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一話 え!?いきなり!?

「こぉんのすっとこどっこいがぁああああああああああああああああああああああああああああっ!!」


拳を強く握り締め大きく振りかぶり正面にある硬く太く絡みついた木の根にまるで力任せに八つ当たりをするかの如く殴りつけ大樹の木の根はドォゴオオオオオンッ!と破壊音を上げ粉砕し見事ぽっかりと大樹の根に穴を造り上げた。


「畜生っ、絶対あいつが俺の体を変えやがったなくっそ、くそくそくっそたれぇええええええええ!!」


その穴から女体化した事に大変腹を立て怒りの叫びを上げながら弾丸の如く跳び出したのが女体化した元男、夜桜 幻。

跳んだ先を阻む樹海と大樹の木々達を越え樹海を見渡す程の位置にまで高く跳んだ。その脚力は驚愕に値するがこの異世界でも重力があり徐々に勢いが落ち空中に止まるすべを持たない者は当然落下する。

だが幻は空中で体をギュルギュルッと縦に高速回転し重力を逆らわないまま落下、回転の勢いは上がり風を巻き起こしそのまま湖やその近くの木々達をも巻き込み回転式かかと落としを地に、水に、勢いよくぶつける。


「くそったれぇっ!!」


強靭な大樹の根をも粉砕するその膂力を持つ幻が怒りに任せたとはいえ衝撃波を放つ脚足をぶつけた結果――辺り一帯の樹海は隕石でも落ちたのかの様な衝撃波と爆砕轟音を壮大に放ち響かせ強大なクレーター状の窪みを造り上げた。




(やっべ、つい怒りのあまりやっちまった)


先ほどの一撃でやっと冷静になれた幻はクレーター状の窪みで胡座をかいて座っていた。


(つか冷静になってみればガチで幾らなんでもやり過ぎだよなこれ。いや確かに女っぽい自分が嫌でコンプレックスだったのに女体化しちまったら今まで溜めるに溜めた怒りが有頂天なって八つ当たりしたくなるのも分かるだろうが折角の自然の芸術が台無しだよ俺のクソボケ……しっかし。)


幻は顔を上げ周りを見る。見えるのはクレータ状の窪みにした広い大地と砕けた大地や木々やこぼれ落ちる水、まさに壮絶な破壊の爪跡は見るものが見れば恐怖や畏怖を思い浮かばせるだろう。


(俺ってこんなに力あったけ?何か前より力がバリバリ上がってるし。あれか?女体化したおかげで真の実力が出せるとかのあれか?力を思う存分出せて俺の想像以上に上がってるのは超嬉しいけど女体化はないだろ、しかも前の中世的な顔がより女に近付いて俺をも認める美少女とか男装してももうあまり男だって信じてもらえそうにないだろうなぁ~~やっべ滅茶苦茶悲しくなってきた)


外面には出さないが心の中で膨大な涙を流す幻。事実今の容姿は何時もなら力を出す時以外出る筈のない黒曜石のような二十センチ位の角が額から常に生え、男の時より髪は滑らかで(つや)があり綺麗で腰辺りまで長くなっていたり、胸が貧しい女性から恨みを買いそうな少女とは思えない巨乳、女性の理想的な(へそ)から臀部(でんぶ)にかけての肉付き、まるで何者かの欲望が詰め込まれた美少女だ。


(大方絶対()だろうな。よし目的が三つできた、第一目的が俺をこんな体にした奴をぶん殴る事に決定、つか異論は認めん絶対。第二が男に戻ることっていうかこれも絶対だろうな。もう一つが…)


幻は神妙な面持ちで顔を見上げ遥か空の彼方を見る。雲が何一つもない広大で晴天の空をしばらくじっとして見上げ、疲れたのか見上げたまま背中を地につける。

地の風景とはまた違う跳んだ時の空中に居た風景を幻は思い出す。日本の樹海とは比べ物にならない永遠に続くかと思える樹海、飛行機よりも強大な鳥の様な生物、遥か先に見えた強大なマーブル色の滝、どれも元居た世界には無いモノに今もまだ少しばかり疑がってるが、此処は異世界だと思われるのだが、あと何か一押しで異世界だと信じ認めるよう、もし異世界なら。 


「…この楽しそうな愉しそうな世界を見て回りますかね」


その顔は嬉々とまるで新しい玩具を見つけたかの子供の様な笑顔でいた。


(まあ次に奴にあったら殴るついでにまだ確証は無いが異世界に連れて来た事は礼でも言おうかな、まあこの体を女体化したのは絶対に許さんが…ん?)


地が微かにだが揺れた気がし幻は体を起こして片手を地面につけ振動を感知する為の姿勢をとる。

するとやはり微かにだが振動を感じる、その振動も徐々に大きくなり揺れが強くなっている事から地震かと思うが何か違うと幻は感じすぐその場を蹴り跳ぶ様に離れる、瞬間。


「――ゴォルガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


幻のさっきまで居た位置の地面をぶち破り地響きをあげ自分の体をも超える巨大な顔(・・・・)が爆音とも呼べる獰猛な叫びを上げ現れる。


「……疑ってごめんなさい、これ百パーセント異世界だわこりゃ」


ぶち破られた地面が落石と化して降り注ぐ土石を幻は砕きながら額や背中に冷や汗を流す、だがその顔は恐ろしい巨大な顔にも劣らないまるで長年探していた獲物を見つけたかの獰猛な野獣の様な笑みを顔に浮かべてる。


(今思えば俺って結構フラグ建築していたな。いざ自分が体験するとフラグは馬鹿にするもんじゃねーつか二話目でいきなりラスボス戦の様な展開ってどうなのよ)


軽くメタな発言を言う余裕は何処から来るのだろうか。

誤字やアドバイスがありましたら遠慮なくコメントに書いてください。

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