第一声、花の香りと共に
|ω・`)ノ ヤァ
MeはCatです。
基本的に神出鬼没で不定期投稿ですが、是非ご覧ください。
「頼む、我が親愛なる友よ。君の助けが必要なんだ」
「呼び出しておいての第一声がそれで良いのか、お前」
温かな春風と共に花粉が鼻孔をくすぐる。
ここは『花園喫茶店』と呼ばれる場所であり、文字通り派手に飾り付けされた花が印象的な喫茶店だ。
地元じゃ知る人ぞ知る名店らしく、客の往来が少ないながらもコアなファンが度々来るのだとか。
俺は普段こういう場所には来ない。
何故かと聞かれれば――――
「……話は聞くが、他の店じゃ駄目なのか?」
俺はティッシュを手に取ろうとするも、ここで鼻をかんでしまえば他の人の迷惑となる音を響かせるだろう。
つまり、花粉症の俺には地獄みたいな場所だ。
「私の行き付けの店なんだ。静かな空間、花の香り、この雰囲気が好きでね」
「そうなのか。俺には分らんな」
静かな空間も、花の香りも、俺は感じ取る事が出来ない。
だって目がかゆくて見えないし、鼻水の洪水で香りが通らないからな。
「それは残念だ」
そんな俺を横目に珈琲を啜るこの男は”魔羅 祐介”。
こいつの脳内には「普通にゲームを楽しむ」なんて言葉は無く、いつも何か企んでいる。
良く言えば悪戯小僧、悪く言えば邪智暴虐なる悪鬼。
そして、俺――――”赤羽 蓮”はその悪友ポジションという訳だ。
「では本題に入るとしよう。君は”Relics Online”を知っているかな」
「聞いた事はある」
Relics Online――――それは数日後に発売予定のVRMMO。
既にベータ版の時点で話題になっていた名作。
リリース直前となった今でもその評価を落としていない。
「単刀直入に言おう。君もこのゲームに参戦して欲しい」
「いいぞ」
「当然ただでとは――――今何と?」
「だから「いいぞ」って、丁度やってるゲーム一段落したしな」
むしろ、その提案は有り難い。
ゲーマーにとって退屈とは精神的な苦行に他ならない。
それを癒す刺激が欲しければ、心機一転して新たなゲームをやるのも良いだろう。
「なる程、タイミングが良かったという訳だ」
「……で、その助けって何だ? そこが一番重要な所だろ」
ただプレイを誘うだけなら「助け」などという言葉は使わないはずだ。
言い草的に、Relics Onlineに誘った上での頼み事のはず。
「最近、調子に乗ってる悪質プレイヤーが居る」
「お前以上にか?」
「私以上にだ」
それは恐ろしいプレイヤーなんだろうな。
きっと祐介の前で地雷原タップダンスを踊り、派手にメガホン持って煽り倒したに違いない。
本当ならそいつに近付きたく無いんだが――――どうやらそういう訳にも行かなそうで。
「蓮にはそのプレイヤー以上に強くなって正面から叩き潰して欲しい」
「だと思った」
俺が実行役に選ばれてしまった。
そんな気はしてた。
「強くなるのには賛成、ただ叩き潰すのは俺の気分次第だ」
「それはそれで構わない。君をその気にさせれば良いだけだからな」
「……それ、本人の前で言うか?」
余程俺を巻き込みたい用だなこの腹黒狸。
報復の実行役も楽じゃないんだよ。
「そのプレイヤーの名前は?」
「……まだリリース前だぞ、名前は判明してない」
「それもそうか」
ゲームが始まって数日後には判明するだろう。
その時にどうするか考えれば良い。
「では、Relics Onlineの中でまた会おう」
「あ、ちょっと待った。奢りだよな?」
「………………………………奢りだ」
「何だその間は」
その後、ちゃんと奢って貰った。
声色は凄く嫌そうだった。
ここにはステータスを載せる予定です。
後、補足が入ったり入らなかったりします。




