不人気
「――――という訳でヌルハートが後ろ盾になってくれましたとさ。ちゃんちゃん」
「「ちゃんちゃん」で終わらせて良い話なのそれ」
「仕方ないだろ〜話弾んじゃったんだから」
久々の悪友との再会で俺も調子に乗っていたのかもな。
いつの間にか大規模な会社を作るハメになった。
単なるポーション屋の話から通称ヌルハート帝国の後ろ盾を持ったスーパー企業に様変わりしてしまったな。
「俺は現場の統括的なポジションで皆と一緒に会社作り頑張る事になった。その仲間となる部長が欲しいんだが……」
「部長……誰か良さそうなプレイヤー居るかな?」
「……思ったんだが、バンダナって職業は建築士だろ? 工房や倉庫、会社とかの設備を設計する部長になってくれたら嬉しいんだけど」
「私が……部長?!」
「無理にとは言わないが……給料はいっぱい出ると思う」
「私に出来るかな……でもやる!」
請け負ってくれて助かるぜ。
やっぱり、信頼出来る奴に部長を任せたいからな。
バンダナは『コールド街』まで一緒に着いてきてくれた仲だし、是非とも重要な事を任せたいと思ってたんだ。
「役職は生産開発部長って所かな」
「おぉ……格好良い!」
設備や店舗の設計は会社の器を作るようなものだからな。
建築士であるバンダナなら得意分野だろ。
「そうだ、スカーフはどうするの?」
「スカーフは採集者だからな〜資源調達部長とか?」
「良いね〜!」
そういや、まだスカーフに会社作りの事話して無いな。
この事知ったらどんな反応するか見物だな……!
「そうだ、フレンドなってたはずだから……個人チャットで知らせとくか」
俺はウキウキでスカーフの個人チャットを開く。
赤月
「一旦北での話し合いは終わったぜ」
スカーフ
「そっちは大丈夫か?」
「厄介事に巻き込まれて無いか?」
赤月
「ヌルハートとポーション会社経営する事になった」
スカーフ
「?????」
赤月
「スカーフは採集者だろ?」
「資源調達部長になってくれたら有難いんだが……」
スカーフ
「待って」
「何がどうしてそうなった?!」
赤月
「凄い話弾んじゃってさ……」
スカーフ
「……要するに、凄い話弾んじゃった結果、北のお偉いさんが全面協力してくれたって事か?」
赤月
「そうなる」
スカーフ
「どうなってんだお前の人脈は……」
「ちなみに、資源調達部長にはなったって良い」
赤月
「それなら助かる」
「それと『緩々隠里』でポーション作りまくる場所にして、本社の『コールド街』に送るつもりだから。後、他の場所にも支社置きたいな……」
スカーフ
「その様子じゃ、新大陸中に事業展開する気だな?」
赤月
「勿論」
「他のプレイヤーから金を毟り取るつもりだ」
スカーフ
「ここまで来たら最後まで付き合うよ」
スカーフに現状報告を済ませた所で、後は『コールド街』の事業展開だな。
細かい事務処理は全部ヌルハートに押し付けたから、俺がするべきなのは――――
「お前達が例の客人だな」
ふと声を掛けられた先を見やれば、そこには雪だるまの格好をしたプレイヤーが、2人のプレイヤーを率いてやって来た。
彼は気さくな態度を取っているが、その一瞬感じ取った気配が、強者のものと似ている気がした。
「まず自己紹介か。俺の名前は“雪だるま”だ。総督に言われて、ニート共を連れてきた」
「ちょっ、ニートって酷くない? 否定出来ないけど」
プレイヤー“フォビア”。
灰色の髪に片目が隠れているのが特徴の男性プレイヤーであり、フードのようなものを被っている。
「本当にあの赤月さんなんですね……実物で見るのは……初めてです……!」
「……顔近くないか?」
プレイヤー“ポンコツ狸”。
その名前の通り、狸のような耳と尻尾が生えている女性プレイヤーであり、パジャマのような服装――――
だから近ぇって!
