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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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トリップ少女 2

 異世界にトリップしてきた少女、アユミはこの世界で《超越者》などの話を聞いて、自身もいつかそんな存在になれるのではないかと夢を見ている。ティアルク・ルミアネスの隣で、強者として生きていく道を望んでいる。

 ――そんなアユミに、魔物討伐の話が来た。

 アユミが不思議な存在で、身元が怪しいものとレベルが高い。そんな存在だからこそ、有力者の貴族が保護を申し出た。

 それは決して善意からの行動ではない。その強さを利用できないかという思惑はもちろん、その貴族にはある。

 しかし、アユミはまだ若いというのもあってそこまで深く考えられていなかった。彼女にとって此処は夢を叶える場所でしかない。——楽しい未来だけが待っていると、アユミは信じ切っている。この、強者が全てである世界でそんなことがあり得るはずがないのに。

 この世界は、地球よりも命が軽い。人の命は簡単に飛んでいく。戦いの中で人を殺すことだってある。殺さなければ殺されると言った未来も来ることもある。その現実が、まだアユミには見えていない。

 さて、魔物退治を頼まれたアユミはそれを当然のように引き受けた。現実での魔物退治をしたことがないからこそ、彼女は楽観的だった。

(ティアルク先輩も誘おう。ティアルク先輩の前で私は強いんだって見せて、それでティアルク先輩が私の事を好きになってくれたりして……きゃっ)

 アユミが簡単に魔物退治を引き受けた事に貴族は「それだけ実力に自信があるのだろう」と安心していたが、そんなことはない。ただアユミはまだ魔物の脅威を分かっていないだけである。


 アユミは早速ティアルク・ルミアネスに話を持ち掛け、それをティアルクは了承する。



 さて、その様子を見ているものがいる。もちろん、《何人もその存在を知りえない》を行使しているリア・アルナスである。

 リアは貴族邸に簡単に忍び込むと、彼らの話を盗み聞きしていた。リアはアユミのことを観察対象としてみていた。なのでこうして時々覗いていたわけだが、アユミと貴族の会話を聞いて内心「うわぁ……」と思っていた。

 それもそのはずである。

 魔物退治をためらいもせず引き受けてはいるものの、アユミは実戦経験はゼロである。ゲームの世界で戦ってきたというのは実戦経験に当てはまらない。ゲームの世界では死んでも蘇るが、此処は現実である。死ねば、死ぬ。

 そもそも魔物の情報を少しは聞いていたが、その魔物のことをアユミが正確に把握しているとは思えなかった。

 とはいえ、アユミも実力とレベルが釣り合っていないにしても51はあるのでなんとかなるかもしれないが。

(でもハーレム主人公って、中々に色んなことに巻き込まれていくような存在だと思うんだよねー。異世界からの転移者とハーレム主人公がそろって何も起こらないってことあるのかな。それにあのハーレム主人公の男友達も一緒に行くなら色々動きだすかもしれないし。

 面倒なことは嫌だし、様子見しようかなー。同じ世界から来た存在がすぐに死ぬのも目覚め悪いし)

 リア自身も色んなことに巻き込まれたり、普通ではない経験をし続けているが、ティアルク・ルミアネスも同様であると言えるだろう。

 しかしティアルク・ルミアネスは幸運値が高いこともあってなんだかんだで死ぬことなく生きている。

(それにしてもあの調子じゃ、気づいたら死にそうだなぁ。知らないうちに死んでる場合はもう放っておこう。死にそうなの見かけたら流石に助けるけど)

 《姿無き英雄》と言われようともリアは万能ではなく、ただ目の前で死なれると目覚めが悪いと助けているだけで、そこに正義感などあるわけではない。

 リアは極めて自己中な人間であり、ただ自分が思うように行動をしているような人間だ。

(ちゃんと聞いてはないけど、ハーレム主人公の男友達の事はお義父さんも警戒しているはずだし。面倒な事は起こらないだろうけど……、あーでも色々とアレな行動起こしそうなら徹底的につぶさないと。まだ何を考えているかは詳しく分かんないけど。あの隠れ家には私では入れないしね)

 リアはアキラ・サガランの事を考えていた。ギルドマスターには告げていて、何かしら行動を起こしてはいるだろうことは分かっている。だからリアが心配するようなことは何も起こらないだろう。

 とはいえ……、何か面倒な事が起こらないように見ている分には問題がない。ユニークスキルを使いながら行動をすればそれだけでも経験値になるので、リアにとっても問題はない。

(さて、ハーレム主人公とトリップ少女がどんな化学反応を起こすのか見るとしますか)

 リアはそんなことを考えながら、その場を後にするのであった。


 ちなみに、家に帰るとソラトがいて「俺もついてく!!」と言い張ったのでリアはバレないようになら問題はないと答えた。そのため、ソラトが魔物退治見学に共に来ることになった。





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