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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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トリップ少女 3

「リアちゃんとお出かけ滅茶苦茶嬉しい」

「お出かけって、ただ覗き見するだけじゃない」

「覗き見だろうとも、リアちゃんと一緒に出掛けられるってだけで俺にとってデートみたいなもんだもん。リアちゃんが他の人間のことを気にしているのとかは気に食わないけど、リアちゃんと一緒に出掛けられるのは滅茶苦茶嬉しいから」

 ソラトはリアと一緒に出掛けられるだけで嬉しくて仕方がないらしく、にこにこしている。基本的にソラトはリアの前以外ではこんな風に笑わないので、普段の様子を知る者が見たらそれはもう驚く事だろう。

 さて、《姿無き英雄》リア・アルナスと《炎剣》ソラト・マネリの幼馴染たちは、トリップ少女とハーレム主人公を後ろから追いかけていた。

「ソラト、一応バレないように静かに」

「分かってるよ。でもあいつ、レベル高いわりに色々抜けてるじゃん。気づかないって。それにしても魔物退治に友人達もつれていくって自信満々だよな」

 ソラトの言葉にはリアも同意する。

 アユミに誘われて魔物退治に行くことを決めたティアルク・ルミアネスは他のハーレムメンバーも誘っていたのだ。

 リアとしてみれば危険かもしれない魔物退治においてまるでピクニックに行くかのようにハーレムたちを誘った事には飽きれてしまう。

「ねぇ、リアちゃん、あの転入生をそんなに気になるの?」

「……あれ、《爆炎の騎士》と同じはず。こっちに迷い込んできた」

「へぇー。あ、でもだからちぐはぐなのか」

「多分。実戦経験ないけれど、自信ありみたい」

 こそこそと話しながらついていく。ソラトと話している間は《何人もその存在を知りえない》は効果を発していない。が、アユミ達に関しては一切気づく気配がないので現状問題はない。

(というか、あの人たちそんな準備していないんだよね。トリップ少女とハーレム主人公だからかもだけど、もうちょっとさ、ちゃんと準備したほうがいいと思うんだけど。あれだけ自信満々で、準備しないとか私には出来ないからな)

 準備をしないということはリアには出来ない。心配性が故に強くなった少女にはそういう考えは理解出来ないものである。

(ってか、本当にトリップ少女はハーレム主人公に落ちてるなぁ。他のハーレムのメンバーたちが自分の事をよく見てもらおうと必死だなぁ。ハーレム主人公の友人は今回いないのか。何やってるのかそっちも気になる。また変なことしてるのかな。その辺はお義父さんに聞けばいいか)

 そんなことを考えながら、ゆったりと追っていくリアの隣でソラトは嬉しそうな様子である。リアが考え込んで喋らなくなったとしてもソラトにとってはリアと共にいれるだけで幸せらしい。

 森の奥深くへと進んでいくアユミたちはそれはもう楽しそうにきゃっきゃっしている。

 青春してるなぁという感想しか出てこないのは、リアの精神年齢が前世も含めて高く、前世も含めてそういう経験をしていないからかもしれない。

「魔物現れた」

「猿みたいな魔物。知性あるから少し面倒な奴」

「リアちゃんなら一瞬でしょ」

「うん」

 アユミ達を囲うようにして現れたのは猿のような魔物である。人と同じぐらいの体長を持ち、知性のある面倒な魔物だ。

 今回アユミが倒すことを頼まれた魔物は、この猿系の魔物の上位種である魔物だ。下位種を従えている面倒な魔物で繁殖率が結構高い。知性があるので人から武器を奪って使ったりするので面倒な魔物だ。

 とはいえ、リアの場合は相手に悟られることなく一瞬で命を奪うので問題は何もないのだが。

 アユミやティアルクたちは真正面からぶつかって力づくで勝つといった感じのようなので、頭を使って戦う魔物にとっては戦いやすい相手かもしれないとリアは思う。

(まぁ、少しぐらい相性が悪かったとしてもレベルはこれだけ高いわけだし、負けることはないだろうけど。でもハーレム主人公がいるし、色々イレギュラーは起きそうだからな)

 リアとソラトの視界に、アユミたちが一心に魔物を倒している姿が映る。元々彼らはレベルが高かったり、学園でエリートだったりする集団だ。猿の魔物を順当に倒していっている。

 普通に考えればこれだけの戦力で負ける相手など出てくるはずはない。しかし、リアが観察している相手はVRMMOの世界にトリップした少女と、物語の世界にいるようなハーレム主人公である。主役格のようなのが二人もそろって何も起きないはずはないだろう。

(さぁて、何が出てくるかな)

 リア・アルナスは面白そうに仮面の下で笑う。

 その隣でソラトはリアが楽しそうにしていることが嬉しいという気持ちと、やっぱりリアに気に入られている彼らが気に食わないという気持ちを、両方感じるのだった。

 ちなみにリアとソラトに気づいた魔物は、ソラトがアユミたちに気づかれないように殺していた。




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