「あっすみません……つい」
「ここの人達って堅苦しいのばかり想像してたけど、意外と愉快なプレイヤー多いんだね!」
そうだな、これを見てると警戒が全て吹っ飛ぶ。
案外仲良くなれそうな気がしてる。
「辞めてくれよバンダナ。こいつらと一緒にしないでくれ」
「名前も身体も雪だるまが何言ってるんだ?」
「全身愉快な人もそう居ないですよ……」
「お前らな……一応上司的なポジションなんだぞ?」
今の所、その上司の威厳とやらは全く感じられないな。
実力者なのは分かるが、愛されるタイプの上司なのか?
「何だか赤月みたいだね」
「え、俺あれに見られてたの?」
「赤月、お前今あれって言ったか?」
流石に俺はあんな愉快系じゃ無いだろ。
清く正しい一般プレイヤーだぜ?
「確かにあれと赤月さんを比べるのは烏滸がましいと言うか」
「ふざけるなよフォビア。お前他の執政官が相手だったら普通に星下げられてるからな?」
雪だるま……お前執政官だったのか。
雪華のような威厳全く無いが大丈夫なのか?
感覚的には爆弾愛好家ポジションに感じる。
「それで……調薬師は2人だけなの?」
「いや、ポンコツ狸だけだ。フォビアが商人で……後2人採集者が来る予定だったが、忙しいらしいから後日顔合わせしてくれ」
「……あ〜調薬師の代表者的なあれか?」
「……いや、調薬師に限ってはポンコツ狸だけだ」
ヌルハートの口ぶり的にもう少し居るかと思ったが、現状1人しか居ないんかい。
本当に不人気なんだな調薬師……。
「でもでも、もし特殊ポーションが広まれば……きっと調薬師になる人も出てきますよ……!」
きっと、基礎班やら上位班やらの話は調薬師になるプレイヤーが増えた後の話なんだな。
俺達の活動を通して、調薬師を増やす試みだろう。
「それで、ポンコツ狸の調薬師の熟練度どれくらいなの?」
「あっ、1です……」
「……は?」
それってお前……【脆弱化】すら習得してないのかよ。
今まで何してたんだ?
「その……調薬師になったは良いものの、周りから「それって市販で良くね?」って言われて……」
要するに、周りの評価に押し潰された結果やる気無くして放置してた訳だ。
ヌルハートが言うには転職すら考えてたみたいだし、ここで俺が来なかったら、北の調薬師は全滅してたんだろうな。
「調薬師の需要が消し飛んでる所に赤月さんが来てくれたお陰で、ポーション産業も復活しそうだしね」
「フォビアは商人だから、売り込み担当か?」
「そういう事。イメージ回復するの苦労するだろうけど、出来る限り頑張ってみるよ」
現状ポーションは甘く見られているが、それは体力や魔力を回復する事しか出来ないと思われているからだ。
もし特殊ポーションの普及で、バフやデバフのポーションが認知されれば、きっと売れ行きが良くなるだろう。
フォビアには是非とも頑張って欲しい所だな。
「そういやバンダナ、本社の建造はどうだ?」
「もう出来上がってるよ」
「そうか、もう出来上がって――――早っ?!」
ヌルハートとの話が長くなったのもあるが、それにしたって建物作るスピード早くないか?
もう少し時間かかるものだと思っていたが……。
「私に着いてきて! きっと驚くよ〜!」
「そいつは楽しみだな」
俺達は鼻高くしているバンダナの後を付いていった。
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名前 『赤月の夜』赤月
階級 ランク33
所持金 35800HG(1700BP)
武器 魂縫双銃【魂吸収弾】
武器 魂縫双銃【魂吸収弾】
防具 縫魂礼装【魂枯渇転化】(紅砂のガンマン)
装飾 腐王鴉の眼核【死肉の王眼】
装飾 毒蜜女王の毒腺輪【紫蜜ノ血】
装飾 嵐角雷環【嵐角誘雷】
ステータス
体力 290
魔力 185
攻撃力 100
防御力 30
素早さ 50
毒効力 1毎3(+1)
吸収効力 1毎2
麻痺効力 10%
自動魔力回復 1秒毎4(+1)
状態異常命中 +140%
状態異常耐性 +30%
職業
遺物調薬師 熟練度3
【遺物調薬図鑑】【脆弱化】【遺物調薬観察眼】
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