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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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リアに届いた手紙

 その日、リア・アルナスは《何人もその存在を知りえない》を行使して、ぶらぶらと街の中を歩いている。

 先日、カトラス・イルバネスに遭遇してしまったというのもあり、リアは改めて《何人もその存在を知りえない》のスキルを使わずに外に出たくないと思ったのである。

(本当に人に認知されたら大変だもん。そうなったら色々とややこしいもん。この前、ネアラに言われて外に出たのは失敗したな。これからもう外には学園以外では出ないようにしないと……)

 リアはそんなことを考えながら、ぶらぶらと動く。リアは誰にも関わることなくのんびりと過ごしたかった。

(学園に通うようになってから、色んな人と関わってて疲れたからなぁ)

 などとリアは思考を巡らせている。

 リアの視界には当たり前のように日常を送る人々が見える。リアは正直言って、そんな当たり前を過ごす人たちは凄いななどと思うのである。前世から含めてコミュ障であるリアは外に出ているだけでもすごいという気持ちになるのであった。

(あーもう、本当に外には出ない方がいいよ。なるべく引きこもりで目立たずに、過ごすのがいいよね)

 うんうんなどと頷きながら、誰にも悟られることなく色んなものを観察しているリアである。

 ……と、そんなことをしていたら道を歩くギルドマスターを見つけてしまった。リアの義父であるギルドマスターは精力的にギルドマスターとして活動している。というのもあってこのあたりをよくうろうろしている。リアもよくこのあたりをうろついているので、よく見つかっている。

(さっさとずらからないと……、お義父さんに見つかっちゃう)

 そう思って踵を返そうとしたリアであるが、そうしようとした瞬間、目が合ってしまった。

 リアとの付き合いの長いギルドマスターはリアがユニークスキルを使っていても、なんとなくで悟ってしまう部分が結構ある。とはいえ、リアがレベルをあげてきているというのもあり、年月が経つにつれ悟られなくなってはきているが。

(完全にお義父さんにバレた。仕方ない。ギルドに行こう)

 この場で話しかけられても困るので、リアはギルドへと向かうのだった。ギルドマスターはリアがギルドへ向かっていることを把握しているので、そのままギルドマスターもギルドへと向かうのだった。





 リアはそのままギルドへと向かい、ギルドマスター室に誰もいない隙に忍び込む。

 




「リア」

 そしてリアの後にギルドマスター室にやってきたギルドマスターは、リア・アルナスがそこにいることを確信しているような口ぶりで呼びかける。

「……お義父さん、何」

 わざわざ視線を外さなかったということは、何か用事があるのだろうと思いながらリアは無愛想に問いかける。

 誰にも悟られずにのんびりするつもりだったリアは、ギルドマスターに見つけられて何だか悔しい気持ちで一杯であった。いつかギルドマスターに悟られないようになりたいと思っているものの、現在はどうしようもない。

 それだけ差があることも、正直言ってリアは悔しいと思う。

「そんな風に機嫌を悪くするなよ。そういえば、ネアラに聞いたけどクラスメイトと遭遇したんだって」

「……それが、何」

「本当に会いたくなかったんだな……」

「ん。それで、用は。それが話じゃないでしょ」

 リアはもっと話をしたそうなギルドマスターの話をばっさりと切って、そう問いかける。

 ギルドマスターは、目の前で不機嫌そうな声をあげるリアに視線を向け、一枚の手紙を取り出す。その手紙を見て、何か面倒ごとだろうかと、リアはちょっと嫌な気分になる。

(というか、私あてに手紙って……まさか、またエルフの女王様?)

 そんな風にリアが感じていた嫌な予感は的中した。

「これはマナからの手紙だ」

「げ」

「げって、あいつ凹むぞ?」

 リアは嫌そうな顔をしながらその手紙を受け取る。またエルフの国に来て欲しいとかだろうか? と思っていたが、意外にも読んでみたら近況報告のようなものだった。ただ最後に「リアちゃんの近況も知りたいわ」と書かれていた。

(え。これ返事しなきゃ駄目?)

 などと思っているリアにギルドマスターは言う。

「手紙を書いてやれよ。マナもリアの返事を待っているからな」

「……あー、気が向いたら書く」

「気が向いたらじゃなくて書けよ。国主の手紙を無視するとか相変わらずリアは面白いよな」

「……分かった」

 リアは圧倒的強者であるエルフの女王に対し敬意は持っている。いつか超えたいと思っている存在で、殺せない存在で恐ろしいけれど……、それでも嫌っているわけではない。そもそもリアは他人にそこまで関心がなく、自分が強くなることで精一杯なので人を嫌うことはそこまでない。

「つか、俺もリアから手紙なんて然う然うもらったことないからな。ついでに俺宛てにも書け」

「なんで?」

「リアの手紙が欲しいからな」

「……気が向いたら」

 なんだかんだ義理の父親のことを尊敬はしているのでリアはため息交じりにそう答えるのだった。


 そしてリアは「じゃあ」と口にしてギルドマスター室を後にするのであった。

 その後、家で「ネアラ、手紙、どう書く?」などとネアラに問いかけるリアの姿があったとか。






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