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状態異常使い、敵を溶かす。~状態異常ビルドのVRMMO~  作者: MEはCat
【第四章】新しき風、蒼白なる魂を運びて

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刺激を求めて

 俺は『ケタケタ汽水域』のフィールドを駆け抜けていた。

 ゆっくり景色を楽しんで、歩いて向かうというのも一種の楽しみではある。


「はっは!」


 だがそれ以上に、この不安定な足場での()()()()()()が楽しくなっていた。

 木々の下には濁った湖があり、道中を通るには湖の底から這い出ている木の根っこしか無い。

 勿論、普通なら落ちないように、慎重に飛び移るのが最適解なのだろう。


 ――――スリルが足りないな。


 残念ながら、俺は刺激を追い求める男だ。

 そんなつまらない道中だと、退屈してしまう。


 そこで俺は考えた、どうせなら走っていこう。


 一寸でも足を踏み外せば湖に落ちてしまうこのスリルを、俺は心の底から楽しんでいた。


 カラカラカラカラ


 ふと人魂に頭蓋骨を被ったようなモンスターが出現した。

 陽気に駆け抜ける俺を撃ち落とす気だろう。


 バキュン!


 俺は宙に飛び出した瞬間、『魂縫双銃』の引き金を引く。

 蒼白なる弾は頭蓋骨ごと貫通する。


[嘲りの亡霊を倒しました]

[200HGを入手しました]


 撃ち落とされたのはお前の方だがな。

 たった1体で迎え撃つとは良い度胸してるぜ。


 カラカラカラカラカラ

 カラカラカラカラカラ

 カラカラカラカラカラ


 『ケタケタ汽水域』を駆け抜けていくと、更に3体の嘲りの亡霊が出現した。

 そして、その奥に更に巨大な頭蓋骨の人魂が浮かぶ。


 ガタガタガタガタガタガタ


「今度は仲間まで連れてきたのか、面白い!」


 バキュン!

 バキュン!

 バキュン!


[嘲りの亡霊×3を倒しました]

[600HGを入手しました]


 俺は1発、そしてもう2発の蒼白なる弾を撃ち込んだ。

 嘲りの亡霊は最初の奴と同じく頭蓋骨が砕かれ、二の舞を演じる。


 ガタガタガタガタガタガタ


 次の瞬間、巨大な巨大な頭蓋骨の人魂が、飛び移る間際に突撃をかましてくる。


「隙を狙うたぁやるじゃねぇか! だが――――」


 バキュン! バキュン!

 バキュン! バキュン!

 バキュン! バキュン!


 噛み付かれている最中、俺はゼロ距離で弾を連射する。

 この『魂縫双銃』は前に使っていた『災極双転銃』より連射が効かなくなっている。


 だがその分、1発1発が以前の倍近くの威力を誇る。


 ガタガタガタガタ……。


[微笑みの亡霊を倒しました]

[500HGを入手しました]


「あ〜楽しかった」


 やはりゲームには()()という名のスパイスが必要だ。

 刺激の無いゲームなんざ、退屈で仕方ない。

 例えるなら、何の辛味の無いお子様カレーを延々と食べていれば、いつかは()()が来るようなもの。


 単調な作業はつまらない。

 だから、人は刺激を求めてゲームをするんだろ。


「……あそこか?」


 『ケタケタ汽水域』を進んでいくと、丈夫な木の板で構成された港が見える。

 遠目で見ても、人気が全く無い場所のように感じ取れる。


 ――――どうやら、ここがゴールのようだな。


 『ゴースト港』


 湿った風が、どこからともなく吹き抜ける。

 だがその風は、生ぬるいはずの汽水域のものとは違う。

 まるで墓地の奥底から吹き上がってきたような、冷たく乾いた気配を帯びていた。


 ギィ……ギィ……。


 朽ちかけた木製の桟橋が、波も無いのに軋んでいる。

 どうやら『ゴースト港』というのは名前だけでは無かったらしい。


 港に並ぶ船は、どれも異様だった。

 帆は破れ、柱は傾き、今にも崩れ落ちそうな外見をしているが、不思議なことに完全に朽ち果ててはいない。

 まるで壊れる瞬間で時間が止まっているかのようで、その姿を保っている。


 まるで沈没船――――

 いや、幽霊船のような風貌だ。


「本当に誰も居ないのか?」


 住民はともかく、あの4人組はどこに消えたんだ?

