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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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課題を終えて、強さを求めて飛び出す。

 そして、ギルド最高ランク二人が『異常』と言わしめ、ティアルクに性別を勘違いされているリアはと言えば、

 「課題面倒」

 「リアちゃん、一緒に頑張ろう」

 さっさとアパートへと帰宅して、ソラトと二人で課題をこなしていた。

 二人で向かい合って、課題をする姿は誰がどう見ても仲が良いと言えた。

 リアとソラトは学園でもクラスは違う。が、二人共明日までの課題が出されていた。

 リアのほうは『魔物』についての、ソラトの方のは『戦術』についての課題である。戦い方を学ぶための学園であるため、そういうことも学ばされるのであった。

 正直、『魔物』についてはギルド最高ランクとしてリアは活動している事もあって学園の誰よりも詳しいと言えるほどに知っている。それも当たり前だろう。実際に魔物を普通の人では考えられないほど葬ってきたのが《姿無き英雄》なのだから。

 が、リアは『優等生』として目立つ事は嫌だった。

 そのため、課題もテストも全て手抜きする事を決めていた。課題を見ながらどのくらい手抜きすれば『普通』と認識されるかを悩んでいた。

 「全部、わかる。でも、普通の人どのくらい知っている?」

 「さぁ? ある程度皆が知ってそうな事を書いとけばいいんじゃないか? 俺もそうするし」

 「ソラト、別に私の真似して手を抜きすぎる必要ない」

 「俺、リアちゃんと一緒がいいから、落ちこぼれを演じる気満々だよ!」

 「……そう、まぁ、ソラトがしたいならそうすれば」

 ギルド最高ランク所持者《姿無き英雄》とギルドSSランク所持者《炎剣》はそんな会話をのんびりと交わす。十代にして最強の一角にたどり着いているリアと、そんなリアに追いつきたいがために十代にしては驚く程にレベルの高いソラトは正直普通という感覚がよくわかっていなかったりするのであった。

 そもそもこの世界の強者は自分勝手に生きていても咎められない存在であり、リアも基本的に自分勝手に生きている。そんな人間が普通とはずれた感覚を持ち合わせているのは当たり前と言えば当たり前であると言える事だろう。

 「というか、ソラト、学園かよう必要ないのに……」

 「リアちゃんもないじゃんか」

 「私、資格欲しいもん」

 「俺、リアちゃんと一緒がいいから」

 ソラトはリアが居るところはどこでも行きたいとでもいうような思いを抱えているらしい。リアはそんな言葉に呆れたような視線をソラトに向けている。

 課題への向き合いながら、二人は会話を交わす。

 「そう」

 「うん。それより今日はお疲れだったね、リアちゃん」

 「ん、疲れた」

 「リアちゃんを疲れさせるティアルク・ルミアネスとか闇討ちして再起不能にしてやりたい」

 「……物騒な事言わないで。そんな事したらゲンさんとルノさんに怒られるよ」

 軽い調子で言い放たれた言葉に、益々リアの表情に呆れが浮かぶ。

 (本当ソラトは、私が止めないと私を不愉快にさせた人皆闇討ちとかしそうだからなぁ……。何でこうなったんだっけ。最初にであった頃はこうではなかったはずなんだけど)

 そんなことを思いながらリアは遠い目になる。

 リアがソラトとはじめて会ったのは、ギルドマスターの所に養子になってからだ。八歳の頃にギルドマスターの養子になり、そのときからの付き合いだ。

 思えば、リアが全く人と交流を持とうとしなかったことにギルドマスターも少なからず心配していたのだろう。だからこそ、同じ年であったソラトと引き合わせた。

 そのときからの、7年の付き合い。

 だからこそ、コミュ障で、人と会話をする事が本当に苦手で、対人恐怖症のリアがこれだけ会話を交わす事が出来るのだ。

 「えー、まぁ、リアちゃんがそういうなら我慢するよ」

 「私が言わなくても我慢して。別に私は主人公君はどうでもいいから」

 「どうでもいいとかいってリアちゃんちょくちょく観察してるじゃんか」

 不機嫌そうにソラトがいう。リアが面白がってティアルクの事を観察しているのが気に食わないらしい。

 「見ている分には面白い。あともう一人面白そうなの見つけた」

 「え。もう一人?」

 「ん。観察する予定」

 「えー、なんかそれ嫌だ」

 「ソラトが嫌でも関係ないし」

 こんな会話を交わしながらも二人は課題をちゃっかり進めていたりする。

 何だかんだで二人共要領が良いのだ。話しながらでも、手を動かす事が出来る。

 どのくらい手を抜くべきか悩んではいるが、この位の感覚でいいだろうと目星をつけてさっさと済ませている。

 「ソラト」

 「なに、リアちゃん」

 「課題さっさと終わらせたら、魔物狩りに行こう」

 学生が普通魔物狩りをするなら相当の準備をしてからいかなければならないものなのだが、リアは軽い調子でそういった。

 「いいね、それ」

 だけどソラトはそれを当たり前のように受け止めて、笑った。その様子から彼らにとって魔物狩りが日常的に行われている事がわかるだろう。

 リアはもっと強くなりたいと戦いの中へと身を潜め、ソラトはそんなリアに置いてかれるのが嫌だとそれについていく。そんな日々を、出会った時からずっと過ごしている。

 「ん、じゃあすぐ課題終わらせよう」

 それからリアとソラトは少し時間をかけて課題を終わらせると魔物狩りへと向かうのであった。





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