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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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犯人を求めて 2

 さて、リア・アルナスは学園内を歩いている。

 ――相変わらず学園内でも《何人もその存在を知りえない》のスキルを行使しながらこそこそ動いている。リアは、クラスの違うハーレム主人公、ティアルク・ルミアネスたち一味を覗いている。

 彼らは、二年生に上がってから益々、ハーレムたちと仲良くなっていた。

「ティアルクさん、今度――」

「ティアルク、あのさ」

「ティアルク先輩!!」

 ……相変わらず女子生徒たちに囲まれている。今年入学したばかりの一年生たちにもかっこよくて強い先輩がいると騒がれているらしい。ぶっちゃけ、それだけ騒がれておきながら鈍感系主人公を貫いており、一切、気づいていないというのは頭がおかしいのではないかとリアは思う。

 自分への好意に鈍感すぎる人はいまいち意味が分からない。トリップ少女も元気にそこに混ざっている。ちなみに今は昼休みである。彼らは昼休みに集まって、わちゃわちゃしている。その中にあの訳アリ友人もいる。

 というか一年経過しても、結局ハーレム主人公には男友達は一人しか出来ていない。他はハーレム主人公にとっては友人のようだけど、向こうからしてみれば好きな相手で、そう考えると友達があまりいないように思えた。

(ある意味ハーレム主人公も友達はいない相手なんだよなぁ)

 などとリアは思いながら近くに潜伏している。

 声がきちんと聞こえるぐらいの距離にいるが、彼らはリアの存在に一度も気づくことなどなかった。

(流石にゲンさんとルノさんに話を聞いていたとしても、学園ではその話をすることはないだろうけど……)

 とリアは思っていたのだが、今、目の前でティアルク・ルミアネスはその話をし始めてしまった。

「――知り合いから聞いたんだが、最近、レベルの高い人達を狙っている人がいるらしい」

「なんてこと!」

「そんな恐ろしい!!」

 ティアルクの言葉に震えるのはアユミである。アユミは日本からの転移者で、それなりにレベルが高い。そのことも知られている存在だ。自分も狙われるのではと恐怖するのも当然である。

 彼らは自分たちがレベルの高い存在だという自負があるので、アユミ以外も自分が狙われるのではないかと怯えている。怯えるにかこつけて、ティアルクに甘えているものもいて、そのあたり女性はしたたかだなと同じ女でありながらリアは思う。

(というか、ゲンさんとルノさんはハーレム主人公が狙われるかもしれないからって念のため心配して告げてくれただけで、きっと、ハーレム主人公がこんな風にクラスメイトたちにまで事件のことを言うなんて思っていなかっただろうな。

 本当にびっくりするぐらい考え知らずなところがあるよね)

 リアはこんな弟子を持ってしまっているゲンとルノに同情さえも覚えてしまう。

 そう考えるとリアの弟子のような存在はソラトとネアラぐらいなので、こういう馬鹿なことをすることはない。リアはその点は良かったなと思う。まぁ、そもそもこれだけ口が軽い存在を弟子にしてしまったら、自分の存在のこともばらしてしまいそうなので、弟子にすることはないが。

「罪もない人達が狙われて殺されるなんて許せないんだ。僕は犯人を捜そうと思っている」

 そう口にするティアルク・ルミアネスは自分がそんな殺人鬼に負けるわけがないと驕っているのだ。

 それにしても想像をしていたものの、本当にティアルク・ルミアネスが考えもせずにそんな行動を起こすとはリアも思ってはいなかった。

(寧ろハーレム主人公はこんな調子でよくこれまで生きてこられたなぁ……。真っ先にこういうタイプだと死にそうな気がするのに。それはやっぱり主人公補正みたいなので、運が振り切れているとかあるのかな)

 そのあたりはうらやましい気持ちにもなる。正直言ってリアはそこまで運は高くない。何か問題に遭遇したら死ぬ確率の方が高い。だからこそ、何事もちゃんと準備をして行っているわけだが。

「――そうね」

「ティアルクさんと私たちなら出来るわ」

「そうだ!! そんなやつらはどうにかする!」

「私たちが力を合わせて正義のために動きましょう」

 ……そう口にしているハーレムメンバーの連中は、一切、自分たちがまけることなどは考えていないようだ。リアからしてみれば、えー、本気? って感じであるが、彼らはあくまで本気である。

(飛んで火に来る夏の虫って感じ? このままいい感じに囮になってくれるなら私は楽だけど。……というか、友人君は大人しいなぁ。変な集会にはいっていたけれど、大人しくしているし。こっちもいつ動くつもりなんだろ? ためらいなく、レベルがそれなりに高い連中を殺せる犯人だと、ハーレム主人公みたいな人を殺すことにためらいそうな人は大変そう。

 ハーレム主人公って人を相手にしたことってあるのかな。見た感じ、そういうのなさそうだしな。でも運勢が高いし巻き込まれ体質っぽいから、運良く殺人鬼と遭遇はしそう)

 リアはそんなことを考えながら、ティアルク・ルミアネスの巻き込まれ体質がいい感じに作用することを祈るのであった。




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