 まさか、神隠しに遭ったなんて言わねぇよな?


 カラン。


 どこからか、金属の落ちるような音が響く。

 振り向くが――――

 誰もいない。


 カラカラカラ……。


 背後で、聞き覚えのある音が鳴る。


「恨めし――――待て待て待て待て!」


 瞬時に魂縫双銃の引き金に指をかけるが、寸前で止まる。

 そのモンスターは何とも流暢に対話して、抑制しようとしている。


 ――――いや、モンスターじゃなくて、NPCか?


「あ〜あ、だから言ったのに」


 ふと、声が聞こえる。

 その者の身体は隠れきれていない。

 何せ筋骨隆々の天使魔法少女の姿をしたオカマなんて、目立つに決まっているからだ。


「エンジェル、また会ったな」


「随分早い再会ね」


「んで……こいつ何だ?」


 そのNPCの頭上には“船長 フック”と浮かんでいる。

 確か『ピクシー村』で出会った”妖精の長 ティターニア”と同じカテゴリーの重要NPCか?


「いはやは済まないな、ここの()()みたいな物だ。自己紹介が遅れた、ここの船長をしているフックって言う者だ」


 フックの身体は明らかに黒く半透明な姿をしており、骸骨を装飾品のように身に着けている。

 その恐竜のような頭蓋骨が、フックの顔だと錯覚してしまいそうだ。


「赤月、お前もそこのエンジェルと同じく「遺物ハンター」って奴らだろ? なら、俺の()()()に付き合わないか?」


「金儲け?」


「どうやら、その船長ちゃんの船に乗ると()()()へと行けるみたいなの」


「……マジで?!」


 新大陸なんて物もあるのか……!

 夢が広がるな!


「やっぱり、食い付くと思ってた。そう、この海の先――――正確には、ここから北西辺りに広い大陸があるんだ。きっと、そこでは価値の高い遺物だって取れるに違いない」


 わざわざ、ここの大陸と分けているんだ。

 もしかすれば、ここより格段に強い遺物が大量に取れるかもしれないな。


「それなら、早速その船で――――」


「――――と、行きたいんだが」


「え?」


「……まぁ話を持ち掛けて申し訳無いが、俺達にも準備ってものがある。それまで待ってくれないか?」


「……ちなみに、その時間は?」


[新大陸の実装をお待ち下さい]


「……………………」


 つまり……実装待ち?


 俺はエンジェルの方へ見やる。

 すると、エンジェルの方も申し訳無いような、ぎこちない反応を取る。


「そりゃねぇだろ運営さんよぉぉぉぉぉ!!!」



運営

「大人しくアプデ待って下さい」


補足しておくと、出発地点から北西辺りですので、新大陸に上陸した場合は東地点からとなります。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆


名前 『赤月の夜』赤月

階級 ランク30

所持金 53500HG(1700BP)

武器 魂縫双銃【魂吸収弾】

武器 魂縫双銃【魂吸収弾】

防具 縫魂礼装【魂枯渇転化】(紅砂のガンマン)

装飾 腐王鴉の眼核【死肉の王眼】

装飾 毒蜜女王の毒腺輪【紫蜜ノ血】

装飾 喰種魂【飢餓脂肪】


ステータス

体力 240+235

魔力 235

攻撃力 100

防御力 30

素早さ 50

毒効力 1毎3(+1)

吸収効力 1毎2

自動魔力回復 1秒毎4(+1)

自動魔力消費 1秒毎5

状態異常命中 +100%

状態異常耐性 +30%


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

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