのならば、もっと死ななくて済むようになる。

 リアの心には、もし負けて死んだらという恐怖心と、自称神を倒すことが出来れば自分はもっと強くなることが出来るだろうという強者に出会った高揚感が同時に存在している。

 相手が生贄をもってしてこの場に降ろされた自称神であろうとも、リアにとっては敵でしかない。敵であるのならば、倒すしかない。



「暗黒なる闇に願おう。大いなる力を願おう。(Beten wir dunkle Dunkelheit.Beten wir für große Macht)

業火なる炎を求めよう。求むは業火なる炎。(Fordern wir die Flammen der Hölle genannte Flamme.Flame nannte das... Flammen der Hölle)

闇と火を混ぜ合わせ、私はそれを発現させよう(Vermischen Sie Dunkelheit und Feuer damit, und ich werde es produzieren)


《黒炎》(《Schwarze Flamme》)」





 まず先制とばかりに早口で口にした詠唱——それにより、黒炎がその場に生まれる。リアはまず、目の前の存在を燃やしてしまおうと考えた。

 しかしその黒炎は、その自称神の体から溢れた何かにより消火された。魔法で生み出された炎が消化されるなんてめったなことではありえない。その溢れた何かは触手のように見えた。なんだかぬめりとしている。

(スライム系? え、そういうやつが自称神の正体?? よくわかんないけど、とりあえずつぶそう)

 リアはその神の正体はさっぱり分からない。何処から呼び出されたのかも、何なのかも。だけど、そんなことリアにはどうでもいい。――目の前の敵さえ倒せるのならば、リアにとってはどうでもいいのだ。

 だから、リア・アルナスは躊躇せず目の前の存在を殺すためにむかっていく。





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― 新着の感想 ―
[一言] なんかヤバそうなのがでてきたな
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