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臆病少女は世界を暗躍す。  作者: 池中織奈


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二学期の終わり

 リア・アルナスは、その日少しだけご機嫌であった。

 なぜかといえば、

 (明日から冬休み。ルーンの所に会いに行くとして……。あとは色々レベル上げ。でも冬休み嬉しい)

 冬休みに明日から入るからである。

 冬休みに入る事を素直に喜ぶリアは、珍しく年相応である。

 リアは、最近友人である《ホワイトドラゴン》のルーンに会いに行っていなかった。そもそも学園に入学してから授業などがあってあまり会いに行けていなかった。さぼって会いに行くという手もあるが、リアとしてみればそういうことはしたくなかった。少なからず授業で学べることもあるし、さぼるほど不真面目ではリアはなかった。

 ちなみに先日行われたテストでは、以前と同じように平均点をいかにして取るかといった事にリアもソラトも力を注いでいた。

 終業式。

 今日はそれが行われる日だ。

 リアのクラスでは、楽しそうに冬休みの予定を話すクラスメイト達の声が響いている。

 特にティアルク・ルミアネス達一味の声がよく響いている。

 「ティアルク、冬休みはどうするの。その、予定が合うなら私と……」

 「ティアルクさん、私の実家にきませんか」

 「ティアルク、私とも遊ぼうぜー」

 「ティアルク、俺も遊びたいぞ」

 と、ミレイ、レクリア、エマリス、アキラがそれぞれティアルクに声をかけている。

 リアは特にレクリアの台詞を聞いてうわと思った。

 (実家って、いや確かに……確かに、ミントスアがハーレム主人公に対してエルフの女王様の親類だって知られてしまったわけだけど、だからって実家に誘うのか……。えーと思ってしまう。というか、ハーレム主人公一味って、隠し事多すぎだよね。互いに。アーガンクルはあんまりそういう隠し事なさそうだけど、後がなぁ。ミントスアも、エルフの女王様の親戚だってこと、ハーレム主人公にしかいっていないし。そのあたりはどうするんだろう。ハーレム主人公はそれにしてももてもてだよね。最終的にどうするんだろう。《超越者》だとハーレムとかできそうだし、許されそうだけど。んー、でも前世の感覚があるとあんまりハーレムはなぁと思っちゃうんだよね)

 と、リアはそんなことを考えている。

 現代日本は一夫一妻である。少なくとも一夫多妻なんてしていたら非難されるような社会である。現在、リアが生きているこの世界ではハーレムや逆ハーレムは結構存在しているが、それでもリアのルーツは前世にあるわけで、本人的には自分なら嫌だなと思っているわけである。まぁ、そもそもリア自身自分が恋愛をするつもりなどは欠片もないわけだが、それでも想像してみるともし自分ならハーレムは嫌だなと思うわけである。

 ハーレム主人公はどんどん恋愛フラグを立てまくっている。将来的にどうするつもりなのだろうかと話を聞きながら思うリアである。

 (というか、こういうのって結局一人だけは選べないとかいってハーレムになるか、一人だけを選んで残りが恋愛戦争に負けるか…ハーレム主人公は気づかないしな。そういう気持ち。この場合は秘密を共有しているミントスアが優位なのか?)

 リア、そんなことを考えながら本を読んでいる。視線をハーレム主人公に向けることもせず言葉を聞いてただ考えている。

 「わ、私だって家に来てほしいのに。レクリアだけ誘わないでよ」

 「そうだぞ! それに私だってレクリアの実家に行きたいのに」

 「そうそう、俺達をのけものにしないでくれよ」

 レクリアの言葉を聞いた三人が騒ぎ出す。レクリアは、三人に対して自分の実家の事を言っていないので困った表情を浮かべている。そしてちらちらとティアルクの方に視線を向ける。

 ティアルクはその表情を読み取って、安心させるような笑みを浮かべる。そして言葉をかける。

 「レクリア、大丈夫だよ。皆何を知ってもレクリアの事をきっと受け入れてくれるから」

 どこからそんな自信が来るのかさっぱり分からないが、そんなことをティアルク・ルミアネスは言う。

 「そうですね……あの、皆さん驚かれるかもしれませんが、どうか私の実家に来てほしいのです」

 そのレクリアの言葉に三人は何かあると感じながらも笑顔で頷くのであった。

 リアはそんな言葉を聞いている。

 (……一年にも満たない付き合いでよくそれだけ信用できるなぁ。私には絶対無理。コミュ力が全然違う。ああなりたいとは思わないけれど、コミュ力がある人見るとなんか、うーん……何とも言えない気持ちになる)

 リアはそんな風に考えている。

 (というかさ、ミントスアは秘密ばらしているのに、ハーレム主人公は自分の秘密を話していないって不公平だよねって思うの私だけ? そんなに信頼しているのならハーレム主人公一味にだけでもばらせばいいのにと思っちゃうなぁ)

 と、そう思うのがリアの正直な感想であった。

 (……というか、冬休みにエルフの女王様に呼ばれなきゃいいなぁ)

 そしてリアはそんな願望も抱くのであった。

 

 

 

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