テストの終わりと、三学期の終了
ハーレム主人公の友人であるアキラ・サガランの秘密を少なからず知ったリアだが、今の所何かを働きかける気はなかった。
アキラ・サガランは、一切、ティアルク・ルミアネスに対して悟らせることはないようにリアには見えた。
エルフの女王様の血筋が居る事は知っているが、獣王の娘が友人にいることをティアルク・ルミアネスは分かっていないだろう。自分の周りにどういった者が集まっているのかティアルク・ルミアネスは一切わかっていない。
(ハーレム主人公は、一年何もばれることがなく過ごせたと思ってそうだけど、全然だよね。色々勘繰られていると、友人の方には狙われてるし。生徒会も学園側も勘付いてきているしなぁ)
リア、そんなことを考えながら、テストの結果を見ている。
配られたテストは大体が平均点。リアはとても満足そうな顔をしている。
(よしよし、いい感じ。予定通り。ハーレム主人公は……相変わらずだ)
リアは、ふと、全て満点を取ったと得意げなティアルク・ルミアネスを見た。
「流石だな」
「凄いですっ」
キラキラした目で見られているティアルク・ルミアネス。彼はこの学年で、いや、この学園でもっとも有名になりつつある。それだけのことを、彼はなしとげている。それだけ目立つ行動を彼は行っている。
―――それは決して正体がばれたくないと自分のことを隠している少年には見えないだろう。
(満点か。ハーレム主人公は、相変わらず隠す気がない。それにしても勝てることが当たり前の試合で勝てて、とれるのが当たり前のテストを良い点が取れて、どうしてそれで喜べるのかさっぱりわからない。そして———)
リアは、ちらりと別方向に視線を向ける。
そこにいるのは、カトラス・イルバネス。リアが、過去あり主人公と呼んでいる少年だ。
(こっちはこっちで、今の所何も動き出していない感覚。んー、このまま、落ちぶれたままかな? 漫画とかだと覚醒して前向きになるとかな気がするけど、学園に通っているうちにそうなるのか? まぁ、観察しとこう)
リア、そんな思考に陥る。ちなみにカトラス・イルバネスの点数は平均よりも少し良い、良くも悪くもない点数である。カトラス・イルバネスはやる気はないながらに平均よりも高い成績を収めている。
(本気でやったら過去あり主人公はそれなりのレベルまでいきそうだけど、まぁ、本人がやる気を出したらだね。途中まで本気でやって諦めてこうなるなんてもったいないと私は思うけど、この世界、もうレベルは上がらないって諦める人多いからな)
リアは、諦める人の気持ちが分からない。やれば、それだけ結果につながる世界で、レベルが上がり強くなれる世界で、諦める意味が分からない。――――リアは、限界を感じたことがない。少しずつでも結果が出ていると、それを実感している。
(とりあえず明日から春休みだから、レベルあげもっとやろう。あとルーン所に遊びに行こう。あとは―――)
リアは春休みに何をしようかという思いを巡らせていた。
――――そして、三学期は終わった。
終業式のあと、リア・アルナスは学園内をぶらぶらしていた。そうしていたら、幼馴染のソラト・マネリを見つけた。ソラトは学園内をぶらぶらしていた。なんでぶらぶらしているのだろうかと、リアはソラトのことを見ていた。
ソラトは、ぶらぶらしながら何かを探しているようで、リアは途中から自分の事を探していることに気づいた。
(私を探しているのは分かるけど、学園で接触されたくないし、まぁ、家帰ってからならいいけど)
そう思ったリアは、周りに誰もいないのを確認してから、「ソラト、家」とだけ告げて家にさっさと帰った。ソラトはそれだけの言葉で理解したのか、目を輝かせた。
そして、ソラトは意気揚々とリアの家にやってきた。何も知らされていないネアラは突然やってきたソラトに驚いたような顔をしていた。その後、すぐにリアが顔を出して益々ネアラは驚いた。
「それで、ソラト、何」
「折角、一年終わったからお祝いしたいんだよ。リアちゃんと一緒に過ごしたかったんだよ!」
「……はぁ、だからって学園で探すな」
「だってそうしなければ、リアちゃん絶対どっかいくじゃん。捕まらないじゃんか!」
まぁ、言われてみればそれはそうだとリアは思った。リアの性格をなんだかんだで知っているソラトだからこその行動だと。
「で、リアちゃん、一緒にお祝いしようよ! 無事に正体ばれずにすんだってことで! 俺が幾らでも料理作るから!」
「……ん、まぁ、少しならいい」
「そっか、今日で学園一年目終わりだったもんね。じゃあ私もお祝いするよ」
ネアラもそういったので、ソラトとリアとネアラで一年目が無事に終わったということで食事をするのであった。
そして、リア・アルナスの学園一年目は終わった。
 




