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序章(前)

この度は当方初投稿作『バッドボーイ&ロンリーウイッチ』を閲覧して頂きまして誠にありがとうございます。

この作品の作者の能村倅吉と申します。どうぞ宜しくお願いします。


初投稿作品です。冗長になりました。改稿してみたらもっと冗長になりました。


当作を読んで頂いた読者の皆様の心、精神、感情、センスといった部分の何らかの琴線に少しでも触れられれば幸甚と存じます。


ここから始まる拙い話ではありますが、それではどうぞお楽しみ下さいませ。

俺の人生ってのは、どうしてこう「かったりぃ」ことの連続なんだといつも思う。


この世界に生を受けて早17年。俺のこの人生の大半は、その「かったるい」ことで埋め尽くされてきた。


ロクに働きもしないプータローの分際で真っ昼間っから酒をかっ食らっては酔って理不尽に暴れ散らかし、近所の連中から影で宿六だのロクデナシだと呼ばれている恥ずべきクソ親父。


そんなクソ親父にお袋はほとほと愛想を尽かし、俺がガキの時分のある日に突然、もう我慢の限界だと言わんばかりに発狂して逃げるように家を出て行った。


そんな騒動もあってか、俺が住んでいる団地の近所では我が家の悪評はいつまでも絶えず、周囲から侮蔑と嘲笑を受けて育った俺は、気が付けば立派に荒んだ人生をこうして歩んでいる…思い出していけばキリがない何ともかったるい人生だ。


それもこれも、全てはあのクソ親父…酒癖と女癖の悪い、賭博狂いの実父の存在が原因の大部分を占めてるってんだからタチが悪い…血の繋がりと、俺のなけなしの理性がストッパーとして働いてなけりゃ、いっそ今頃ひと思いに殺している。


「あぁ、かったりぃな…」


繁華街の横道に少し入った奥詰まり。人通りの無い暗く饐えた臭いのする幅の狭い路地裏の廃ビルの壁に背中を(もた)れ掛からせながら、俺は今この瞬間に至ったまでの自分の人生に対して悪態をつくように怠惰に吐き捨てた。


事の発端はそれこそ俺の日常だった。俺が繁華街にある中華屋で晩飯を食い終え、そろそろ帰ろうかと中華屋からほど近いコインパーキングに停めた愛用のバイクを取りに戻ろうとしたところに、いきなり背後から喧嘩腰な胴間声をかけられたのが今日の運の尽きだった。


凄まじくかったるい予感がしながらもその下品な声に背後を振り返って見やれば、そこには上下お揃いの同じ赤いジャージに身を包んだ見るからにガラの悪い連中…俗に言うカラーギャングと呼ばれる輩が10人以上立っていた。


俺のかったるい直感がやっぱり的中したことにさらにかったるさを感じながらも、その連中の先陣に立っている五厘刈りの大男に用件を聞いた。


すると、大男は肩に担いだ木刀で肩を叩きながら、俺がこの辺りの不良(バカ)共の界隈で不名誉にも名が知れ渡っている『遊佐 アギト』本人だと知った上で声をかけたと、思わずぶん殴りたくなるニヤつき顔を浮かべながら答えた。


そして、大男は続けざまに俺を倒して漢としての箔を付けて名を上げるとかいう、俺からすれば心底バカバカしくなる理由でこうして喧嘩を吹っ掛けて来たらしい。


よくもまあ夜の繁華街の雑踏の中から俺のことを発見出来たもんだなと呆れたが、よく考えればこんな時間に学ランを着た180cm超えの男なんてこの辺じゃ俺以外にそうそういるはずもなく、連中は俺が中華屋から出た瞬間を目敏(めざと)く見つけ出して、こうしてちょっかいをかけたと言い放った。


俺としては、別に喧嘩自慢や素行不良の有名人だとかいう自覚は一切無いんだが、どうやら俺と周りの素行不良な連中との間のその辺りの認識は違っているらしく、度々こうやって腕試しに喧嘩を売ってくるバカ共に絡まれるのが俺の日常だ。


確かに喧嘩はする。そこは素直に認めるが…俺にだって喧嘩をする理由がある。


こんな風に毎回無理矢理押し売られた喧嘩(モノ)を突っ返す間もなく()()()()買わざるを得ないってだけの話であって、俺自身が望んで売ってくれと頼んだ覚えはない。


謂わば、これは自分の身に降りかかる火の粉を払うための防衛策の一環であって、こうして日々喧嘩を売り付けてくるバカ共の相手をしているだけだ。


反面、どうにも俺はガキの頃からちょっとしたことでイラつきやすい気質らしく、俺の方から進んで喧嘩を売るようなことはないが、相手の方から売ってくる分には日頃のイラつきの解消を兼ねて()()()()とことん買い占めさせてもらっている。


