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第二声、花粉の匂いと共に

3月になったら花粉の状態異常にかかるの何なんですかねぇ……。

もし地球の運営が居るなら是非ナーフして欲しい()

「我が親愛なる友よ。調子はどうかね?」


「あぁ絶好調だよ。この店じゃ無ければな」


 温かな春風と共に花粉が鼻孔をくすぐる。

 ここは『花園喫茶店』と呼ばれる場所であり、文字通り派手に飾り付けされた花が印象的な喫茶店だ。

 地元じゃ知る人ぞ知る名店らしく、客の往来が少ないながらもコアなファンが度々来るのだとか。


 俺は普段こういう場所には来ない。

 何故かと聞かれれば――――


「……もう一度聞くが、他の店じゃ駄目なのか?」


 俺はティッシュを手に取ろうとするも、ここで鼻をかんでしまえば他の人の迷惑となる音を響かせるだろう。

 つまり、花粉症の俺には地獄みたいな場所だ。


「私の行き付けの店なんだ。静かな空間、花の香り、この雰囲気が好きでね」


「そうなのか。前にも聞いたなその台詞」


 静かな空間も、花の香りも、俺は感じ取る事が出来ない。

 だって目がかゆくて見えないし、鼻水の洪水で香りが通らないからな。


「前置きはここまでにして……蓮、君には一つ情報を提供しようと思う」


「何だ。お前がカフェイン中毒者な事か」


「それは情報に足り得ない。君は既に私が珈琲党な事を知っているじゃないか」


 違ったか……。

 いや正確には違わないのだろうが、話したい内容はそれではなかったらしい。


「その情報を話す前に……君は()を見かけたか?」


「雪? 冬になると見えるあれか」


「……現実の話じゃない。Relics Onlineの話だよ」


「見かけなかったな。周りには()しか無かったぞ」


 そもそも、最初の街の名前は『サンド街』だったはずだ。

 名前の通り砂だらけで、西部劇のような世界観だった。

 砂風に吹かれてタンブルウィードがコロコロと転がる様は、カウボーイ映画で良く見る光景じゃないか。


「蓮、君が訪れた最初の街の名前は『スノー街』だったか」


「……違うな」


 ――――祐介の言いたい事が分かった気がする。


「もしや俺と祐介、初期スポーンの街違う?」


「私はそう思っているよ」


 俺は全てのプレイヤーが『サンド街』に集まるものだと思い込んでいた。

 この前祐介が言っていた「悪質プレイヤー」とやらも、きっとその街に居るのだろうと思っていた。


 だが事態はそう簡単な話では無い。


「この調子だと、当分は発見する事すら叶わないな」


 俺はてっきり、あのBANってプレイヤーかと……。

 この様子じゃ違う可能性もあるのか。


「だがいつかは露呈する。いや、露呈させなくてはならない。私に辛酸を味あわせた奴を蜂の巣にしなければ、私の怒りが収まらない……!」


「おぉ怖っ」


 ここまでキレてる姿見るの初めて見る。

 普段はゲス顔浮かべながら舌舐めずりするのに。


「初期の街が違うなら、ゲーム内で出会うのにも相当時間が掛かりそうだな」


「もし君が『スノー街』に訪れるなら歓迎するよ。私の()()を連れてね」


「だから怖いって」


 何故か知らんが凄い統率取った動きしそう、その部下。

 何なら数日後には『スノー街』支配してそう。

 そんでクーデターか革命起こって失脚したら面白いのに。


「蓮の方も怪しいプレイヤーが居たら報告をお願いするよ。それじゃ、私はこれで――――」


「あ、ちょっと待った。()()だよな?」


「………………………………奢りだ」


「だから何だその間は」


 その後、ちゃんと奢って貰った。

 声色は凄く嫌そうだった。


人の奢りで飲むお茶は旨い

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