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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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そういえば、とリアは覗き見する。

 リアが入学したころの決闘騒ぎを覚えている者はどれだけいるだろうか。その出来事の事を口にすれば学園で暮らしている者たちは少なからず「ああ、あの件か」と思い出す事だろう。学園内では、少女を助けるために決闘を行った心優しい少年、などとティアルク・ルミアネスの評価が上がっているらしい事件。リアからしてみれば、決闘で他の人間の人生まで賭けるなんて正気の沙汰ではなかったが……。

 さて、そこで助けられたフィリア・カザスタスは現在、ティアルクの周りをそんなにうろうろしていなかったりする。確かにティアルクの事を見かければ、ティアルクに挨拶をするし、話しかけにはいっているが、助けられた当初ほどではない。

(そういえば、最近ハーレム主人公の傍で見ないな)

 と言う事に気づいたリアは、《何人もその存在を知りえない》を行使して、その存在の事を見に行く事にした。というのも、少しだけ様子を見に行こうという気になったからというだけだが。

 様子見するためにユニークスキルを行使するなんて贅沢な使い方をするのはリアぐらいである。

 リアは何でもないことにユニークスキルや通常スキルを使っていく。

 そしてリアは、その存在を見つける。

(あれ、ハーレム主人公じゃない男と一緒にいる)

 リアがハーレム主人公と呼んでいる相手に恋愛感情を抱いているとばかり思っていたのだが、ハーレム主人公ではない相手と親しげにしていた。見るからに恋人だとわかる。

(そっか。ハーレム主人公の周りにはあれだけ濃いメンバーがいるし、他の人が好きになったのかそっちに行ったのか。でもそうだよね。あれだけ好意を寄せている美少女達がいる男だと、自分と付き合える確率も低いだろうし、その人じゃなきゃ絶対にダメとかではなければ他になびくよね)

 リアは前世も含めて恋愛は一切したことないが、普通に考えてそうだろうとそんな思考に陥っている。

(そう考えるとあれだけ鈍くて、相手に伝わってないのにハーレム主人公の傍から離れようとしないメンバーたちってすごいよね。ずっとあんなふうにアピールしていてかなわなければ普通あきらめる気もするのに、あきらめないんだもん。それだけ魅力があるって事? ハーレム主人公の魅力って何だろう?)

 じーっと、フィリアとその恋人の事をみながらリアは思う。正直リアにはハーレム主人公の魅力というものがいまいちわからない。

 確かに見た目は美形である。それでいてそれなりに強い。そして対外的に見て優しいのだろう。でもそれだけである。

 ティアルクは様々な騒動を巻き起こす人物であり、近くにいると面倒な事に巻き込まれる。そのことを理解した上でハーレムメンバーはそばにいるだろうが、当の本人がそういうことを一切考えてなさそうである。

(うん。わかんない。そもそも前世でもそういう人気者の人気な理由がいまいちわからなかったし。ひきこもる前にそういう人種見た事あったけど、関わりたくないなーとしか思えなかったし。漫画とかで出てくるそういうキャラクターはそういうものであると理解できたけど、実際に見ると訳が分からない。見ている分には面白いけれど、結局謎だな。ハーレムメンバーは巻き込まれたいとかそういうやつ? 大事な存在だからこそ巻き込まれてもいいとかそういう感じなのかな? ああ、でもそうか。私もお義父さんとか、ルカ姉とか……あとソラトぐらいが何かに巻き込まれてたら助けはするか。でもソラトが面倒な感じだったら二度と接しようとは思わなかっただろうけど。うーん、まぁ、《トラブルホイホイ》は私も持っているけどさ)

 うーん、とリアは思考しながらひっそりとフィリア達を観察している。

(やっぱり恋愛とかって私には分からない感情だな。そもそも心を許すっていうのがいまいち理解できない。恋人って家族とかともまた違う関係性だし。恋人で恋人同士がすることやる時って、夫婦もそうだけど無防備だろうしな。そういう時に相手に殺されたらとかって考えないものなのかな)

 リアからしてみれば、恋人や夫婦という関係性を作れる存在自体すごいと思ってしまう。何故なら自分が一番無防備な姿を見せるという事なのだから。そういう時に殺意を持って切りかかられたら――それを考えただけでも、リアはぞっとする。

「フィリアは可愛いなぁ」

「もうー、そんなことばかりいって」

 目の前でいちゃいちゃするカップルを横目に、リアはその場を後にする。

(うーん、こうやってハーレム主人公のハーレムもいなくなっていくのか。結局どうすんだろうね。ハーレムの終着点ってなんだろ? ハーレムで幸せになりました? それとも一人を選んで、他は退散? リアルのハーレムの終着点とか、観察は楽しそう。観察続けよう。転移者かもしれない転入生と関わるかどうかも見ておきたいし)

 人気のない所で、《何人もその存在を知りえない》を解除してリアは教室に戻るのだった。



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