VS宗教団体 ①
リア・アルナスは、ギルドマスターから許可を得たということで、早速宗教団体をつぶそうと動き始めていた。
――リアはやると決めたことをあまり悩まない性格をしているのであった。やると決めたからにはさっさと行動を起こす。リア・アルナスはそう言う少女である。
(宗教団体自体をつぶすのならば、あの近くにある拠点だけをつぶしても意味はないよね。もっと本拠地からしてつぶさないと。寧ろ本拠地からつぶして、小さなところは後からの方がいいかもしれない)
リアはそのように考えた。
そんなわけでまず真っ先に本拠地というのを探すことにした。この前探ることが出来た場所は本拠地というわけではないというのがリアにも想像が出来た。あくまでアキラ・サラガンはその宗教団体の中では名前も持たない駒でしかないのだ。
そんな駒が本拠地を知っているかといえば、そうでもないだろう。
あの宗教団体の本拠地を知りたいというのならば、もっと上の人の後ろをついていく必要があるだろうということは、リアにもよく分かる。そんなわけであの近くにあった拠点で待機をして、偉そうな人物をどんどん追っていくことにした。
学園外の時間でしかリアは動かないので、その本拠地を探す時間というのもそれなりにかかる。ただしアキラ・サラガンが行おうとしている儀式は満月の日に行われるということは分かっている。満月まではまだ時間があるので、リアはマイペースに宗教団体をつぶすことにしたのである。
これで儀式の実行が明日とかだったならもっとリアも急いで行動を起こしただろうが、時間があるからと学園生活の片手間に宗教団体をつぶそうとしているあたりリア・アルナスと言う少女はやはりどこかずれている。
リアはその日、学園を終えてからすぐにあの拠点の場所へと向かい、明らかに偉いであろう人物の後ろを探っていった。そしてその本拠地を割り出す作業を行うことにする。
想像通りというべきか、アキラに命令を下していたものもその宗教団体の中では下っ端のようだ。その者が会いにいったものからまたどんどん宗教団体の中心人物へとリアは近づいていく。
(それにしても宗教団体って不思議だよね。神を卸してそれに統治させようとしているみたいだけど、自分たちが神になる! って感じで頑張った方が単純だと思うんだけど。そもそも出現させようとしている神ってなんなんだろう)
なんて思いながらリア・アルナスは、日に日にその宗教団体の中心的人物を割り出していった。
最終的にリアがたどり着いた宗教団体の本拠地というのは、学園のあるフィナスの街から幾つか離れたキッジという街であった。
その街で信仰心の深い神官として知られている男がアキラを擁する宗教団体のトップらしい。良き宗教団体の神官としての顔を持ちながらも、怪しい宗教団体のトップも務めているなんてなんなのだろうかとリアは思う。
(属性持ちすぎだよね。両方やっているとかよくバレなかったなぁ)
そんなことを思いながらその男の家へとリア・アルナスは潜入している。表では人々を救う活動をしながらも、裏では生贄を捧げて怪しい神様を復活させようとしているだなんてなんともまぁ、ひどい人である。
リアは神様なんてものを復活させられても困るし、そんなよく分からない神様に支配された世界何て嫌なので、さっさと宗教団体をつぶしてしまおうと考える。
ただまだ本拠地がこのキッジの街の何処にあるか正確にわかっているわけではないので、もっと情報収集を行ってから行動を起こすことにしたのである。
「あの儀式さえ成功すれば、我らが神がこの世界に君臨し、私は神へと至る」
などとよく分からない独り言をいっていて、リアは何を言っているのだろうかと思った。
神を君臨させる、そして自分が神になるなどといっているということは、神と一体化するということなのか。それとも神を君臨させることが出来たからこそ、自分も神であるなどと思っているのか。
どちらにせよ、リアには彼の思考回路は理解出来ない。
(それにしてもこんな神様になりたいってバカげたことを考えてるやつの自己中的な行動で、番号で呼ばれて使われているハーレム主人公の友人もなんだかなーって感じだよね。きっと他にも同じように宗教団体のためになるようにって育て上げた存在いるんだろうな。とりあえず宗教団体はつぶすし、ある程度殺しつくすことは決めているけれど、何も知らずに宗教団体に都合が良いように育てられている罪がない人は殺すのはやめとこう)
容赦のないリアとて、その思考が残忍なわけではない。敵対するものは容赦なく殺すが、基本は性格のベースが地球で生きていた頃なので、進んで誰かを殺したいと思っているわけでもないのである。
そんなわけでリアは宗教団体に所属していて好き勝手している存在は殺すことにして、利用されているだけの存在は生かすことにする。
そしてリアはキッジの街の本拠地を発見した。




