タイトル未定2025/03/19 15:27
満天の星空の下で、私は自分の部屋の小さな窓から、外の世界を眺めていた。瞳から光が失われるように、家々の窓から漏れる光も一つ、また一つと消えていった。遠くから聞こえるせせらぎが、サイレンの音にかき消されていく。時計の針が深夜一時を告げた時、私は螺旋階段を降りて、庭に向かった。
一点鐘二点鐘 三好達治
静かだった
静かな夜だった
時折りにはかに風が吹いた
その風は そのまま遠くへ吹きすぎた
一二瞬の後 いつそう静かになつた
さうして夜が更けた
そんな小さな旋じ風も その後谿間を走らない…
一時が鳴った
二時が鳴った
一世紀半ばを生きた 顔の黄ばんだ老人の あの古い柱時計
はしら時計の夜半の歌
山の根の冬の旅籠の
噫あの一点鐘
一点鐘
その歌声が
松の耳に蘇生る
そのもの憂げな歌声が
私を呼ぶ
私を招く
庭の日影に莚を敷いて
妻は子供と遊んでゐる
風車のまはる風車小屋
ーーー玩具の粉屋の窓口から
砂の麵麭がこぼれ出る
麺麭粉の砂の一匙を
粉屋の屋根に落しこむ
くるくるまはれ風車…
くるくるまはれ風車…
卓上の百合の花心は
しつとり汗にぬれてゐる
私はそれをのぞきこむ
さうして私は 私の耳のそら耳に
過ぎ去った遠い季節の
静かな夜を聴いてゐる
聴いてゐる
噫あの一点鐘
二点鐘 三好達治詩集(新潮文庫)引用
五〇年前の四月十四日、中学校の入学式が始まった。緊張と不安で、風船を針で刺すように、頭が壊れそう……吹奏楽部がヴィヴァルディの春を演奏している。部活と勉強を両立できるのか?友達と楽しくお弁当を食べられるだろうか?おもしろい先生はいるだろうか?これから始まる生活のことを考えているうちに、演奏が終わっていた。
「日々」「人々」という多面体を、UFOキャッチャーでつかめなかった。くだらない日常、淡々とこなしていく、達成感ややりがいのない日々、遊びと少しばかりの勉強で埋もれる。
帰り道、学校から家まで走って帰る。二キロという長い道のりの途中に商店街がある。商店街は急な坂に沿って並んでいるので、いつもここは歩く。店頭に並ぶ商品のように、桜の並木がズラリと並べられている。この桜、ソメイヨシノは接ぎ木により、全国に植えられた。ソメイヨシノは自家不和合性という性質をもっている。わたしは、日本の桜を美しいと思わない。アートやマンガやアニメ、美術品や弁当箱などの日用品の絵柄、いたるところで桜をめにする。
その商店街で、頼まれていたおつかいを済ませ




