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 (エレクトラ)は王都にあるアーテル公爵邸から学園に通っているが、中等部の頃から、わたくしは学園の寮で暮らしている。


 寮生は基本的に王都に(やしき)を構えていない経済的に貧窮している貴族の子弟だが、わたくしのように希望し、きちんと寮費を払えばなれるのだ。


 アーテル公爵家を実質牛耳っているのは父ではなくシオンだ。そのシオンが、わたくしが中等部の頃、勝手に入寮の手続きをしたのだ。


 たぶんシオンは、わたくしを気にかけてくれたのだ。あの家族と一緒いても、わたくしがつらい思いをするから。


 シオンの傍にいるためなら、家族のわたくしへの接し方くらい耐えられるのに。


 ……あの男がシオンにしている事に比べれば、どうという事はないのだから。


 普段なら、そのまま寮に帰るのだが、エレクトラと共に王都にあるアーテル公爵邸に向かう事にした。


 妹の人格が変化したから家人達への対応が心配でついて行くのではない。


 妹と真逆な人格な「彼女」は、怜悧で毅然としていて喧嘩を売られなければ自分からは仕掛けないタイプだと思う。だから、家人達への対応は全く心配していない。彼女にやり込められても自業自得だし。


 シオンとエレクトラが語った前世があまりにも似すぎていて気になるのだ。


「彼女」が前世のシオンと何ら係わりのない女性であればいい。


 けれど、わたくしの危惧通りだったら?


 前世で自分を殺した男の生まれ変わりかもしれないシオンと会った時の彼女のショックを慮っているのではない。


 肉体が妹であっても、妹と違って人間的に好きになれる女性であっても、シオンとは比べられない。誰よりも何よりも自分自身よりも、わたくしにはシオンが大切なのだから。


 わたくしが気にしているのは、シオンだ。


 妹の前世の人格である「彼女」と会った時、シオンはどうなるのだろう?


 妹のように前世の人格に変わる?


 妹の人格が「彼女」に変わっても何とも思わなかった。


 自分で思っている以上に、わたくしは妹に関心がなかったのだ。





 




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