…恐らく、こういうところで互いの間で認識の差って奴が生まれているのだろう。17年の人生を振り返って見れば、俺は子供の頃からその繰り返しの渦中にいた。


喧嘩を売られてはその度に相手をシバいて倒し、その話が尾鰭の付いた噂になって周囲の不良(バカ)共の耳に流れ、その噂を聞いてやって来たバカがまた俺に喧嘩を売る…そして、気が付けば俺の日常は近隣の不良連中の腕試しや試金石に使われるようなかったるいモノになっていた。


そして、今回俺に喧嘩を吹っ掛けてきた連中だ。俺と同年代かそれよりちょい上…見た目や背格好から恐らく20歳前後の連中を中心に構成された、本職(ホンモノ)にもなれない半グレもどきのカラーギャング共だった。


多勢に無勢を絵に描いたような不利過ぎる状況な上、向こうは木刀や木製バット、鉄パイプやビール瓶なんかの得物持ち。おまけにヤル気と殺意満々と来ている。


俺は武装した多人数を相手にする上での正当防衛と、帰宅を邪魔されたことによる苛立ちの解消を兼ね、連中を人通りの多い繁華街からこの人通りの無い路地裏へと誘い込んでそのイラつきを爆発させた…その結果が今だ。


仄暗い路地裏に建つ廃ビルのコンクリートの壁面に(もた)れ掛かる俺の視界の先には、さっき繁華街で意気揚々と俺に喧嘩を売って来たカラーギャングの連中の内7人が地に伏して痛みに苦しむ呻き声を上げ、3人は少し離れたところで意識を手放して大の字で倒れ、2人が眼下に蹲って痛みに喘いでいた。


当の俺はといえば、4、5発いいモノはもらったが、別にそれが俺にとって致命打や決定打になっておらず、こうして壁の花になって自分の忌々しいかったるい人生を顧みる余裕があった。


むしろ、中途半端に数発貰ったせいでイラつきのボルテージが喧嘩をする前よりも幾分上がり、その苛立ちから来る衝動のせいでもっとかったるくなったぐらいだ。


「テ、テメェ…遊佐ァァァッ…!つ、次会ったら、ゼッテー殺すぞォォォッ…!」


地面に蹲りながら口の端から血を流しているギャングの内の一人…この連中の中でリーダー格にあたる五厘刈りの大男が俺から受けた膝蹴りの痛みに耐えながらも、まるで射殺すような鋭い視線を俺へと向けた。


得物持ちの徒党を組んで俺一人満足に潰せない奴が何を言ってやがると思ったが、こんな連中にそんな高尚なことを一々言っても無駄だってことは長年の喧嘩人生で身に染みて分かっている。


巷の不良連中は、俺のことを「射殺しの遊佐」だの「人殺しの眼」だのなんだのと勝手なあだ名を付けて呼んでくるが、当のこいつらだって自分の身に危険が迫ればそんな鋭い眼光を飛ばすんだから本当に勝手な連中だ。


けれど、俺自身も不意に鏡に映った自分の人相を見て思わず舌打ちをする程度には人相が悪いという自覚はある。


ただでさえ切れ長な目つきの上に三白眼で、いつもイラついて不機嫌そうに眉間に皺を寄せているせいで余計凶悪な人相になってるってのは自分でも分かっている。だが、持って生まれたモンと気質がそうさせてんだから放っといてくれって話だ。


そんな俺の忌々しい特徴がいつしか俺の喧嘩の噂と共に巷の不良達の間に広まり、連中が俺のことを「射殺しの遊佐」だの「人殺しの眼」とかいうダサいをあだ名を付けて呼ぶのは、まぁ…少しばかり不本意だが分からなくもない部分もある。


「つ、次はゼッテーに潰すッ…!!うちのメンバー全員に召集かけて叩き潰すッ!その呑気な(ツラ)ァぶら下げて、二度と平和に夜道歩けっと思うなよォォォッ…!!」


「…うるせぇよ。テメェの方こそ二度とアホ(ヅラ)見せんな」


蹲りながら俺に恨みを込めて見上げる男に拒絶の意志を込めた冷たい視線を送る。それを受けた男が「うっ…」と小さく狼狽するのを見下ろした双眼で見届けると、俺はバカ共が転がる暗い路地裏を後にした。


―――ああ、本当にかったりぃな。

ここまで読んで下さり、本当にありがとうございます。


改稿に手を出すようになって、改めて一から見直すと酷い有様ですね。

それでも、初心に帰る(黒歴史を見直す)と言う意味でも、前書き・本文・後書きをちょくちょく改稿して行こうと思います。


今さら気付いたか、凡作以下だな、流石に長ったらしいとお思いの読者の方だって大勢いるでしょうが、ちょっとでも良いなと思ったまた是非読みに来て下さい。


また、誤字脱字、表記揺れ、設定の矛盾、感想等を頂けますと嬉しいです。

…それと、いいねボタンを押して頂けると私のモチベーションが上がりますので、きまぐれにでも押してやって下さい。


今後とも『バッドボーイ&ロンリーウイッチ』をよろしくお願いします。

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