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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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三学期が始まった

 冬休みが終わった。

 リア・アルナスは、教室の中でいつも通りマイペースに読書をしている。

 リアの耳には、冬休みを楽しんだだろうクラスメイトたちの会話が耳に入ってくる。

 「ねぇ、みんな、どうでした?」

 「私は——」

 「冬休みに~に旅行に」

 会話にリアが混ざることはない。リア・アルナスはのんびりと過ごしている。

 (冬休みは、イランと友達になれてよかった。私の友達、三人目? ルーンと、イランと、あとはラウルぐらいしかいないからなぁ。相変わらず転生しても私はほぼぼっちっていう)

 リアはそんなことを考えながら足を少しだけぶらぶらしている。身長が低いため、学園の所蔵している椅子に腰かけると床に足がつかないリアであった。

 (そういえば三学期は闘技大会か。適当に負けなければならない。私が少しでも強いかもなんていうことを思わせないようにしなければ。……ハーレム主人公は自分の実力を隠してここにいるはずだけど、好成績残しそうだな)

 リアは、ちらっとだけ、ティアルク・ルミアネスを見た。

 リアがハーレム主人公と呼んでいるティアルク・ルミアネス。普通の学園生活がしたいなどという願望から普通を装って学園に通っているが、普通を装うことが全くできていないような存在である。

 リアからしてみれば、本当に隠したいならもっと徹底的にやればいいのにと思ってならない。

 (闘技大会、ちょっとぐらい面白ければいいけど、面白いもの見れたりするかな)

 リア、そんな思考をする。

 リアからしてみれば、闘技大会というものは自分の力を示す場所ではなく、自分が何か面白いものを見れるかもしれないという思いしかないのであった。

 闘技大会の話題をさっそくクラスメイトたちはしている。楽しそうに闘技大会の話をしている様子を、同じ年代なのに青春だなぁとリアは見ている。

 そんなリアにエマリス・カルトが近づいてくる。

「アルナス、冬休みどうしてた?」

「……普通」

 リア、それだけ答える。

 しかし、詳細を知っている者からしてみれば何が普通なのだと思えるようなリアの冬休み。

 《竜雷》と獣人の国からの依頼を受け、ギルドマスター一家と家族旅行に出かけ、《守護鳥》と友人になるという何とも濃い冬休みを過ごしているリア。でもリアにとってみれば、そういう一般人からしてみれば異常な冬休みでも、普通の冬休みなのである。

「そっか。ところで闘技大会のために特訓しないか? アルナスも結果を残したいだろう?」

 ふるふると、首を横に振って、リアは席を立ちあがる。

 後ろからエマリス・カルトが「アルナスっ」と声をあげるが、リアは無視して教室を去った。

 (エマリス・カルト、獣王の子供っぽいのは興味が出るけれど直接かかわりは持ちたくない。めんどくさい。というか、何で私が闘技大会で結果を残したいとか思うんだろうか。いや、まぁ本来はそういう気持ちが沸くものだろうけど。というか、ハーレム主人公も闘技大会やる気満々なのか? 本気だしても相手がかわいそうなことになるだけの弱い者いじめにしか見えないけど)

 考えながら、リアはユニークスキルを行使する。ユニークスキルを行使して、学園の中をうろうろする。

 (闘技大会は、《炎槍》が来賓だけど、お義父さんも来るんだっけ? ギルド関係者は少なからず来るし、あとは騎士とか、もしかしたら他国の重臣もくるかもしれないし。でもエルフの女王様とかは……多分こないよね。《炎槍》だけではなく、そっちまでこられるとめんどくさいなぁ。多分、こないよね? いやぁ、でも三年間あるうちの一回ぐらいはきそう、面白がって。今年はこなきゃいいけど……)

 リア、そんな思考に陥る。

 正直、《姿無き英雄》を気に食わないと思っているらしい《炎槍》が来賓として訪れるのもめんどくさいとおもっているのだ。もしエルフの女王様まで来たらリアとしてみればめんどくさい。

 リアは、学園長のいる場所へと向かった。

 何故向かったかというと、只単に学園長を観察しようという気になったからだ。

 「……闘技大会では、《炎槍》様が来るのだろう。その手筈は整っているか?」

 「はい。今の所問題はありません」

 「《炎槍》様は難しい人物だという話だから、気をつけなければ」

 学園長が教師と会話を交わしているのを聞きながらリアは、ちょっと面白くなった。

 (《炎槍》、気難しいとか言われてるんだ。まぁ、確かに色々面倒なおじいちゃんだと思うけど)

 リア、そんなことを思いながら引き続き学園長の言葉を聞く。

 「そうですね。それにしても今年は《炎槍》様というギルドSSSランクを招待で来てよかったですね」

 「ああ、我が学園にとっても誇らしいことだ。これで《炎槍》様の目に留まるような学生がいれば喜ばしいことなのだが」

 真面目にそんな会話をしているのをリアは聞いていた。そしてリアは、

 (……ハーレム主人公が目をつけられたりするパターンか?)

 などと考えるのであった。





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