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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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ハーレム主人公の男友達の動き ②

 リア・アルナスは、ティアルク・ルミアネスの友人であるアキラ・サラガンが動きを見せているということで、彼の動向を見ている。

 リアはどちらかというと、ド派手に動くよりも、裏でこそこそと暗躍するタイプである。自分の存在を、誰かに見られることをよしとせず、ただこっそり行動を起こしてレベルを上げたいと思っているのだ。

(んー、変な宗教団体が暗躍するのはどうかと思うから、そのあたりはどうにかするかー。アキラ・サラガンは動きがなかったけれど、流石に一年間なりを潜めていたからなぁ。そろそろハーレム主人公に対して何か働きかけたいんだろうなぁ)

 うんうんと、頷きながらリアは相変わらずユニークスキルを使ってこそこそしている。

 アキラ・サラガンは、街中で密会を果たしていた。

 小さな古民家の中へと入って、男と会話を交わしている。彼らは誰にも悟られていないと思っているようだが、しっかりリアが目撃していた。

 やはりリア・アルナスのユニークスキルというのは、人に気づかれずに暗躍するという点では非常に有益なスキルである。この強者が上に立つ世界において、圧倒的な、ド派手な攻撃というのはもてはやされる。そういう力を持つ者の方が、その強さが分かりやすくて、騒がれるものだ。

 リア・アルナスのユニークスキルはそんな目立つものではない。ただただ、誰にも気づかれないスキルだ。

「儀式を行う。あの男を誘導するのだ」

「はい」

「あの儀式が成功すれば、この世界は我らが神のものへと至る」

「はい」

 アキラと話している男は、アキラよりも立場が上のようだ。アキラ・サラガンは、男の言葉にただ頷いている。

(うーん。何言ってんだろうね。宗教団体ってわけわかんないよね。しかも神って誰? 儀式って何をする気なんだろう? そもそもこういう訳の分からない宗教団体のいう神って絶対に怪しい奴だよ。この世界って本当に神様みたいに思えるような圧倒的な強い存在がいるし、この言葉が冗談には聞こえないんだよなー。私は平和的な今までのような暮らしをしたいからその神様が何なのか分からないけど、どうにかしようかなー)

 リアはそんな風に思いながら、思考を続ける。

(んー、でもその神様っていうのが私が倒せるような存在ならば、倒して経験値にしたほうがいいのだろうか……って思うけど、慢心はしちゃだめだよね。その神様が私を殺せるような圧倒的な存在だったら怖いし、即急にどうにか対応をした方がいい。手始めに、その宗教団体をぶっ潰してこようかな? お義父さんに相談してからになるけど)

 少なくともこの生活をずっと続けていきたいリアにとってみれば、儀式を行ってよく分からない神というものを復活させ、宗教団体が世界を牛耳ろうとしているのは望ましいことでは決してない。

 最もリアからしてみれば、ルーンやエルフの女王といった恐ろしい存在が山ほどいるこの世界で宗教団体の言う神というものがこの世界に君臨出来るなんてありえないとは思っているが。

「あの男をささげるのだ」

「はい」

 男の言うあの男とは、ティアルク・ルミアネスのことであろう。以前見かけた時もティアルクをささげるように彼らは話していたので、そのことが分かる。

(……これって、あれかなー。物語でいう主人公の成長ポイント的なやつ? 信じていた友人が実は敵対組織の一員であり、名前さえもない。そんな中で主人公が生贄としてささげられそうになる……。そして友人ともども世界を救う! みたいな。うん、ありえそうなシナリオ。やっぱりハーレム主人公って主人公体質だと思う。でもまぁ、こういう私にとって丸わかりな世界征服計画に関してはぶっ潰そう。そっちの方が世界のためだよね。私もつぶしたいし)

 まるで主人公の成長ポイントみたいな話だなーって思いながらもリアは、その成長ポイントを横取りする気満々である。流石にこれだけ儀式として同じ学園の生徒が捧げられようとしているというのを知っておきながら事が起こるまで放置する気はリアにはない。

 宗教団体をリアがつぶした後、アキラ・サラガンがどうなるかは定かではないが――まぁ、それもリアにとっては知った事ではない話である。

 リアにとって大事なのは、ハーレム主人公の成長ポイントを守ることでも、ハーレム主人公の友人を助けることでもない。ただ世界が宗教団体のものになったらリアが困るからつぶしてしまおうという自己中心的な思いが重要なのだ。

 さっそく、リア・アルナスは彼らの話を聞いた後に、ギルドマスターの元へと向かった。

 そしてギルドマスターに向かって「何を呼ぼうとしているか不明。でも何か、呼ぼうとしている。生贄ありで。世界を自分の手にと言ってる。つぶしていい?」などといきなり問いかけるのであった。

 事情を把握したギルドマスターは、「よし、つぶしてこい」とリアの言葉にそういうのであった。





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