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鬼畜人間、エルフのために死ぬ(完結)

作者: 延光寺ろろ
掲載日:2026/11/02

「どうして死んでしまったんですか」

「鬼畜さん……」


とん。


エルフは手を土に置いた。

こんもりとした、小さな墓。


「わたしたち、死なないんですよ」

「妖精さんは、死なないんです」


「そんなこと、知っていたはずなのに」


「鬼畜さん、あんなに窓辺で」

「色んな設定集」

「何度も読んでたくせに」


風が吹く。

涙が落ちる。


影に咲く、リンドウの青い花に、しずくが伝った。


(わたしたち、人間の)

(行ける世界には、いけないの)


ふらりと立つ。

長い髪が、そよいだ。


「……どうしても、ダメならば」

「このままあちらに、行ってしまおう」

「この洞穴の、地の果てへ」


「あなたのいない、この世界では」

「わたしの生きる、意味はない」


ぎいいい。


どん。


開いた。


「おいっ、閉めるな」


「限定盤ジャケット、見つからないじゃないか」


「ほこらの奥に、それはあるのか?エルフはそこに、埋めがちなのか?」


「湿気対策はしてあるんだろうな」


振り向いた。


気配がする。


あの人だ。


ーー鬼畜の、優しく、変な人間。


「……どうした。驚いた顔をして」


「発光してるぞ。蛍じゃないか」


「光ディスクだ」


「オレが死ぬ?なんで」


「死ぬわけがない。このオレが」


「さあ、出てこい。エリリン」


「掴まれ」


赤い実のなる、ヤマボウシ。


「……帰るぞ」


「フィギュアみたいな顔して、もったいない」


離れない、手。


「はいっ。わかりましたよ。わたしの鬼畜のーー」


「人間さん」


天の岩戸は閉まり、

木々のざわめきは、遠く、空までとどいていった。



【おしまい】

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